スキップしてメイン コンテンツに移動
 

いち、に、さん、が、一本歯に変わる瞬間

 昨夜のDOMMUNEは、久しぶりにDJオンリーの放送だった。いや、もしかしたら自分が見ていない回にもDJオンリー回があったのかもしれないが、兎に角自分の記憶では、かなり久しぶりだった。表参道のクラブ・VENT BARで5/15に行われるイベントの前夜祭のような放送で、ゴリゴリにハードなテクノを4時間半堪能出来て、非常に満足度が高く、番組の間はストレスから解放された気分だった。


 放送の冒頭で、トップバッターのDJ、GENDER-Kが、曲自体がそのようにサンプリングをループさせた曲なのか、それともDJが曲の一部をループさせたのかはよく分からないが、「1.2.3…」を、One, Two, Th…とスリーのスで切ってループさせるネタを使っていて、「ワントゥース、ワントゥース…One Tooth, One Tooth…」と言っているようにしか聞こえなかった。「いち、に、さん」が「一本歯」に変換された瞬間を目撃?いや耳激?した。
 これは極端な例だが、このように、文字表現を途中で端折ると、元の意味が失われてしまうことはよくある。


 昨日、TBSがこんな速報を流した。

【速報】菅首相 “さざ波”ツイートは「非常に残念」 高橋参与は首相に謝罪|TBS NEWS

菅総理は高橋洋一内閣官房参与がツイッターで、いまの日本の新型コロナウイルスの感染状況について『さざ波』などと表現したことなどについて、「非常に残念だ」などとコメントしました。  さらに、高橋氏から菅総理に「申し訳ない」という連絡があったと述べました。13日夜、総理官邸での報道陣のやりとりの中で菅総理が明らかにしました。

 そもそも菅は、5/11の投稿でも触れたように、「個人の主張だからコメントしない」、つまり個人的なことだから関知しないと言ってた。ではなぜ、それから数日で急に「非常に残ね」などと言いだしたのか。話に一貫性がない。しかし今日の投稿の主題はそれについてではない。
 自分がおかしいと考えるのは、TBSのつけた見出しだ。見出しには「高橋参与は首相に謝罪」とある。しかしそれは、菅がそう主張しているだけで、実際に首相に対する謝罪があったのかは定かでない。しかしTBSの見出しは、菅の話を鵜呑みにして「高橋参与は首相に謝罪」と断定している。
 正確性を重視するなら「高橋参与から首相へ謝罪があった」”と説明” が必要である。この見出しの主語は、冒頭の”菅首相”であり、「“さざ波”ツイートは「非常に残念」」は菅発信であることは表現出来ているが、「高橋参与は首相に謝罪」も同様に菅発信なのに、この見出しでは、あたかもそれは確定的事実かのようになってしまっている。

 ”と説明”を端折ることで、実際と記事に乖離が生じている。このようないい加減な見出しは、決して容認し難い。TBS記者、そしてそれを正さない組織としてのTBSの、日本語能力の低さが疑われる。


 そもそも「首相に謝罪」というのもおかしい。高橋が「さざ波、笑笑」と嘲笑ったのは、首相ではなく、新型コロナウイルスで命を落とした国民やその家族、そして友人、つまり国民全般だ。内閣官房参与という立場で、政府政策に関わることについて不適切な発言をしたのだから、謝罪するなら首相ではなく、広く国民へ謝罪すべきだ。なぜ菅は「非常に残念」といいつつ、高橋に謝罪する会見の場を与えるでも、更迭するでもなく、自分に謝ったのでOK、みたいな感じになっているのだろう。
 そして官邸記者クラブ所属メディアの面々は、なぜそれを菅に指摘できないのか。指摘もせず、その異様さにも触れず、ただただ拡声器のように、○○しました、□□と言いました、とだけしか伝えないのか。しかもそこにはどんな速報性があるのか。優しく言っても他人事さ加減が強く滲んでいる。厳しく言えば、首相の「高橋謝ったからもういいだろ?」感演出に加担している。

 それのどこが公平な報道、中立的なメディアだろうか。どう考えたって政府にすり寄ってプロパガンダに加担する姿勢としか言いようがない。


 トップ画像に使ったのは、キャプテン翼のキャラクターで主人公・大空 翼のチームメイト、瀧 一である(キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS)。


このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。