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(立憲)民主党

 参院選は余程のことがない限り予定通りに行われるものなので、今年・2022年夏に選挙があることはずっと前から分かっていたことであり、昨年の後半からずっと選挙前感はあったが、いよいよ選挙前という空気感になってきた。昨日の投稿では自民党の偽りの選挙ポスターについて書いたが、今日は野党第一党の立憲民主党について書く。

 立憲民主党が参院選に向けたWebページを開設した、というこんなツイートがタイムラインに流れてきた。

 まず、このツイートへの反応が、ツイートから約24時間の時点で、59件のリツイート/5 件の引用ツイート/91件のいいね しかない、というところに、今の立憲民主党の影響力の低さ、期待されてなさ加減が現れている。正直なところ自分も、自民党よりは遥かにマシだとは思うものの、現在の立憲民主党、昨年11月の衆院選以降の泉体制の立憲民主党には、あまり期待が持てない、と感じている。

 泉体制の期待のもてなさ加減は、立憲民主党が参院選に向けて掲げた「生活安全保障」というスローガンが強く物語っている。なぜ「安全」を入れる必要があったのか、なぜ「生活保障」とか「社会保障充実」などでなく「生活”安全”保障」としたのか、というところに目がいってしまう。少なくとも自分は。

立憲民主党 | 生活安全保障

 立憲民主党が参院選に向けたスローガンを「生活”安全”保障」とした理由は、この画像からも分かるように、03着実な安全保障 というのをアピールしたかったからなんだろう。それについて更に説明しているページ

を見れば、立憲民主党が考える安全保障政策は自民党のそれとは一線を画すことは分かる。「日米地位協定の改定・改革を進めます」「核共有は認められません」「辺野古新基地建設を中止し、沖縄における基地のあり方を見直します」という文言もある。しかし一方で、東京新聞はこんな記事を書いている。

時限的に消費税率5% 立憲民主が公約発表 安保では「自民とそっくり」と党内から異論も:東京新聞 TOKYO Web

公約には「弾道ミサイル等の脅威への抑止力と対処能力強化を重視」「極超音速兵器等の新たな脅威への対処能力の研究開発を加速」など過去の党の公約にはなかった言葉が並んだ。政府・自民党が検討する「敵基地攻撃能力の保有」に関する記載はないが、泉健太代表は記者会見で、党としての考えを問われても、明確に回答しなかった。
防衛費では大幅増を打ち出す自民党との違いもみせたが、党内の左派からは「自民党の政策とそっくり」「安全保障ばかりで外交の視点が少ない」といった不満が漏れる。若手議員の一人は「失う票の方が多いのではないか」と懸念している。

 そもそも安全保障とは、軍事的な観点のみならず外交も内包する概念だろうから、「安全保障ばかりで外交の視点が少ない」というのは少し論理性に欠ける気もするが、しかし安全保障という言葉には、1960年代から日米安保/日米同盟のイメージがつきまとっていて、安全保障=軍事的な対応という印象が強いのも事実だろう。
 だから自分も、なぜスローガンを「生活保障」とか「社会保障充実」などでなく「生活”安全”保障」としたのか、が気になったのだ。立憲民主党の既存支持者は安全保障をスローガンに含めたことにネガティブなイメージを抱きそうだし、これまでの非支持者から一目おかれそうかと言えばバカにされるだけで、デメリットの方が大きいのでは? という思いにかられた。

 前述したように、この安全保障分野の公約にせよ、他の分野の実質的な社会保障などの公約にせよ、明らかに自民党よりは遥かにマシで、どちらかを選べと言われたら間違いなく立憲民主党なのだが、しかしこの「生活安全保障」というスローガンで新たな支持が広がるとは到底思えないし、寧ろ既存支持層から嫌悪感を抱かれれるだけ、のような気がしてならない。


 今日のトップ画像を、なぜ旧民主党のロゴと立憲民主党のロゴを組み合わせたコラージュにしたのかと言うと、今の立憲民主党は結局民主党に逆戻りしているように思えるからだ。

 民主党とは、大まかに言えば、1990年代に55年体制が終わって自民党の一部が分離し、一旦細々とした勢力となった後に集合して出来た党だ。そして2009年には遂に自民党から与党の座を奪い、2012年まで政権を担った。

 しかし民主党は、自民から一度細々とした勢力に分かれた人たちの集まりであったこともあり、旧自民党同様に派閥間の争いが激しく、党内での足の引っ張り合い、責任の押しつけあいも目立った。また、2012年の下野後は、維新と合流して民進党となったりもした。民主党は基本的には左派政党だったが、左派から中道右派、中には現在右派や極右と言えるような人たちまでがいて、まとまりがある政党とは言えなかった

 2017年衆院選の前に、東京都知事となって勢いづいていた小池百合子が希望の党を立ち上げ、民主党(民進党)と合流話が出たが、小池が民進党の全てを受け入れるということではないと表明したことで、民主党は、希望の党へ合流する勢力と、枝野 幸男を中心に分離独立した立憲民主党に分かれた。そんなドタバタで自民党が選挙で漁夫の利を得たが、野党側の選挙結果は希望が惨敗し、立憲民主党が野党第一党となった。つまり、立憲民主党は民主党から左派が分離したこと、右派が排除されたことで野党第一党となった党だった。
 だが、希望の党が惨敗の結果迷走し第1次国民民主党となった後、現在も国民民主党を名乗る人たちを残して、その多くが立憲民主党へ合流することになり、その頃からどうも方向性が再び民主党に似てきた。旧民主党の右派は自民や維新へ移籍したり、立憲民主党に合流せずに第2次国民民主党に残っているが、立憲民主党へ移籍してきた中道左派の中には、本当は右派じゃないの?とも思えるような人たちがいて、例えば今の代表 泉 健太もそうだし、ことある毎に右派としか思えない言説を繰り返す原口 一博などもその典型的な例だ。


 今の立憲民主党は、左派から中道だけでなく、中道右派にも支持を広げようとして、「生活保障」とか「社会保障充実」などでなく「生活”安全”保障」というスローガンを掲げているんだろうが、そもそも立憲民主党は何が支持されてきたのか、ということを見誤っているように思えてならない。
 今のままではまた民主党の二の舞いとなり、2017年に希望と立憲民主に分離したようなことがまた繰り返されるのではないだろうか。


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