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文通費よりも家賃の日割り計算を

 維新の新人議員が、NHKの番組で「10/31に当選した新人議員が、月割りで10月分満額、文書通信交通滞在費を貰うのは適切なのか」という趣旨の発言したことから、この数日文書通信交通滞在費、所謂文通費のことばかりが話題になっている、ということには11/17の投稿でも触れた。

 メディア、特にテレビはそればかりこぞって取り上げ、自民党に関連した衆院選における買収や違法な選挙活動は扱いが軽いように見える。

 文通費も問題が全くないとは言えないが、維新が文通費、文通費と言うのには、文通費よりももっと巨額な政党交付金の問題から有権者の目をそらす目的があるんだろう。次の動画は、2019年参院選直前に日本記者クラブで行われた党首討論の一部だが、これにそれが集約されている。今回維新は、これと同じようなことをまた言い始めただけだ。



 その文通費の話に関連して、東京新聞がこんな記事を掲載している。

国民感覚からズレた月100万円の「文書通信費」 制度改正が臨時国会の焦点 使いみちは非公開 日割り規定もなし:東京新聞 TOKYO Web

 労働者が月の途中から雇用された場合、月給での雇用でも大抵働いた日数分を日割りした給与/交通費が支給されるのが一般的で、国会議員の文通費も日割りで支給しろ、というのが国民感覚、という趣旨の記事/見出しだ。しかし、それは果たして妥当な感覚だろうか。

 今日のトップ画像には”家賃”をイメージ化した画像を使ったが、自分がこれまで借家を契約した経験上、月の途中から入居した場合、月の途中で退去した場合に、最初/最後の家賃を月額満額でなく日割りで計算してくれた大家/不動産会社は1件だけで、大抵月の途中から入居しても月額満額家賃を要求される。家賃は、大抵の人にとって支出の大部分を占めるものであり、月の途中からの入居でも家賃は月額満額で支払わなくてはならないのに給与は日割り分しか支払われない、という状況は、労働者/庶民にとって不利な状況だ。

 そんな庶民に不利な状況があり、それが国民感覚だから国会議員もそれに合わせろ、という考え方は果たして妥当か。それはまるで、働くより高い額が生活保護で支給されるのはおかしい、みたいな話ではないか。生活保護で支給される額は最低限度の生活をするのに必要な額なのだから、働いているのにそれより低い給与しか貰えないことがおかしいのであって、生活保護額の方が高いのがおかしいのではない。
 つまり国会議員の文通費に日割り規定がないのだから、一般労働者の賃金や交通費も月額での雇用なら日割り規定をなくそう、若しくは、現在月の途中から借家に入居した場合の家賃日割りが法制化されていないことがおかしい、だからそれを法制化すべきだ、の方が適切な感覚ではないのか。

 勿論、国会議員の文通費に関しては、都選出の議員も遠方の議員も一律月100万円という額が妥当なのかや、本来書類作成や通信滞在の為の費用として支給されているのに、使途報告の必要が全くない為に他のことに流用する者がいる、などの問題もある。しかし、それは日割り支給制度がないのは妥当なのか、とは別の問題だ。
 今回問題視されているのは、新人や復活当選議員が議員としての活動が全くない10月分の文通費を貰うのは妥当か、という点だが、新人当選議員だからこそ、挨拶状を用意したり新たな事務所を設けるなど、多選議員にはない出費があるのではないか。実際の稼働は11月からだから10月分は必要ない、という話も理解はできるが、一番の問題は使途報告の必要が全くないことであり、通信等の秘密を守る為に、全ての使途を即時公開する制度でなく数年後に公開される制度にするなどして、使途報告を義務付ければ、不適切な流用は防げる。そして使われなかった分は国庫に戻すようにすれば、必要ないかどうか合理的に判断が出来るはずだ。


 そんな観点で考えると、まず日割り計算なんて目くらましでしかない、としか思えない。立憲民主党も”文通費日割り支給に法改正で自民と一致”なんて言っているようで、その背景には、11/17の投稿で触れた「野党は批判ばかり」という印象操作の影響を少しでも柔らげたい、という思いもあるのかもしれない。

自民・立民“文通費”日割り支給へ法改正目指す方針で一致|TBS NEWS

 金額ベースで考えれば、文通費よりも政党交付金の方が莫大なのに、文通費のことでお茶を濁されるのは本当に馬鹿馬鹿しい。また、国会議員の文通費の日割りよりも、月の途中に借家へ入居した場合の家賃日割りを義務付けてもらう方が、庶民には確実に影響が大きい。
 もし立憲民主党が「野党は批判ばかり」という声を払拭したくて、”文通費日割り支給に法改正で自民と一致”なんて言っていて、前段で指摘したそれよりも重要な問題、より庶民の利益になることに触れないようなら、これを機に問題提起すらしないなら、それでは現在同党を支持している人達の心は少なからず離れるのではないか。

 少なくとも自分はそんなことを感じてモヤモヤしている。



 トップ画像には、売る 家 買う - Pixabayの無料写真 を使用した。

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