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世界的な潮流から外れる反主流国家・ニッポン

 逆張りとは、相場が下がっている時に買い、上がっている時に売るという投資の手法である。英語では Trade against the trend と表現する。また、逆張りをする投資家のことを Contrarian と呼ぶ(投資でよく使われる言葉「逆張り」ってどういう意味?|@DIME アットダイム)。


 Contrarian は、投資分野においては逆張り屋と訳されるが、英語版Wikipediaでは、ジャーナリズムや科学の分野でも用いられる言葉であることを解説しており、投資分野以外では反主流派、反主流家、反主流論者などと訳される。但し昨今、逆張り自体が投資分野以外でも用いられる表現になってきているので、投資以外の分野で Contrarian を逆張り屋と訳しても、それ程問題は生じなさそうではある。因みに日本語版のページはまだない。
 Contrarian の語源は、逆・反対を意味するラテン語 Contra にある。1980年代にニカラグアで活動していた親米反政府組織の名前がコントラだったので、それで知っている人もいるだろう(コントラ - Wikipedia)。Contra は英語だと Counter に当たる表現だが、Contrarian で Counterer や Counterian とはならないところが、日常的に英語を使わない自分にとっては興味深い。

 今、日本は国自体が反主流論者になっている。国全体は言い過ぎでも、すくなくとも現政権は世界的に見て間違いなく反主流派/Contrarian だ。1/13に幾つかのメディアが、大麻使用罪を新たに創設して厳罰化しようという動きがあり、厚生労働省が取締り強化について検討する有識者会議を立ち上げることを決めた、と報じた。

大麻取締法 新たな罰則検討へ 近く有識者会議立ち上げ 厚労省 NHKニュース

2018年10月、カナダで嗜好品としての使用も含めて大麻の使用が解禁になった。医療目的での使用解禁とか、非犯罪化ではなく明確な解禁である。米国でも、州や都市によって違いはあるが、間違いなく解禁・若しくは非犯罪化に向かっている。それは北米以外でも同様であり、オーストラリアやイスラエル、スペインやポルトガルなどでも解禁、又は一部地域で解禁されており、既にアジアでもタイが、2018年に医療目的での使用を正式に合法化した(東南アジア初の医療用マリフアナ解禁国、タイで専門クリニック開業 写真12枚 国際ニュース:AFPBB News)。
 そんな世界的な潮流に反して、日本では今更厳罰化を検討なんて言っているのだ。

 世界的な潮流に反しているのは決して大麻/薬物政策だけではない。性的少数者への偏見が強く、未だに同性婚か同等の制度を有していないのはG7の中で日本だけだ。国外で正式に婚姻関係を結んだ同性カップルの在留資格を認めない状況も異様だ。また男尊女卑傾向も著しく強く残り、ジェンダーギャップ指数は2019年現在144か国中114位である。女性の権利向上にも消極的で、婚姻時に姓の統一が求められる国は世界的にも稀で、国連からも再三改善を求められている。また、邦人と外国人で対応が異なる制度も多い。選択的夫婦別姓に関しては、配偶者が外国人だと認められるのに邦人同士だと認めらないとか、税金は払っているのに、訪日外国人が使えない社会福祉制度なども複数ある。
 これらは間違いなく多様性尊重を重視する世界的な潮流に背いている。というかそもそも、万人の法の下の平等を規定した憲法に反しており、近代国家の土台である法治や自由主義を蔑ろにしているとすら言えるだろう。つまり日本は、先進国どころか、現代国家というかそれ以前の近代国家としても反主流派になっている、というのが実情だ。昨日の投稿で書いた、刺青の過剰な排除などもその傾向の表れだろう。

 更に言えば、今世界中で猛威を振るう新型ウイルスへの対応についても日本は反主流派だ。世界中が積極的に検査を増やして早期に感染を発見し隔離治療をしている中で、未だに日本では積極的検査不要論がくすぶっている。しかも民間だけでなく政府やお抱え専門家の間でも。そんな逆張り国家/反主流論が蔓延する国が、感染症が収まる以前にオリンピックをやったとして、一体どれだけの国が参加するだろうか。

 このようなことを書くと、必ず出てくるのは「郷に入っては郷に従え、嫌なら日本から出ていけ」という人達だ。その論理で言えば、日本は明らかにいくつもの面で世界的な潮流、つまり地球全体の傾向に反している。「地球の一国家なら地球全体の潮流に従え、嫌なら地球から出ていけ」と言われたら、彼らはどうするつもりだろう。どうやって地球から出ていくつもりだろうか。
 多数派が常に正しいとは限らないが、多数派を否定するには合理的な根拠が必要だ。合理的な根拠もなく反主流論を唱えるのは、幼稚な逆張り屋がやることだ。特に疫病対策では、ギャンブル性の高い逆張りをするのは間違っている。

 トップ画像は、Gerd AltmannによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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