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無理筋な説明や言い訳の免罪符化を許すな

 イスラムにスンナ派、シーア派、イバード派があり、仏教にも部派仏教、上座部仏教、大乗仏教、密教などがあるように、キリスト教にもギリシャ正教、カトリック、プロテスタントなどの宗派がある。プロテスタントは比較的新しい宗派で、16世紀にカトリックから分離して誕生した。

 カトリックからプロテスタントが分離した背景には、マルティン ルターらによる、カトリック教会の改革を求める宗教改革運動があった。ルターは、教皇レオ10世がサンピエトロ大聖堂建築資金集めの名目で贖宥状を乱売したことを強く批判した。

 贖宥状は、日本では免罪符とも呼ばれる。免罪とは言うものの、実は罪を免れる為のものではなく、犯した罪の償いを免除される為のものだ。つまり罪自体を帳消しにするわけではない。それでも、教会に金を払って免罪符を買えば、罪に対する罰から逃れられる、という性質のものではある。で、ルターは、教会がカネ儲けの為にそんなものを乱売しているのはおかしい、と指摘・批判したのだ。


 何はともあれ、日本では強引な言い逃れや無理筋な説明・言い訳を指摘批判する場合に、「それは、〇〇したことの/〇〇と言ったことの免罪符にはならない」のような言い回しをする。そんな説明では行為や言説を正当化することはできない、のような意味で。

 CBCテレビによると、厚生労働省は新型ウイルスの新規陽性者数について、新型コロナワクチンを打ったか打っていないかで分けて公表しているが、ワクチンを打っている人の一部が未接種者扱いになっていたそうだ。名古屋大学の小島 勢二名誉教授からそう指摘を受けた厚労省は、突如データを修正し、その結果、ワクチンを打っていない人の新規陽性者数が大幅に激減した。つまり、新型ウイルスに対するワクチンの効果が実際よりも高く見えるように厚労省は数値を改竄・捏造していた恐れが強い、ということである。

新型コロナワクチン打っても“未接種扱い”にしていた…厚労省「理由は不明だが意図的なものではない」 | 東海地方のニュース【CBC news】 | CBC web

 厚労省はこの件について、「未接種に分類していた理由は不明だが意図的なものではない」とコメントしているが、CBCテレビの取材に対して小島教授は、

海外の報告を見ると、オミクロン株にはワクチンの予防効果がかなり減ってしまったという話が1月の時点であった。ところが厚労省が出しているデータを見ると、(予防効果が)すごくいいんですね。海外は(予防効果が)20%になったというのに、日本では最初の治験のデータと同じで、まだ90%あった。これはおかしいな、日本人は特別かなと

と言っている。つまり、専門家が少し気をつけて数値を見れば、何かおかしいということには気づけるはずだ。特に感染症対策を行っているなら、海外の傾向に興味を持たないはずはないし、自国の状況とそれを比較しないのもおかしいのだから。でも、厚労省では誰もこれに気づかなかった、政府の専門家会議なんて人たちも誰も気にもとめなかった、で、外部から指摘され初めて気づいた、ということになっているのだ。そんなのはおかしすぎる。

 もし万が一、本当に実際に厚労省で感染症対策にあたる人のうち誰も気づけなかったのだとして、事実と異なる数値を公表したのは意図的ではない、なんて何の免罪符にもならない。結果的にでも不適切なデータを公表したのだから。
 厚労省は、直前の数年間だけでも、裁量労働制に関して政府に都合のよいデータ収集・捏造をやって、それが発覚しそうになれば隠蔽しようとしていたし、GDPの計算や保険などにも用いられる毎月勤労統計調査でも、政府に都合のよい方向で不正が行われていたことが発覚している。それで、事実と異なる数値を公表したのは意図的ではない、なんて言ったところで、どこのお人好し・スボラがそんな話を信用するだろうか。今回も政府に都合のよい方向性なのだから。
 殺人犯は大抵「殺そうとは思ってなかった」と言うし、いじめて誰かを自殺に追い込んだ奴も「いじめと思ってなかった」と言う。それと何が違うのか。意図云々で免罪されると思っているなら大間違いだ。


