10/13の投稿「行き当たりばったり」、10/15の投稿「行き当たりばったり 2」で、現政府の、特に消費税に関する政策・検討に関する行き当たりばったり感について書いた。10/15の投稿では、消費税率を来年10/1に現行の8%から10%へ引き上げることが景気に与える悪影響への対策の一つとして、
中小小売店での商品購入時にクレジットカードなどを使った消費者に対し、購入額の2%分をポイントで還元する案を政府・首相が示したと読売新聞が報道したことを受けて、クレジットカード決済の環境が整っていない小売店がこれを機にインフラを整えるとは考えにくい事、クレジットカード決済の環境を整える為に国が援助を行うことで、もし環境が整えられたとしても、小売店はクレジットカード決済分に関しては、カード会社に概ね5%の手数料を支払う必要があり、これまでの現金決済では必要なかったその手数料は、少なからず商品価格に反映されることになるから、2%ポイント還元されたところで、5%の手数料が商品価格に上乗せされれば、消費者は結果的には損をすることになる、もしくは小売店が自腹を切ることになるだろう、とその矛盾を指摘した。
またそれとは別の視点でこの方針に批判的なこんなツイートが、昨日自分のタイムラインに流れてきた。
確かにこのツイートの言う通りだ。クレジットカードを親から持たされている子供もいるかもしれないが、基本的に子どもの多くはクレジットカードを持っていない。また、子どもがスーパーマーケット以外で日常的に買い物をする事が多いであろう、駄菓子屋や駄菓子屋兼文房具店・玩具店のような店にはクレジットカード決済の環境があるとは考えにくい。そもそもそのような店は年間売上的に消費税納税免除対象である可能性も高いのかもしれないが、スーパーマーケットで同じ物をクレジットカードで買えばポイントの対象となるのに、小規模店舗ではいくつかのハードルの所為で対象にならないような制度ならば、結果的に小規模店の経営を悪化させることにも繋がりかねない。クレジットカードを持てない子どもがお店でお菓子や文房具を買うと10%の消費税で、クレジットカードを持った大人が同じものを買うと2%還元?バカじゃないの?— しま子 (@hanamikeflower) 2018年10月15日
このような指摘を受けてなのかどうかは分からないが、10/15の方針の正式発表以降は、
中小規模の店舗でクレジットカードなどキャッシュレス決済をした人へのポイント還元を検討しているというような、クレジットカード以外のキャッシュレス決済についても言及した内容に話がスライドしている。10/14の読売新聞のクレジットカードのみしか触れていなかった表現が適当ではなかった可能性もあるが、政府寄りの報道も多い読売新聞の傾向を考えると、読売新聞の記者が「クレジットカードなどキャッシュレス決済」という話を、単に「クレジットカード」と言い換えて記事を書いた恐れが高いとは考えにくい。取材内容(というか、恐らく政府の意図的なリーク)をそのまま記事化した可能性の方が高いと思える。要するに、10/14の読売新聞の記事が掲載され、方針に批判が集まった為に「クレジットカード」としていた部分を「クレジットカードなどキャッシュレス決済」と言い直したというのが実態のように思う。言い換えればこれも「行き当たりばったり」の1つではないだろうか。
その後も更に「行き当たりばったり」感は上塗りされている。朝日新聞の記事「増税対策、現金配布案浮上 「田舎の魚屋、クレカない」」で書かれているように、批判を受け手か今度は、キャッシュレス決済に対応出来ない層の為に商品券や現金給付を検討し始めたそうだ。まさに「行き当たりばったり」感ここに極まるとしか言いようがない。ものは言いようで、状況に合わせた「柔軟な対応」とも言えるかもしれないが、単に見通しの甘い政策・検討案を修正しているだけとも言えるだろう。
見通しの甘い政策・検討案が一定程度浮上することは、様々な可能性を見据えた政策を行う為にはある程度仕方のないことかもしれないが、消費増税に関しては現政権が成立した時からの既定路線だし、しかも首相は自身のそれまでの発言を覆して、これまでに2度も延期している事案で、検討には充分な時間とリソースを割くことが出来た筈だ。にもかかわらずこんな程度の低い案を今更発表し、しかも行き当たりばったりで後付けの案がどんどん出てきて、しかもどれも付け焼刃的な内容でしかないようなら、現政権は「行き当たりばったり」、要するに政権運営能力に乏しいという事になりかねないと考える。