警察は嫌いだ。でも、だから必要ないとまでは思わない。しかし嫌いなものは嫌いである。なぜなら、これまでの人生経験上、正義の為に何かをしている、という人よりも、自分達こそが正義であり、自分達の行いに間違いなどある筈がない、という態度の人ばかり、という印象があるからだ。
もう何回も書いているが、自分はこれまでに複数回、警察官に職務質問や持ち物検査を強要された経験がある。本来、令状のないそれらへの対応は任意であるはずにもかかわらず、「やましいことがないなら対応できるでしょ?」と言って実質的に対応を強要しようとしたり、「ナンバー灯が切れかかっていたから」という、違反でもなんでもない理由で停車させ、クルマの前後に立ちはだかって移動できないようにして、つまり実質的な軟禁状態をつくって車内を検査させろと強要された経験があれば、警察が嫌いになるのも当然だろう。
ロシアでガチガチに重武装した警察官が一般人を捕まえてスマホを厳重チェック、監視のアピールが狙いとの指摘 - GIGAZINE
こんな記事を見て、「これ見て「うわーロシア警察エグい」と思った人、日本の警察も一緒だから。重武装はしてないが、銃を腰に下げ、複数人でよってたかって職質強要・持ち検強要平気でやってるから。数人で取り囲んで、間をすり抜けて移動しようとすると、体当たりしてきたとか公妨だとか言って」とツイートしたのは、4日前・3/7のことだった。
そうツイートしたのは、当然自分の過去の経験からだ。そのような経験をしているのは決して自分だけでないことは、2019年9/29の投稿や、そこで示した過去の投稿でも示してきた。
そんなツイートをしてからたった3日しか立たない昨日、弁護士ドットコムがこんな記事を掲載した。
工具所持の男性に「深夜5時間」の取り調べ、東京都に賠償命令 - 弁護士ドットコム
工事業者として車にナイフなどの工具を積んでいたのに、正当な理由もなく工具を携帯していたとして、深夜に5時間も警察に拘束された、という話である。自分も、キャンプ用に積んでいたテント固定用ペグを、警察官から凶器だと言われたことがあり、それ以来車内を検査させろという警察官には一切応じないようにしている。で、応じないと、警察官は車の周りを囲んで移動できないようにして軟禁状態をつくり、車内検査を強要してくる、という流れだ。
ロシアの警官が市民にスマートフォンを改めさせろと、重武装で実質的に強要しているのと同じようなことが、既に日本でも行われている。このようなことについて、「でも何かあってからでは遅い」とか言う人がいるが、では、だから人権侵害も仕方がない、と言えるだろうか。通信の秘密という概念を知っているだろうか。職務質問や持ち物検査の不当な強要は違法な捜査である、ということを知っているだろうか。法を守らない警察官が、何かあった時に市民を守るだろうか。自己保身に走ることを優先しかねないとしか思えない。
このようなことについて、「でも何かあってからでは遅い」とか言うのは、自分が標的にされなければ何も問題ない、と言っているにも等しい。
ロシアでは反戦を訴えただけで逮捕される、という話があちらこちらから聞こえてくる。それについても日本も決して対岸の火事ではない。首相や大臣の演説をヤジったり、抗議したり、政府に疑問を呈するプラカードを掲げただけで警察に排除される、という事案が既に発生している。
- 首相や政権を揶揄すると警察に連行される国(2019年7/17の投稿)
- 政府に異議を唱えると排除される国になった日本(2019年8/28の投稿)
果たしてこれでも、日本の警察は世界的に見ても優秀、と言えるだろうか。自分には全くそんな風に思えない。日本の警察もロシアの警察とほとんど何も違わないじゃないか、という感しかない。市民を守る組織ではなく、単なる権力者の犬じゃないか、としか思えない。それに加えて、自分の経験上、自分達こそが正義である、と信じて疑わない人たちが警察官には少なくないのだから、警察を嫌いになるのも当然だろう。
ナチに関連したドキュメンタリーでは、ナチ党員はユダヤ人らの排除や虐待、非人道的行為をなぜ平気で行えたのか、ということについて、凡庸な悪という概念が大抵出てくる。
この凡庸な悪という考え方は絶対的に正しいとは言えないようだが、ナチによるユダヤ人迫害のような悪は、根源的・悪魔的なものではなく、思考や判断を停止し、命令に盲従した人々によって行われた、つまり、こんなことを決定したのは、これをやっているのは、自分ではない、のような感覚がそのような非道を可能にした、という話にはある種の説得力があるし、凡庸な悪ではなかったとしても、正義の行いをしている!正しい行いをしている!という感覚に陶酔する事で自己正当化を図った結果、ということにはなるだろう。それは、地下鉄サリン事件後に逮捕されたオウム真理教幹部らにも見てとれた。
警察の中に、人権侵害や違法な捜査を厭わない人たちがいるのも、そのようなことについて「でも何かあってからでは遅い」と肯定的な立場を示す人がいるのも、それと同じようなものではないだろうか。
トップ画像には、暴動 暴力 アナーキー - Pixabayの無料ベクター素材 を使用した。