 昨日の投稿では「ナチは良いこともした」と主張する人たちの論理性のなさを指摘した。彼らはなぜそんな主張をしたがるのか。そこには、戦前日本がアジアを侵略したこと、暴力を働いたことを少しでも免罪したくてそんな主張をしているのではないか、とか、外国人などを差別することを正当化したくてそんな主張をするのではないか、のような仮説をSNS上で複数見かけた。
 その仮説の信憑性がどれほどかは定かでないが、かと言って荒唐無稽とも思えない。自民党の政治家を筆頭に、戦前日本を賛美したがり、戦前に日本が犯した罪を有耶無耶にしたがる人たちは確実にいる。ナチがユダヤ人を差別したように、戦前の日本でも朝鮮人差別が確実にあったし、それは今も在日差別として根強く残り続けているのだから。そんな人達が、ナチは良いこともした、という話を免罪符代わりにしようとしている恐れは否定できない。

【実録】Twitterで「在日さっさと国に帰れ」とヘイトされる → 訴えるか考えていたら即逃亡 → 当人と話をしてみた | ロケットニュース24

 このような記事を目の当たりにすると、日本社会は気軽に人種民族差別をやる人がザラにいる社会であり、小学生がやるレベルのクソみたいないじめ、というか人権侵害をサラッとやる大人がいる社会だ、とあらためて実感させられる。
 マスクの着用については、個人でそれぞれ感覚の違いもあるだろう。自分も人が密集してない場所、特に屋外ではマスクを着ける必要性を感じない。しかし、飲食店などで飲食前のマスクの着用を求められることを否定することはできないし、寧ろ混雑時ならば着用すべきだとも思う。だから着用を求められた際にそれを嫌がり、ギャーギャー言ってる客は迷惑な客だとも思う。しかしそのようなことと在日韓国人/在日朝鮮人かどうかは一切関係のないことだ。なのに民族性を絡めて、キチガイだとか国へ帰れだとか言うのは、明らかな人種民族差別だ。
 この記事に出てくる、SNSで明らかな人種民族差別をやった人は、ストレスが溜まっていたとか、ストレス解消の為にやったとか言っている。この人が「ナチは良いこともした」と言っているわけではないものの、論理性に著しく欠けている、という点は共通していて、そんなことで人種民族差別をやる人なら、「ナチは良いこともした」とも言い出しかねないな、という気もする。


 無理筋な説明・非論理的な話を免罪符にしようとする、ということから考えると、政府にとって都合のよい方向の不正な数値を公表しつつ、「(捏造や改竄を目論んだ)意図的なものではない」なんて言っている厚労省は、いや、そのようなことは今の政府関連組織はどこでも言いかねないので、今の自民政府というのは、人種民族差別を平気でやるような人と同レベルで、論理性に著しく欠けていると言ってもよいのではないだろうか。
 この投稿の中で、日本では強引な言い逃れや無理筋な説明・言い訳を指摘批判する場合に、「それは、〇〇したことの/〇〇と言ったことの免罪符にはならない」のような言い回しをする、と書いたが、そのような指摘や批判がなされなければ、無理筋な説明や言い訳の免罪符化を許すことになる。指摘や批判がなされても、相手がそれを無視することを許せば、結局無理筋な説明や言い訳の免罪符化を許すことになってしまう。
 今の日本では、本来そのような指摘や批判を担うはずの大手メディアが政府に忖度したり、政府と癒着したりしていて、その役割を果たさない。また有権者も、こんなにも不正が横行しているのに、それでも自民党を与党に選び続けており、彼らが無理筋な説明や言い訳の免罪符化するのを許してしまっている


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