この週末もF1とMotoGPが開催されている。モータースポーツ全般が好きだが、どちらが好みかと言えば、抜きつ抜かれつが多いバイクレースの方が好きだ。だからMotoGPでも、最も混戦になる確率の高い125cc/Moto3クラスが一番面白いと思っている。最近は運営の匙加減がよく、Moto2/MotoGPクラスでも混戦になることが多いが、それでもやはり一番エキサイトするのはMoto3だ。
また、近年はMoto3クラスに多数の日本人ライダーが参戦しているのも、Moto3クラスに魅力を感じる一因だろう。Moto2/MotoGPは各1人づつしか日本人ライダーがいないのに対して、Moto3には今年も5人のライダーが参戦している。バイクのもう一つの世界選手権・WordSBKにも、今年は昨年全日本王者に輝いた野佐根 航汰が参戦するし、同シリーズの下位カテゴリにも各1人づつ日本人が参戦する。また、各国のSBK:スーパーバイクレースの中でも、最もレベルが高いBSB:ブリティッシュスーパーバイクにも、高橋 巧と水野 涼が参戦するし、MotoGPシリーズへの登竜門となっているCEVレプソル(前身はスペイン選手権だが、今は実質的なヨーロッパ選手権)の各クラスにも、複数の日本人ライダーが参戦する。
今年は角田 裕毅がF1にエントリーしたことが話題になっているが、バイクの方が明らかに日本人ライダーが活躍している。でもなぜか日本ではF1の方が話題になりやすく、モータースポーツにそれほど興味のない人でも、角田のことは知っていたりする。バイクはライダーだけでなく、マシンでも日本メーカーが最大勢力なのに、この差は一体なんだろう。
MotoGPの開幕は3/28だった。レースが行われたのは中東カタールで、翌週の4/4にもレースが行われた。この2週連続開催は、コロナウイルス感染拡大に対応するべく2020年シーズンに編み出された方法である。2020年シーズンのカレンダーについては、1/31の投稿でも書いた通りだ。
当初、MotoGP 2021シーズンの暫定カレンダーでは、4月にアメリカ戦とアルゼンチン戦が組まれていたが、1/22に早々に第4四半期への延期が発表され、その代わりにカタールでの2週連続開催と、今週のポルトガル戦が組まれた。尚、現在もアメリカ戦とアルゼンチン戦の日程は発表されておらず、感染の状況が改善しなければ中止も有り得るだろう。
因みに、スプリントレースではなくバイク耐久レースの世界選手権シリーズ EWC の1戦である鈴鹿8耐も、3/17に例年の7月開催から11月への延期が決まった。この流れは昨年・2020年と同様であり、昨年は状況が好転せずに11月にも開催できず中止となった。もしかしたら今年もそうなってしまうかもしれない。これらのことを考えても、今夏日本でオリンピックなんて出来るわけがないだろう、という感しかない。
MotoGPのカタール戦では2週とも、サポートレースとしてアジアタレントカップも併催された。アジアタレントカップとは、MotoGPの登竜門であるCEVの更に下に位置付けられている、アジアの若い選手を発掘/育成する為のシリーズである。現在世界で最もバイクが売れるのはインドと東南アジア圏で、経済的な発展とも相まってレース熱が高まっている。因みにコロナ危機以前、MotoGPに参戦する日本メーカーの体制発表は毎年マレーシアで行われていた。年間通して温暖でオフシーズンのテストが行われるのと、各社が東南アジアでの販売に力を入れているのがその理由だ。市販車でも、現在は小排気量クラスの開発と生産は、最も売れる地域のタイやマレーシアやインドネシアなどで行われ、縮小著しい本国・日本市場はオマケで、日本メーカーのバイクなのに、日本へは後追いで導入されるようになっている。
アジアタレントカップのカタール4戦(1週2戦開催)は、日本の古里 太陽が4連勝を飾った。他にも複数日本の若者がエントリーしており、みな終始上位争いを行っていた。
『Idemitsu Asia Talent Cup』~古里太陽がカタールで4連勝 | MotoGP™
東南アジア勢が台頭してきてはいるものの、アジア圏のバイクレース界では日本はアドバンテージを持っている。Moto3に参戦している日本人の多さと共に考えれば、スペインやイタリア程ではないが、日本の選手層の暑さは世界でも有数である。なのに国内ではあまり注目されない。サッカー選手や野球選手が海外チームに入るとあんなにも話題になるのに。
因みにアジアタレントカップは、Youtubeでライブ配信も行われている。「今年のアジアタレントカップは古里がぶっちぎりでチャンピオンかもな」なんて思いつつ、次戦はいつだろうと調べてみると、何と次戦は10月だった。
アジアタレントカップは、基本的にアジアで開催されるMotoGPかWorldSBKのレースと併催されてきたが、昨シーズンはMotoGP開幕戦のカタール以外は全て中止されてしまった。2021シーズンも、両シリーズがヨーロッパ外でのレースを、恐らく状況改善の可能性を見込んでシーズン後半に割り当てている所為で、10月までアジアでの開催がない為に、アジアタレントカップの次戦が10月になっているのだろう。もし状況が改善せずにアジアラウンドが中止されたら、アジアタレントカップも一緒に中止になってしまいそうだ。
日本や欧米の国のように、一つの国にシリーズ戦を行えるような複数のサーキットが揃っていないこともあって、バイクレースには ARRC:Asia Road Racing Championship / アジア選手権がある。そちらにも日本人選手が参戦しており、アジアタレントカップ同様にYoutubeでライブ配信が行われているので、こちらもスケジュールを確認しておこう、と思って驚いた。
暫定カレンダーが発表されたのは2020年11月だった。そこには、例年開催されていた鈴鹿は入っていなかった。2020シーズンはシリーズ自体が中止になったので、2019シーズンと比較すると、開催地から鈴鹿だけが消えていた。前述の告知ページに、鈴鹿が抜けたことに関する記述は全くない。一応「This calendar is subject to further changes / このカレンダーは、さらに変更される可能性があります」とあるが、現時点でも変更の告知はなく、公式Twitterアカウントのトップにも、このカレンダーが掲載されたままだ。ツイッターは定期的に投稿があるので、これだけが放置されているとは考え難い。
アジアロードレース選手権2021シーズンから、なぜ鈴鹿だけが抜けたのか。しかも2020年11月の時点で。そしてなぜ追加で開催がアナウンスされないのか。勿論、アジア全体の感染状況が好転しておらず、シーズン自体が危ぶまれている恐れもある。だが、鈴鹿だけが抜けたにせよ、アジア選手権全体の開催が危ういにしろ、日本で国際的な大会を行える状況ではない、と言えることの根拠になることは間違いない。これでもオリンピックをやると言っているのは本当に気が狂っているか、現状を把握する力が著しく低いと言って間違いない。
テニスやゴルフ、フィギュアスケートの国際大会は開催されているが、どちらも個人競技で、チーム全体がコンパクトだ。モータースポーツも基本的には個人競技だが、メカニック等の人数を考えると団体競技と言えるだろう。フィギュアスケートの国別対抗戦は、変異株の蔓延する大阪で行われていて、開催を決めた競技団体の判断がおかしいという感もある。
日本政府とIOCは、日本では積極的検査すら行われていないような状況で、ワクチン接種も世界最低レベルなのに、なぜそれでも開催するする言っているのか、本当に理解に苦しむ。日本政府やIOC、聖火リレーに浮かれている連中は、ウイルス側に立っているとしか言いようがない。
トップ画像は、Daniel ByramによるPixabayからの画像 を加工して使用した。