おかしな話、には幾つかのニュアンスがある。筋が通っておらず理不尽な、非合理的な話のような意味で使うこともあるし、滑稽で笑える面白い話のような意味で用いる場合もある。トップ画像にあしらった絵文字からも分かるように、この投稿における おかしな話 は、前者のような、辻褄の合わない、説明がつかない、恣意的な話、のような意味だ。
この投稿で取り上げるのは、昨日目についた3つのおかしな話だ。まず1つめは、このツイートの話である。おかしな話なのは当該ツイート自体ではなく、ツイートで異論が呈されている話の方である。
日本の教育現場には似たような馬鹿げた話が他にもたくさんある。たとえば、服装検査までやって生徒に対して「身だしなみがなってない」と言うくせに、自分はジャージや半袖短パンで授業をやる教員が大勢いるのが日本の学校である。ジャージや体操着で座学を受けることを認めている学校ならまだしも、生徒には座学の際に制服着用を強制する一方で、自分たちは平気でジャージや半袖短パンで授業をやっているなんてケースが確実にある。
また、生徒には頭髪検査をやって整髪料使用を禁止したり、黒髪強要までやるのに、ボサボサの頭で盛大に寝癖つけた教員が授業やっていたりもする。 女の先生はパーマもかける。年配の女性教員は紫色に髪を染めたりもする。パンチパーマで髭面の体育教師もいた。生徒にはダメと言いながら教員はそれを平気でやったり、身だしなみの全くなっていない者がいたりもする。
これをおかしな話と言わずに、何をおかしな話と言おうか。
2つめはこの記事の件だ。成人年齢引き下げに伴う18-19歳の若者を狙ったアダルトビデオ出演強要問題に関し、自民、公明の与党は4/13にプロジェクトチームを発足させ、全年齢を対象に「問題のある契約はいつでも取り消し可能」にする新法創設を目指す方針を固めたそうだが、保護者の同意がなければ契約を解除できる「未成年者取消権」と同等の措置を18-19歳に適用することは法的に難しいと判断したそうだ。
AV出演強要は「問題ある契約」のみ全年齢で取り消し可能 18、19歳の取り消し権は断念 支援団体は「被害救済できない」:東京新聞 TOKYO Web
2022年4月からの成人年齢引き下げの影響によって、未成年者取消権が18-19歳には適用されなくなり、その年齢層を狙ったアダルトビデオ出演強要が再び社会問題化するのではないか、という懸念については、3/24の投稿でも書いた。この件について、与党でも対応する動きが見られたことは評価すべきだと思っていたのだが、この記事を見る限り、それは多分、選挙前であることを念頭においた見せかけの対応アピールでしかなかった、ということなのだろう。
なぜなら、与党自公は、18-19歳に限らず全年齢を対象に「問題のある契約はいつでも取り消し可能にする」新法の創設を目指す、としているが、なぜこれまで18-19歳が未成年取消権の対象になっていたのかと言えば、20歳未満の判断力は充分とは言えず、契約に瑕疵がなくても、相手の違法行為を立証しなくても契約を無効にできる制度で保護すべきということだったからだ。成人年齢引き下げは、18-19歳も20歳以上と同等の判断力があるよね?という建前で与党が主導して成立させたのだが、それが建前でなく実態であるということなら、与党側はプロジェクトチームなど立ち上げずに、18-19歳も20歳以上と同様に扱うべきなので対応は必要ない、とハッキリ言えばいい。しかし表面上、プロジェクトチームを立ち上げ対応している、という姿勢を取っているので、選挙前であることを念頭においた見せかけの対応アピールでしかない、と揶揄している。
なぜ表面上対応しているという姿勢と言えるのか。それは、問題のある契約はいつでも取り消しできる、というのは、AV出演強要に限らず、18-19歳に限らず、これまでもそもそも問題のある契約は何事についても無効だったからで、つまり与党自公は、何かやっているようで何もやっていない、これまでとほとんど何も変わらないことを主張して、あたかも対応しているかのように振る舞っているだけだからだ。
これをおかしな話と言わずに、何をおかしな話と言おうか。
3つめは、朝日新聞の男女格差問題に関するツイッターアカウントによる、このツイートである。
これは、昨日の投稿でも触れた、議員への有権者や先輩議員によるハラスメント/嫌がらせ防止を目的とした、全国の地方議員の被害体験を基に作成した動画を、政府がYoutubeで公開したこと、に関する記事の紹介ツイートである。
当該ツイートは、女性地方議員/候補の多くが、有権者/支持者からセクハラの対象にされた経験があり、それが、多様な人が政治家を目指すことを阻んでいる、つまり男性によるセクハラが女性の立候補を妨げる大きな要因になっている、という趣旨である。
それは決して全く事実無根とは言えない。むしろその通りだとさえ言えるだろう。しかし、こんな伝え方は決してフェアとは言えない。こんな動画を公開する一方で、7年も政権を担当してきたのに202030を達成せず、目標の達成時期を10年も先送りし、候補者男女均等法も成立後最初の選挙から無視しっぱなし、選択的別姓も頑なに認めようとしない政府と与党の責任逃れ/責任転嫁に加担しているようにすら思える。
たしかに、男性有権者/支持者による女性候補者へのセクハラが、女性が政治家に立候補するモチベーションを削いでいる側面は確実にある。しかし候補者男女均等法成立後最初の選挙からそれを無視し、公認候補者数全体に占める女性の割合が1割にも満たない自民と公明、それによる政府も、確実に女性の立候補を妨げている側であり、その与党自公と政府が、セクハラが女性の立候補の妨げになっているだなんて、自分たちを棚に上げて一体どの口で言っているのかと批判するのがメディアの役割ではないのか。
そのようなことは、記事の有料部分に書いてあるのかもしれないが、当該ツイートだけを見た人は、果たしてそこからどんな印象を受けるか。ここで説明したような裏側を勘案しなければ、話の裏の説明がなかれば、政府と与党は議会の男女格差問題に積極的に取り組んでいる、と読み取ってしまうのではないか。
これをおかしな話と言わずに、何をおかしな話と言おうか。