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かつてない程世界を動かした総理大臣の国連総会演説にしては…


 千葉を始めとした関東各地が台風被害に苦しむ中、災害対応そっちのけで組閣された内閣(9/11の投稿)の新文科大臣・萩生田氏は、6/25の衆院本会議で行った内閣不信任決議案に反対する演説(演説当時は自民党幹事長代行)の中で、
これだけ世界を動かした総理大臣が、かつていたでしょうか?
と安倍首相を最大級に称賛して見せた。その演説内容への違和感については、6/28の投稿で書いたので割愛する。そして約3ヶ月後のここに来て再び、その演説内容、「安倍氏はかつてない程世界を動かした総理大臣」という話の違和感が強調されることになってしまった。


 その違和感を約1分50秒のムービーにまとめて見た。


 9/24、安倍首相は国連総会で一般討論演説を行った。萩生田氏は、安倍首相のことを「かつてない程世界を動かした日本の総理大臣」「TPPをまとめたことで、世界中から称賛されている」と、まるで”安倍首相は世界の牽引役たるリーダー”かのように褒め称えていた。しかしそれにしては国連での彼の演説に対する注目度がかなり低いのである。


 まずは、世界一の大国・アメリカ大統領のトランプ氏の演説の様子を紹介する。



 誰の目にも明らかな程、議場の席は埋まっている。つまり、彼に対の演説やこれまでの姿勢等への賛否は別としても、注目度は明らかに高い。

 一方、日本の総理大臣・安倍氏の演説では、


明らかに空席が目立っている。しかも空席が目立たぬようにカメラの画角も中央に寄り気味になっている。トランプ氏との違いは明らかだ。
 但し、このような状況は安倍氏に限った話ではなく、トランプ氏以外は軒並みこんな状況だ。それは国連の公式Youtubeチャンネルで公開されいている各国首脳の演説の映像で確認できる。イギリス・ジョンソン首相ロシア・ラブロフ外相中国・王毅外相、そして何かと話題になることが多いニュージーランド・アーダーン首相の場合も、議場の埋まり具合は安倍氏のそれと大きく違わない。
 しかし、萩生田氏は安倍氏をあたかも「世界中が注目し称賛する主たる世界のリーダーの1人」かのように称賛したのに、世界から国連に参加している人の注目度を見ると、決してそんなに評価は高そうには思えない。世界一の大国のトップであり、良くも悪くも注目されるトランプ氏程ではなくとも、少なくとも他国首脳らよりも議場が埋まっていなければ、萩生田氏の話に説得力はない。「萩生田氏の安倍氏に関する評価は過大」と言って差し支えないだろう。


 因みに、9/24の投稿でも触れた、気候変動問題への対策強化を訴える活動で注目されているスウェーデンの高校生・グレタ トゥーンベリさんが参加したイベントの席の埋まり具合はこんな感じだ。


総会での演説とは条件が違うが、それでもトゥーンベリさんへの注目度の方が、萩生田氏が「かつてない程世界を動かした、世界中から称賛されている」と褒め称える日本の総理大臣よりも明らかに高い。


 1枚とても興味深いスクリーンショットを紹介しておく。これは安倍氏の演説が始まってから約1分後に、カメラがとらえた日本政府関係者の様子である。


首相が演説を始めた約1分後に、関係者の1人が大きなあくびをしている。もしかしたら彼は前日準備に追われ寝不足だったのかもしれない。しかし、この映像からは「退屈なんだろうな…」と連想してしまう。


 因みに、安倍氏の演説時のガラガラの議場を映したカットは、日本のテレビでは(アベマも含めて)軒並みカットされている。ざっと確認しただけだから、もしかしたら使用した局や番組もあったのかもしれない。短くまとめた映像だからクローズアップカットだけを使っているという可能性もあるが、軒並み忖度報道している現在のテレビ局のことだから、安倍氏の印象が悪くなるかもしれない映像は省いているのだろうと推測する。1例として、報道ステーションが放送した映像を紹介しておく(【報ステ】イランと米国の“板挟み”安倍総理が演説 より)。


 首相の公式ツイッターアカウントも、こんな感じの不自然なアングルで撮影した写真を使用している。



しかし、この画像も良く見ると、手前の席がガラガラなのは見ての通りだし、


拡大すれば、演台の向こう側の空席や、その後ろのガラスに中央側の席もガラガラなのが映り込んでいるのがわかる。「上部のモニターを両方入れたかった」というアングルのつもりなのだろうが、国連の公開した映像を見れば議場の状況は分かるし、下手な小細工などしなければいいのに…と感じてしまう。

 もっとも、首相や政府与党などは、下手な小細工をこんなことに限らずこれまでにも多数行っていて、それでも支持率が落ちない、落ちないどころか上昇することだってあるのだから、小細工を止めないのも仕方ないようにも思う。

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