去年の3月頃、日本では「PCR検査を広く行えば医療現場を圧迫することになり、医療崩壊を招きかねないので、検査するべきところに検査するクラスター(集団感染)対策を重視する」という話を、厚労省や政府専門家会議のメンバー、そして一部の医療関係者らが声高に叫んでいた。
一方で他の国は概ね積極的な検査と隔離という方針を打ち出していた。当初は大量検査を実施する方法が確立していなかったが、様々な工夫によって大量検査が実現していった。感染爆発が起きた国では医療崩壊寸前の状態にまで陥ることはあったが、それでも検査と隔離徹底によって感染者を減らし、更に再びそのような感染爆発が起きても対応できる準備も整え、新型コロナウイルス危機へ対応をしていった。
アメリカは昨年からずっと新規感染/死者ともに世界の上位にあって、それはワクチン接種が進んでも変わっていない。だが、診療してもらえない人が多数いるとか、医療崩壊が起きている、という話は全然聞こえてこない。英国も新規感染/死者ともに多い国だが、同様にそんな話は聞かない。それは、日本よりも感染/死者ともに多い国が多い欧米諸国全般的に言えることだ。
しかし一方で日本はどうか。感染拡大が始まってもう1年半以上も経つのに、日本では未だに積極的で広範な検査は行われていないし、行える状況も整えられていない。広島県や世田谷区など一部時自治体では検査に力を入れているが、国全体としては、ハッキリ言って、状況を整えるられていないと言うよりも整えようとしていないというのが実状だ。つまり検査やろうとすらしていないのだ。
また日本では、昨年末-今年年始にかけて所謂第3波と呼ばれる感染拡大が起きたころから、濃厚接触者の定義が狭められ始めた。その後も感染拡大する度に濃厚接触者の定義が変更され、医療資源確保の為に検査抑制という話が出てくる。濃厚接触者に対して検査をするのが、政府やその周辺の専門家らが言うクラスター(集団感染)対策だったはずなのに、その定義を狭めて検査を減らすことは、クラスター対策も止めた、ということではないのか。そしてその結果、今年の7月、オリンピックが始まった直後に、これまでで最大の感染爆発が起きて、必要な治療を受けられずに命を落とす人、自宅に放置される人が多く出た。つまり医療崩壊が起きた。
世界の常識に反して検査を絞った結果、医療崩壊が起きたのだ。政府や専門家は「医療崩壊を避ける為には検査を絞る必要がある」と言っていたのに。他の国が感染拡大が始まった頃にはなかった検査体制と医療の受け皿を用意しているのに、日本ではそれが1年半を過ぎても尚行われていない。日本の常識、世界の非常識、である。
このような、日本の常識、世界の非常識、と言えるような話は他にもあって、例えば外務省はYoutubeの公式アカウントでこんな旭日旗に関する動画を今年・2021年9/6に公開している。
Rising Sun Flag as Japanese Longstanding Culture - YouTube
欧米はともかく、戦前に日本による侵略を受けた東アジア/東南アジアでは旭日旗が大日本帝国の象徴と捉えられていること、そして旭日旗は戦前日本軍の軍旗だったこと、また今も自衛隊旗であり実質的な軍旗であること、そして、以前から国粋主義者が好んで用いるモチーフであり、00年代以降は国粋主義/排外主義/差別主義者が好んで旭日旗を用いる傾向が顕著になっている、ということを全く無視した内容であり、これぞまさに日本の常識、世界の非常識、としか言いようがない。
また、9/17の投稿で取り上げた、千葉県警の子供向けの啓蒙動画にへそ出し超ミニスカートというコスチュームのキャラクターが採用されていた件についても、こんな続報があった。
「性的」と指摘、フェミニスト議連に抗議署名4万件 千葉県警が女性Vチューバー出演の動画削除 :東京新聞 TOKYO Web
なぜ、子供向けの啓蒙動画には、子供向けでなくても全ての人を対象にした公的キャンペーンには、ちゃんと服を着せたキャラクターを使え、という、たったそれだけのことが分からないんだろうか。
日本のオタク系コンテンツはしばしば児童ポルノ扱いされる。なぜなら、未成年者を性的に描いているもの、年齢設定は成人でも、見た目が子どもにしか見えない場合が多いからだ。フィクションであるなら被害者は出ないので、表現自体を全否定するのはどうかと思うが、万人に向けとしては相応しいとは言えない、という評価は当然だろう。なのに、万人向けとされないのは差別だ、なんておかしなことを言うから、余計に反感を招くことになる。
この辺の、性的かどうかの判断、未成年者に性的要素を投影しているかどうかの判断、のいい加減さも、日本の常識、世界の非常識、と言える。
日本人の英語力は驚くほど低く、自国語以外の情報限を持つ人が、恐らく他の先進国に比べて極端に少ないんだろう。だからこうやって、世界の潮流から外れたことを平気で言ったりやったりしてしまうんだろう。