公明党は、「小さな声を、聴く力」というスローガンを掲げて、取りこぼされる人のない政治を目指す、行う、実現する、のようなことを言っているが、果たしてそれは本当か。どうしてもそれは羊頭狗肉や美辞麗句の類で、公明党には小さな声を聴く力などないとしか思えない。もしあったとしたとしても、聴くだけでそれを政治に反映するとは言ってない、という言葉が隠れているようにしか思えない。
一昨日の投稿でも取り上げた、政府が検討を始めた現金給付の件。そこでも、新型ウイルス対策としての現金給付は選挙前に与野党から出ていた話なので、前向きな動きが出てくることは当然なのだが、18歳以下に限定する理由がよく分からない。また来春までとは対応があまりにも遅くないだろうか、と書いた。
- どうなる現金給付…すべての子どもに一律? 生活困窮者に限定? 自公が大型経済対策の本格協議:東京新聞 TOKYO Web
- 18歳以下への10万円給付に年収960万円の所得制限を導入 岸田首相と公明・山口代表が合意:東京新聞 TOKYO Web
そもそも、新型ウイルス対策の影響を受けたのは18歳以下に限らないのに、なぜ給付対象が18歳以下なのかよく分からない。そして、クーポン券をわざわざ発行し、しかも現金給付と分けて2度手間にする必要性も不明確だ。SNS上では、また懇意の業者などに、印刷や配布、クーポン券を使用する仕組みを設けて運営する仕事などをあっせんしてピンハネさせるつもり、中抜きさせるつもりだ、現金給付よりも無駄が多い、という批判も飛び交っている。
11/8に公明党代表の山口 那津男は、関西テレビの番組に出演した際に、「18歳を超えた大学生の方がお金がかかる。困窮している大学生を支援すべきではないか」という指摘に対して、
大学生の方がお金がかかるというのは最もだと思う。一方で、大学生はアルバイトが可能な人もいるし、奨学金が利用できる人もいるので、高校生以下の世代の人とは少し違う所がある
と、対象を18歳以下に区切った理由を説明したそうだ。
高校生だってバイトは出来るし、高校生用の奨学金だってある。山口の説明は全く筋が通らない。そしてアルバイト云々は、新型ウイルスによって客が減り、バイトを雇う余裕がなくなった店、店自体が廃業に追い込まれた店も多く、つまりバイトが出来なくて困っている学生が少なくない、という点を全く無視している。これのどこが新型コロナウイルス対応のための大型経済対策なのか。
「大人の所得で子ども分断すべきでない」公明・山口代表が一律10万円給付の意義強調
山口は「大学生以上の世代でも生活が困窮したり学業維持が難しい人の困窮に着目した支援は別途提案して考えている」とも述べたそうだが、もしそれが事実だとしても、公明党は、アルバイト出来る学生、奨学金が利用できる学生に支援する必要はない、と思っていることは変わらないんだろうから、かなり限定的で現実的に意味をなさない支援でお茶を濁すつもりなんだろう。それで「支援やりました!」と胸を張り、選挙前に、我々は学生を支援した、と宣伝するつもりなんだろう。
だから今日のトップ画像には、山口の本音であろう、「大学生は勉強する暇があるなら 働けーッ!!!!」というコピーを使った。日本で言うところの奨学金は学費ローンなので、「生活が苦しいなら金借りろ」「アルバイトができて借金もまだ出来るお前らには支援は必要ない」も公明党の本音だろう。そして自民党も似たようなものだ。
国によっては大学まで学費が全て無償という国もある。日本も、戦後間もない頃のような殆どの人が高校までしか行かない状況ではない。しかもいまだに企業が就職での学歴差別を行っている状況で、大学に行きたきゃ自分で働いてなんとかしろ、自己責任で借金するのが当然だ、支援して欲しいなんてのは甘え、みたいなことを言っている政党が、「私たちには小さい声を聴く力があります!」なんて言っている時点で、もうすでに羊頭狗肉だ。