自民党の参院選候補・生稲 晃子は、同性愛者を全ての人に含めない、という指摘を昨日の投稿でした。そんなことはない、という人もいるかもしれないが、同性婚の法制化に明確に反対しているのに、「誰もが自分らしく生きられる国へ」なんて言っているのだから、そんな話は全く受け入れられない。
6/30に、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、一般社団法人日本音楽出版社協会の音楽4団体が、自民党本部にて、報道関係者に向けて「今井絵理子、いくいな晃子決起大会」を開催したそうだ。
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詳報しているのはエンカウントという耳慣れないWebメディアだが、スポーツ紙のデイリーも記事化している。自民党が催した決起集会に、今井や生稲を支援する音楽事業にかかわる4団体が参加したのではなく、音楽4団体が自民党本部で決起集会を開いた、ということのようである。
昨年、東京オリンピックが強硬されそれまでで最悪の感染拡大が引き起こされたことで、競技種目、いやスポーツ全般に対する印象がすこぶる悪化した。特に日本の各協会・選手らが、上の決定に従うだけ、という態度を示したことがその原因だ。そもそも自分は新型ウイルス危機以前からオリンピック全般にあまりよい印象をもっていなかったが、それを決定的に悪化させたのが東京オリンピックの異様さだった。
今や、スポーツ選手なんてのは自分の競技のこと以外なにも考えていないバカ、くらいにしか思えなくなっており、スポーツで希望を与え…なんてのは、ゆるふわにアホなことを言っているとしか思っていない。少なくとも自分にとっては、それくらいスポーツ全般の印象が悪くなっている。
聖火リレーの馬鹿騒ぎや、オリンピックに限って制限を緩和しようとする政府や組織委などに対して、選手らが異論を唱えていたら、その印象はまた違ったものだっただろう。長い物には巻かれろ、な選手たち、特に日本のスポーツ選手たちには強く落胆させられた。
前述の、音楽4団体が自民党本部で今井絵理子・いくいな晃子決起大会を開いた、というニュースも、それと同じ懸念を抱いている。今井がこれまでどんな政治活動をしてきたかを考えたり、生稲が同性愛者に対する差別むき出しで選挙活動をしている、ということ、彼女らが所属する自民党がどんな方針を示しているか、を勘案した上で、音楽4団体とやらが、彼女らや、さんざんライブ活動やクラブを新型ウイルス感染拡大の元凶のように扱ってきた自民党を支援すると言うのなら、スポーツ界同様に、日本の音楽界、音楽全般に対する印象は劇的に悪化する。
それを回避するには、アーティストを始めとした音楽業界関係者こそが、積極的にそれはおかしいと声をあげないといけないのだが、SNSなどではこれが結構話題になっている割に、そのような批判の声はあまり高まっていない。自分の知る限り、これに異論を呈しているアーティストや関係者は、
- ソウル・フラワー・ユニオン 中川 敬
- 七尾 旅人
- オーサカ=モノレール 中田 亮
- ラブ・サイケデリコ NAOKI
- ムーンライダーズ 鈴木 慶一
- 高橋 健太郎(音楽評論家、音楽プロデューサー)
- 河野 虎太郎(放送作家)
- SaveOurSpace
- スガナミ ユウ
- 折坂 悠太
- いとう せいこう
くらいだ。他にも異論を示している者はいるかもしれないし、SaveOurSpaceが意思表示して以降、#音楽業界4団体による今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持表明に抗議します というハッシュタグも生まれたが、それでも、音楽関係者らによる異論・批判が高まっているとはお世辞にも言えない。
自民党の麻生 太郎が、7/1に三重での講演の中で、
「政治に関心がないのはけしからん」とえらそうに言う人もいる。しかし政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国です。考えなきゃ生きていけない国のほうがよほど問題なんだ
と発言したそうである。
「政治に関心持たず生きていける国は良い国です」自民・麻生太郎氏 [参院選2022] [自民]:朝日新聞デジタル
多くの有権者が政治に興味を持たず、投票にいかず、自民党政権が10年も続いた結果が、深刻な円安と物価上昇だし、公文書やGDP算出データなど、ありとあらゆるものの改ざんと捏造、そして虚偽答弁の横行、政府が記者質問や野党議員の質問にまともに答えない状況だ。そりゃあ与党の政治家にしてみたら、国民が政治に無関心なほうが、やりたい放題できて都合がよいだろう。国民が政治家に関心を持たない国は、与党政治家にとってよい国だろう。
音楽関係者らも政治にあまり関心がないのか、前述の件に対してあまり声が上がらないが、そうやって無関心でいるから新型ウイルス危機冒頭でライブハウスやクラブ、コンサートがやり玉に上げられたんだろうし、また、明らかに同性愛者に対して差別的な党や候補を業界団体が支援することを否定しないなら、日本の音楽界は差別を容認している、と言われてしまっても仕方がない。
19世紀のアメリカの詩人・エラ・ウィーラー・ウィルコックスは、
To sin by silence, when we should protest, Makes cowards out of men. / 沈黙の罪とは、抗議すべきときに黙り込む卑怯者を生み出すことである。
と言っている。誰かが不当な扱いを受けている時に、見て見ぬふりして黙っているのは卑怯者のすることだ。
トップ画像には、Kowtow チベット 巡礼 - Pixabayの無料写真 を使用した。