朝食を食べながらツイッターのタイムラインを開くと「首里城で火災」という投稿が幾つもあった。中には画像や動画が添えられた投稿もあったが、最初は「映画か何かのプロモーション映像が流出したんじゃないか?」とか、「質の悪いいたずらにみんなが騙されているんじゃないか?」などとも思ったが、質は落ちたと言えども流石にそんな話に騙されないであろう報道機関による投稿もあり、反応の多さもあって、それは事実なのだと認識し、何とも言えない悲しい気分になった。火災の原因についてはまだ報道されていないようだが、沖縄県民が普天間基地の辺野古移設反対の意思を示していることについて、一部の人達が侮蔑的な態度を示している現状があり、最悪の事態が頭をよぎる。そうでないことを祈りたい。もし最悪の事態だったとしたらその影響は計り知れない。
トップ画像は首里城の火災の写真ではなく、「炎上する首相官邸」というテーマで作ったコラージュである。なぜこの画像をトップ画像にしたのかと言えば、今朝は首里城火災の他に「河井法務大臣が辞任」という報道もあり、9月に発足した「台風15号による災害への対応そっちのけで組閣された内閣」では、菅原経産大臣が先週辞任したばかりだし(10/25の投稿)、昨日の投稿でも書いたように、2020年度より大学入学共通テストへ導入する予定の英語の民間試験について、経済的地理的格差を容認する発言をした萩生田文科大臣も、現在批判の的になっている状況だ。実際に火災が起きてしまったのは首里城だが、所謂炎上に直面しているのは寧ろ首相官邸だと思えたからだ。
この2つのニュースに関するTBSの記事には興味深い点がある。まずは首里城の火災についてだが、「沖縄の“象徴”、首里城が焼失 TBS NEWS」という記事を掲載している。
これは11時前後に公開された、火災発生からの経過をまとめた記事で、TBSニュースはこれ以外にも、
という4本の記事を掲載している。ここで注目したいのは「首里城で火災、正殿など全焼 TBS NEWS」だ。この記事には、TBSの朝のワイドショー・グッとラック!で放送した映像が添えられている。
一方で河井法務大臣の辞任については、「河井法相が辞表を提出 TBS NEWS」という記事を掲載し、辞表を提出した直後の河井氏が官邸でコメントする映像が添えられている。
この件に関しても、首里城の火災と同様に複数の関連記事が掲載されており、この投稿を書いている時点では、
がTBSニュースのWebサイトで確認することができる。ここで注目したいのは「河井法相が首相に辞表提出、後任は森まさこ元少子化担当相 TBS NEWS」だ。この記事も、首里城の火災の記事の中で注目した記事同様に、グッとラック!内で放送したことを使った記事なのだが、他の河井法務大臣辞任に関する記事には放送した映像が添えられているのに、この記事だけ何故か映像が添えられず、スクリーンショットだけで記事化されている。
グッとラック!内で放送した首里城の火災の映像は記事化で使用されているし、河井法務大臣辞任に関しても、後から掲載された記事にはそれぞれ映像が添えられているのに、この記事だけがスクリーンショットしか掲載していないのはやや不自然だ。
自分は、このニュースをグッとラック!ではなく、11:30から放送される昼のニュースで目にした。画面に表示された見出しも同じで、読まれていた原稿もほぼ同じだった。記事には、
河井大臣を法相に任命したのは私であります。こうした結果となり、その責任を痛感していますという安倍首相のコメントがあり、11:30のニュースではその映像も放送されていた。また、安倍総理は相次ぐ閣僚の辞任に対し、厳しい批判があることは真摯に受け止めなければならないと記者団に語ったことについても、この記事同様に触れられていた。
安倍氏は菅原経産大臣が辞任した際にも同種のコメントをしており(10/25の投稿)、その際に、「任命責任は私にある」と言うなら責任を果たせ、責任は私にあると繰り返すだけでは何の意味もない、という旨の批判が各所で起きていた。厳しく言えば、この「任命責任は私にある」は単に定型句を口にしただけで何の反省もない、とさえ思える。TBSがこの記事だけ映像を添えなかったのは、そうコメントする姿はできるだけ有権者の目から遠ざけたい、という安倍氏や官邸の思惑に勝手に忖度した結果のようにも思える。
この投稿を書き終え、読み直し/リンクチェックをしていると、スクリーンショットだけしか掲載されていないと指摘した記事「河井法相が首相に辞表提出、後任は森まさこ元少子化担当相 TBS NEWS」にも動画が添えられていた。果たして何か手続き上の問題でこの記事への動画掲載が遅れたのか、それとも、実際に忖度があって当初は動画を掲載しない予定だったが、TBS内部からなのか外部からかは分からないが、自分同様に違和感を持った人からの指摘があって渋々動画が添えられることになったのかは分からない。
自分のように、昨今のテレビ報道全般に政権への忖度傾向を感じていれば、後者の恐れが強いと考えるだろう。そう感じてしまう理由は、大臣が辞任する度に「任命責任は私にある」と定型句を繰り返すだけの首相に対して、官邸記者クラブの記者たちが、「で、その責任はどのように果たすのか?」という質問を、誰も投げかけない点にもある。因みに「真摯に受け止める」というコメントも、4/21の投稿でも書いたように、既に陳腐化してしまっており、「勘案する素振りを見せながら無視する」単に「無視する」と言っているようにしか思えない。にもかかわらず、「真摯に受け止める」と言いつつこれまでも何もしてこなかったじゃないか、という指摘を、記者が首相に投げかける様子も一切見たことがない。
トップ画像は、ファイル:Soridaijinkantei2.jpg - Wikipedia と borderline-stock 110 Fire by borderline-stock on DeviantArt を組み合わせて加工した画像である。