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溶けていく、溶かされていく円の価値

 ここのところ、このブログのトップ画像以外にもコラージュをいくつか作っている。トップ画像はその一つで… という書き出しで昨日の投稿を書いたが、今日のトップ画像もまたその一つだ。これは札束がアイスのように溶けるイメージを表現したもので、この数ヶ月の急激な円安と、その勢いが止まらないこと、円の価値がどんどん失われていくことを風刺したものだ。

円が130円台に急落、日銀による指し値オペ毎営業日実施方針受け - Bloomberg

円下落、126円台 20年ぶり安値水準―急変「大変問題」・鈴木財務相:時事ドットコム

 円安が進んでいる理由はいろいろあるんだろうが、ほんの数年前まで、何か世界的な情勢不安が生じると「リスク回避ムードが高まった結果、比較的安全とされる資産の円が買われ…」なんて話をよく耳にした。

しかし、今はロシアによるウクライナ侵略の只中にあり、また今もまだ新型ウイルスの悪影響も収束したとは言い難い状況であるのに、これまでと違って円高ではなく円安になっている。しかも急激に。ということは、この数年で、円は ”比較的安全とされる資産” ではなくなった、ということだろうか。
 自分は為替や経済の専門家ではないので、詳しいことはよくわかっていない。しかし、もし自分が非日本人で大きな資産を持っている立場だったとして、今円を買いたいか?と言われたら、そうは思わないだろう。なぜなら、この数年日本では政府による公文書や統計データの改竄や捏造が相次いでいて、昨年はGDP算出に大きくかかわる基幹統計データの改竄まで明らかになった。しかも今も続く自民党政権が成立してすぐ、経済政策を目玉にした安倍自民政権成立の冒頭からそんなことが行われていた。つまり、日本が発表するデータの全て、少なくともこの10年程度のデータや発表全てに、粉飾の疑いがある状況になってしまっていて、そんな国の通貨を積極的に買いたいか? そんな通貨で資産を運用したいか? と言われたら、買いたくない運用したくない、と思うのが人情だろう。


 円安で輸出産業が儲かるというが、日本企業の多くは内需に頼っていて、輸出で儲けているのは自動車会社などの大企業がその大半だ。この10年、日本では大企業ばかりが内部留保を溜め込み、その儲けが社会的に還元されることもなく、平均賃金は寧ろ下がっている。日本の食料自給率は2017年で38%と、半分以上を輸入に頼っている。つまり円安は食料品価格の値上げに直結し、賃金も上がっていないのだから、日本人の暮らしは確実に厳しくなる。
 日本政府・円の信用云々以前に自民政府は円安政策を続けてきたわけで、それは、庶民を犠牲に大企業に儲けさせる為の政策でしかなかった、ということでもある。それでもまだ、有権者が自民党を選びつづけるんだとしたら、生活が厳しくなるのは当然だ。そして、改竄捏造を厭わない政府・政治を容認するなら、日本全般が国際的な信用をさらに失っていくことも当然である。


 現首相の岸田が、外遊先の英国で「国民の資産所得の倍増を実現する」と発言したそうだが、

「資産所得倍増」実現への道筋は?: 日本経済新聞

 岸田政権もこれまでの自民政権同様に恣意的な言い換えなどが多く、倍増とは2倍に増えるという意味ではない、と平気で言うような人たちなので、こんな話に乗れば足をすくわれることになるだけだ。信じる者は救われる、という言い回しがあるが、自民党を信じ続けたところで足をすくわれるだけであり、信じる者は救われるならぬ、信じる者は足をすくわれる になるだけだろう。



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