首相の菅が、12/11にニコニコ生放送の特別番組「菅義偉総理が国民の質問に答える生放送」に出演したが、これでもまだ有権者が自民政権のおかしさ、異様さ、酷さに気づけないなら、いよいよ日本終了のお知らせだ。日本人は皆落語の与太郎噺レベルの抜け作で、詐欺師入れ食いの国と宣伝するようなものだ。
今日も「菅首相“ガースーです”挨拶に「無神経の極み」と批判殺到 女性自身」という記事が話題になっているが、この菅の出演番組について批判の大半は、ガースーですというふざけた冒頭の掴みに集まっている。しかし、この番組の中で菅の最も酷かった部分はそこではない。勿論、この過去最高に感染拡大の勢いが高まっていて、医療現場が逼迫し一部では自衛隊に支援を要請しないといけないような深刻な事態になっている時に、ヘラヘラニヤニヤとしながら「ガースーです」なんて言うことが、国民の神経を逆撫ですることも事実だが、あくまでもそれは情緒的なことであって、菅や自民政権の酷さ・異様さの本質は別のところに垣間見えた。
前述の女性自身の記事も、見出しは「ガースー」をクローズアップしているが、記事の冒頭で触れているのは、
いつの間にかGoToが悪いことになってきちゃった
という発言だ。菅はGoToキャンペーンを一時停止について「そこは考えていません。考えてないというか、今日提言を受けたわけですから」「いわゆるステージ3という感染拡大が相当進んでいるところにはしっかり対応するようにという強い提言だったと思います。そうしたことを踏まえて、西村大臣を中心にそれぞれの首長とこれから調整をする」「いつの間にかGOTOが悪いことになってきちゃったんですけど、移動では感染しないという提言もいただいていた」などと述べている。
この「いつの間にかGoToが悪いことになってきちゃった」という発言こそが、菅や自民政権の酷さ・異様さの本質であることを強く訴えたい。
「いつの間にか○○になった」「気づいたら○○になっていた」という表現はしばしば耳にする表現だが、実態に即してしないことも多い表現である。「いつの間にか○○になった」「気づいたら○○になっていた」は、意図せず自然とそんな状況になったというニュアンスを示す表現で、例えば「最初は普通の飲み屋だったのに、1人2人と野球ファンが常連となり、いつの間にか野球ファンの集う店になっていた」という話も、店主が意図せず野球ファンが集まりだしたなら妥当な表現だろうが、店主が根っからの野球ファンだったり、店主自らが路線を変更して野球ファンをターゲットにした店づくりをしていたら、それを「いつの間にか」と表現するのはおかしい。それは「なるべくして野球ファンが集う店になった」と言うべきだ。
少し前に、チューニングカーを扱うWebサイト・web optionが、
「気がついたら1000馬力!?」ゼロヨン好きオーナーの情熱が作り上げた究極系JZA80スープラ! web option(ウェブ オプション)
という記事を掲載したのだが、流石に「気がついたら1000馬力」はありえない。
この記事に出てくるトヨタ スープラのノーマル最高出力は280馬力だ。例えばエンジンルームの見た目を重視してターボやインタークーラー、外装上の見た目を重視してマフラーなどを交換していたら意図せず400ps仕様になっていた、くらいの話ならありえるだろうから、「気づいたら400馬力」なら理解できなくもない。だが流石に1000馬力ものパワーを発生させるのに「意図していなかった」はありえない。積極的にパワーを得ようとしなければどうやっても1000馬力仕様にはなりえないので、「気がついたら1000馬力」は明らかに実態に即していない。
クルマのカスタムなど趣味にのめり込む人は、家族やパートナーの理解を得られか心配だったり、「やりすぎ」と言われるのを避けるなどの為に、大したことはしてないよ!と必要以上にアピールするケースがある。つまりこの記事の「気がついたら1000馬力」も謙遜のようなニュアンスが込められていると読むべきだろう。
しかし、もしこのオーナーが、家族サービス等を怠り趣味にのめり込んでいるのだとしたら、この「気づいたら1000馬力」には責任逃れの意味も込められていると言えるのではないか。この場合の「気づいたら」は「いつの間にか」と同義であり、前述の菅の発言は、GOTOキャンペーンに関する責任逃れの意図があることを指摘したい。
つまり、よくもニヤつきながら「いつの間にかGoToが悪いことになってきちゃった」などと言えるものだ、という感しかない。菅は11/25の衆院予算委員会で、立民・枝野氏にGOTOトラベルが新型コロナウイルス感染の急拡大を招いたと指摘され、
GoTo、強気の菅首相 効果に自信、「元凶説」否定―予算委:時事ドットコム
『トラベル』が主要な原因だというエビデンス(証拠)は存在しない
として、GOTOキャンペーンは今回の感染拡大と直結していないと主張した。GOTOキャンペーンに関しては、7月の開始前から感染を拡大させかねないという指摘があったが、菅が官房長官を務め、そして基本的に方針を継承すると公言している安倍政権は、指摘を無視してGOTOキャンペーンを強行した経緯がある。この菅同様の主張をコロナ担当大臣の西村がそれ以前からしており、GOTOトラベルが感染を拡大にさせかねないという指摘があったにもかかわらず、政府はどのような影響が出るかに関する調査も行っておらず、「証拠はない」ではなく「都合の悪いデータが明らかになると困るので調べていない」の間違いだ、という指摘もあった。
12/8、東京大学などの研究チームがGOTOトラベルを利用している人は新型コロナへの感染リスクが高いとする調査結果を発表、
「GoToトラベル利用者感染リスク高い」東京大学など研究チーム|TBS NEWS
更に12/11には、スコットランドとウェールズのパンデミックは旅行によって引き起こされ、その後、人口密度に応じて広がったとする研究結果をイギリスの科学者チームが発表し、6月に国境の封鎖を解除したことについて問われたスコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は「私たちは間違うかもしれない、後になってそれが間違いだったと分かることもあるかもしれないと、はっきり伝えてきました。ですから、私たちはもしかしたら違う方法を取るべきだったのかもしれません。私は決して、自分たちが間違っていなかったというふりをするつもりはありません」と語ったそうだ。
「旅行」が原因で感染拡大。イギリス科学者チームが発表【新型コロナウイルス】 ハフポスト
当初から指摘があってにもかかわらず、「エビデンス(証拠)はない」と言ってきたが実際には調べると都合が悪いから調べていないだけで、証拠が示されたら今度は「いつの間にかGOTOが悪者になっちゃった」なんて責任逃れを、しかもヘラヘラニヤニヤしながら平然とやる男が首相であることの異様さは、「ガースー」なんておふざけとは比べものにならないレベルだ。
そんな男を総裁/首相に選ぶ自民党という党がどんな組織なのか、その異様さも明白なのに、未だに日本の有権者の半数弱程度が政権を支持し、1/4が自民党を支持すると言っている(内閣支持続落43.1% コロナ対応評価せず4割超―時事世論調査:時事ドットコム)。だから12/6の投稿で、
#コロナより危険な自民党とメディアと有権者の半分
#自民党とメディアと有権者の半分に殺される
と指摘したのだ。