日本はこの10年で非論理的な国に成り下がった。それ以前から、日本人は論理的思考が苦手と言われていたし、規則などの本質を理解しようとせず、ブラック校則などのように、ルールはルールだから守れ、伝統だから変えるな、のような理不尽がまかり通る国ではあったが、この10年でそれに拍車がかかった。
その極めつきが、前々首相
安倍の桜を見る会問題に関する国会答弁「募ったが募集していない」であり、戦闘を武力衝突と言い換えたり、武器輸出を防衛装備移転と言い換えたりすることが公然とまかり通る状況だった。そして、感染拡大が懸念される中で旅行や外食の促進を強行したり、オリンピック開催を強行したりして、実際に懸念通りの感染拡大/感染爆発を引き起こし、そんなことを繰り返したのも、論理的な判断が出来なくなったツケだ。
世界中がPCR検査を積極的かつ広範に実施し、自国の感染状況をできる限り正確に、詳細に把握しようと努める中で、日本はそれに背を向けてPCR検査を活用せず、なぜか今も検査数は異様に少なく、そしてPCR検査よりも精度で劣る抗原検査を重視している。新型ウイルス危機に際して、日本の非論理性が平時以上に際立っている。
日本の非論理的な性質は、とうとうWHO:世界保健機関にも明確に指摘された。WHOのミカエル ライアンは、新型コロナウイルス オミクロン株が世界的に感染拡大していることを受けて、日本が実施した全世界を対象とする外国人入国禁止措置について「疫学的に理解困難」「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」と、自国民か否かで対応を変えることを「矛盾している」と批判した。
WHO、日本の対応「理解困難」 ウイルスは国籍見ないと批判:東京新聞 TOKYO Web
外国人だけ入国禁止措置はおかしいという指摘は、このブログでも12/1の投稿で既にしている。WHOは渡航の一律制限に否定的な見解を示し、ウイルス検査などを活用するよう呼び掛けている。個人的には渡航制限を行うことは否定しないが、国籍で対応を変えることに合理性はなく、合理性のない区別は差別である。渡航制限を行うならば日本人だろうが外国人だろうが渡航一切を禁止すべきだ。しかしそれでは帰国できない自国民が行き場を失うことにもなってしまう為、だからWHOは渡航制限に否定的なのだ。
日本政府は、日本人帰国者について”厳格な隔離措置を実施する”としているのだから、外国人にも同じく対応すべきだ。”情報がある程度明らかになるまでの臨時、異例の措置”とも言っているが、期限についての言及はなく、差別的という指摘や、在留資格を持つ外国人らの不満が高まることは容易に推測できたはずだ。推測できないのはおかしい。つまり岸田政権は、差別的な対応と分かった上でそれを強行した、ということである。
以前から日本人は非論理的と言われていたが、WHOがこのような指摘/批判を行ったことで、日本人は非論理的という評価は更に固定化してしまうだろう。勿論WHOが見当違いの指摘や批判をしているのではなく、日本人がつい1ヶ月前に選挙で選んだ政権が、指摘や批判を受けて当然のことをしているのだから、自業自得でしかない。しかし、他の政党に投票して自民党への不支持を表明した日本人にしてみれば、いい迷惑でしかない。
日本が非論理的な国と言える根拠は他にもある。世界中がPCR検査を積極的かつ広範に実施し、自国の感染状況をできる限り正確に、詳細に把握しようと努める中で、日本はそれに背を向けてPCR検査を活用せず、なぜか今も検査数は異様に少なく、そしてPCR検査よりも精度で劣る抗原検査を重視していることについて、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会、所謂 専門家会議のメンバーである岡部
信彦は、12/1にBSフジ プライムニュースの中で、
空港で3,000人PCRやっても意味がない。篩(ふるい)は最初から目の細かいのでやってもしょうがないので、粗い目で引っかかった所で次の細かい検査。陰性の人はとりあえず様子を見るという事でも構わない
と、日本の水際対策、検疫でPCR検査よりも抗原検査を重視していることを擁護した。
目の粗いザルで米を研げば、ザルの目から米が次々に抜け落ちる。つまり、目の粗い検査では検疫として意味をなさない。検疫とは、国に入ってくる病原菌やウイルスを全てはじかなければならないものであり、目の粗い検査で引っかかったものだけを検出するのでは、その裏にすり抜けてしまうものが多数存在する、ということだ。
こんな少し考えたら馬鹿でも理解出来るような詭弁を平然と、しかもテレビで言う者が、政府が意見を仰ぐ専門家として登用されている。この人物自体も非論理的ならば、それを登用する政府も非論理的だ。
ハッキリ言って、自民党が与党である限り、自民政権が続く限り、日本が日常を取り戻すことはないだろうし、コロナ危機が収束してもどんどん転落していくだけだ。それは、既に危機が始まってから2年が経とうとしている新型ウイルスに、今もまだ適切に対応できないことが強く物語っている。