「賄賂」。コトバンク・大辞林では「職務に関して受け取る不正な報酬」と説明している。また、同・精選版 日本国語大辞典では「公務員またはこれに準ずる者が職務に関して受け取る違法な報酬。金銭・物品ばかりでなく、人の欲望を満たす一切のものを含む」と説明している。賄賂は決して公務員や政治家だけの問題ではないものの、多くの賄賂に関する問題には公務員や政治家が絡む。公務員に関しては主に刑法の賄賂罪、政治家の賄賂に関しては、公職選挙法や政治資金規正法などでも規制されている。
賄賂に関してだけをそう呼ぶわけではないが、賄賂に手を染めることを「汚職」と呼ぶ。汚職が蔓延すること等を指して「腐敗」と表現したりする場合もある。
9/22の投稿で、9月に災害対応そっちのけで組閣された新たな内閣の大臣らに関する、不適切な献金と反社会勢力との関係疑惑が報じられたことについて書いた。9/22の投稿のトップ画像は、
を用いた。この画像を持ちいたのは、高市総務大臣と菅原経産大臣に不適切な献金を受け取っていた事実が発覚したが、2人とも「不適切な献金と認識していなかったが、指摘を受けて確認したところ事実だった為返金した」という体裁で、事態の収拾を図ろうとしていたからだ。
「「日本でダメと知らなかった」自作の原付を走らせたペルー人書類送検 | ニュース | テレビ静岡」によると、湖西市で無免許で原付バイクを運転したとして、ペルー人男性が書類送検されたそうだ。男性は同市の市道で、自転車に原付エンジンを載せた自作の乗り物に乗っていたそうで、記事に掲載されている映像を見るとこの自作のバイクには方向指示器や尾灯、ナンバープレートなどがない。男性は、見出しにもあるように「日本でダメだと知らなかった」と話しているらしい。
国の大臣が、不適切な献金を受け取っていても「知らなかった」という理由で、返金するだけで問題がないということになるのなら、このペルー人男性だって、日本では違法であることを「知らなかった」のだから、指摘を受けて使用を止めればそれで問題ない、という判断になりそうなものだが、この男性は書類送検されている。何とも不公平感のある話だ。
「不適切な献金を受け取ったが、知らなかった。返金したから問題はない」として事態の収拾を図った大臣の1人・菅原経産大臣には、地元の有権者にメロンやカニなどを贈った疑惑も浮上している。10/18には「菅原経産相指示「この人はカニ、この人はイクラね」 立憲が元秘書の音声データ公開 - 毎日新聞」という記事も報じられた。
「不適切な献金は返金したので問題はない」と言っているのだし、「菅原経産相、立憲入手のリスト「先週金曜に初めて見た」 秘書ら金品配布疑惑 - 毎日新聞」と、この件についても自分は知らなかったということにする方針のようなので、菅原氏は恐らく近日中に「贈ったメロンやカニ、イクラは既に返してもらったので問題はない」と言い始めるだろう。
「不適切な献金を受け取ったが、知らなかった。返金したから問題はない」として事態の収拾を図ったもう1人の大臣・高市氏も「政治家個人への献金「暗号資産は規制対象でない」と総務相 - 毎日新聞」という見解を示したそうだ。先月、関西電力の経営陣20人が、原発立地自治体の福井県高浜町の助役から3億2000万円もの金品を受け取っていたことが発覚し(9/28の投稿)、大きな波紋を呼んでいる最中に示された見解であり、どうかしているとしか言えない。彼女は、
同法(政治資金規正法)が禁じる「金銭等」は金銭、有価証券だと説明し「暗号資産はいずれにも該当せず、寄付の制限とならないと述べたそうだが、刑法の賄賂罪では賄賂は金銭・有価証券に限定されていない。バカも休み休み言って欲しいのだが、高市氏だけでなく政府はこれを閣議で確認するということをした(政治家個人への献金「仮想通貨は規制対象外」 政府答弁書 - 毎日新聞)。
総務大臣のみならず政府全体で「仮想通貨による寄付は規正法の対象外」としたということは、資金集めの布石とも考えられるし、もう既に政府与党内に仮想通貨による寄付を受け、収支報告書に記載していないケースがあり、それを正当化する為の対応とも考えられる。どちらにせよ「汚職・腐敗」の温床を政府が自ら作り出しているとしか言えない。
こんな状況にもかかわらず、時事通信が10/11-14に実施した世論調査では、内閣支持率は前月比から微増の44.2%だったそうだ。不支持率は微減の33%だったらしい。この投稿で示したような事案だけでなく、景気悪化が明白な中で、今月から消費税も10%へ引き上げられたのに、である。内閣支持理由のトップは相変わらず「他に適当な人がいない」だそう。まさに世も末としか言いようがない。
しばしばツイッターのタイムラインに、
「安倍さんを降ろして、その先はどうするんだあ!」という安倍信者みたいなのがいた。チンパンジーがトラックを運転していたら、とりあえず止めるのが先でしょう。バカなんですかね??— 適菜収bot(メルマガ始めました) (@tekina_osamu) October 19, 2019
という話が流れてくるのだが、納得させられる一方で、チンパンジーには4歳児程度の知能があるそうで、実際どうだったのかは定かでないが「「バスを運転するサル」がネットで大人気 → 人間の運転手は停職処分に | ロケットニュース24」という話もある。またチンパンジーは詭弁を使わないので、今の政権より幾分マシなのではないか、つまり首相を始め現政権の面々をチンパンジーに例えることは、寧ろチンパンジーに失礼なんじゃないか?とすら思えてしまう。
そんな話は少し大袈裟だとしても、贈収賄を正当化しようとする、正当化は言い過ぎでも責任をとらない政権なのに、支持率が落ちない、支持する者が「他よりマシ」などと言っているというのは、有権者が劣化したか、世論調査でも不正が行われているかのどちらかだろう。このままではこの国の未来はかなり暗いとしか言いようがない。
トップ画像は、Bribe | elmago_delmar | Flickr を加工して使用した。