「日本で感染とデマが拡大するのは、当然の成り行きだ」という、今の状況に関する見解を昨日の投稿で書いた。今日のトップ画像に「混沌」という文字を用いたのだが、この画像を加工している途中で、「混沌」という文字には不安を不必要に煽る要素もあり、新型コロナウイルスに関する投稿のトップ画像に用いるのは妥当だろうか?という考えも浮かんできたが、昨日の投稿で書いたように、既に多数のデマが流れ、そして続々と国内での感染の広がりが報じられている現状は、「混沌としている」と表しても決しておかしくはない。
この混沌という文字を用いたのは、ロシアの外務省の報道官が
日本の対応は混沌として場当たり的だと、ラジオ番組で述べたという報道に因る(日本のクルーズ船対応は「カオス」 ロシア外務省が批判:朝日新聞デジタル)。感染拡大防止の為という理由で横浜港で隔離状態にされているクルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号に対する日本側の対応を批判しているのはロシア当局だけではない。ワシントンポストは
日本の検疫のやり方は人権侵害だと批判しているそうだし、ニューヨークタイムズも、
冷静でいようと努めてきたが、難しくなりつつある。船に留め置かれていることで感染のリスクにさらされているようだという乗客の声を伝えている(「日本の検疫のやり方は人権侵害だ」米メディア テレ朝news)。
遂にアメリカは、同船の米国人乗客をチャーター機で帰国させることを決め、カナダや香港、オーストラリアなども同様の対応を検討していると報じられている(香港もカナダもチャーター機 クルーズ船の乗客帰国へ:朝日新聞デジタル)。「日本の負担を減らすための対応」と報じているメディアもあるが、日本の対応が充分ならそんなことをする必要はないし、実質的には「日本の対応には期待できない、任せておいたら更に悪化が懸念される」というのが各国の本音だろう。
2/12の投稿でも書いたように、同時期に同じ様に船内で感染者が確認され、香港へ寄港したクルーズ船は、その時点で既に検疫を終えて全員を下船させていた。ダイヤモンドプリンセス号では船内でどんどん感染が拡大しているのだから、日本の対応はカオス・人権侵害と批判されても仕方がないだろう。
こんなツイートがタイムラインに流れてきた。
日本が感染者数が多いのは、政府の有能無能の問題というより、中国との間の人の出入が膨大すぎてどうにもならなかったというのが一番の要因じゃないのかな。— Shin Hori (@ShinHori1) February 15, 2020
安倍政権の対応のもたつきもあるんだろうけど、他の人が首相でも(余程の人物でない限り)それほど大差はなかったのではないかとも思う。
日本国内での感染増加は防ぎようのない状況だった、という見解は同意することもできるが、クルーズ船対応だけを見ても明らかに現政権は見積もりを誤った対応をした感は否めないし、日本と同じく相応に中国からの観光客が多い韓国や台湾で、日本程感染が広がっていないことを考えると、「政府の有能無能の問題というより、中国との間の人の出入が膨大すぎてどうにもならなかった」という話も賛同し難い。
昨日の投稿でも取り上げた西日本新聞の記事「東京五輪・パラ大丈夫か、官邸が懸念 「市中感染」新型肺炎の拡大新局面へ」が事実と乖離していないなら、「他の人が首相でも(余程の人物でない限り)それほど大差はなかったのではないか」というのはかなり雑な主張ということになるだろう。個人的には、
安倍氏以外が首相だったなら、それが誰だろうが今より確実にマシな対応が出来ていただろう
としか思えない。それは、災害等の緊急時にデマが広がるのはある程度予測されることではあるが、現政権が改竄隠蔽捏造と責任逃れに塗れていることも、政府や厚労省が何を言っても信憑性が疑われてしまう要因の一つであり、それもデマが広がることを助長してしまっていると考えるからでもある。また、乙武 洋匡さんも
感染拡大に伴って、「政府の対応が…」という批判の声も聞こえてくるが、いまはとにかく日本国内での被害をいかに最小限に留めるかに全力を注ぐべき時期ではないだろうか。もちろん、今後に向けて、今回の対応の是非についての検証は必要だ。だが、それは事態がひと段落してからでも遅くないのでは。— 乙武 洋匡 (@h_ototake) February 16, 2020
とツイートしていた。今の政府ではどうやっても国内での被害を最小限に留めることができなそうだから「政府の対応が…」という批判がなされる可能性だってある。ここまでに書いたような理由からもそう思う。また、新型コロナウイルスの流行は年明けには既に報じられ、今通常国会は1/20に始まったのだが、共産党・宮本議員は1/24に
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大への対応について、衆議院厚生労働委員会の理事会を開いてほしいと、野党側から与党側に提案しています。— 宮本徹 (@miyamototooru) January 24, 2020
とツイートしている。1/24の時点では、状況からして真っ先に開くべき厚労委員会は開催されておらず、つまり政権与党は新型コロナウイルスの流行が起きていたにも関わらず、厚労委員会開催にすら後ろ向きだったのだから、今の政府では更に状況が悪化する、という批判の妥当性が低いとは言えない。
乙武さんがリツイートしたことにより、実質的に自民党に移籍した細野衆院議員の、
責任論より前にベストの対応をという指摘に賛成。— 細野豪志 Goshi Hosono (@hosono_54) February 16, 2020
原発事故の時、政府内で責任論が何度か出たが「それは後にしてベストの対応を」と呼び掛け続けた。
国会では例外的なものを除くとしばらくは責任論は出なかった。自民党にも原発政策の責任があったからだ。
責任論は急場が過ぎてからでいい。 https://t.co/ZhtRJ3xrm7
というツイートもタイムラインに流れてきた。責任逃れが常態化している政党に移籍した議員に「責任論は後でいい」と言われても、全く説得力が感じられない。 自民党と現政権がこの数年の間に責任論をまともにやったことあっただろうか?そんな記憶は全くない。「責任は私にある」「誤解を招いたなら謝罪する」「批判は当たらない」を何度も繰り返してきたではないか。何度も繰り返すということは、そのような言葉が口先三寸であることを意味する。民主党を離れ幹部的な立場で参加した希望の党でも失敗した細野氏は、自民党にすがるしかないので、こんなツイートをしているのだろう。
こんなにも状況が混沌としているのは、対応が余りにも杜撰だからで、その状況を変える為に、自民党内の誰かでもいいから別のトップに変えてくれ、というのがベストな対応を実現する為の要望だ。
それを「責任論は今でなくてもよい」と言い換えるのは詭弁である。
トップ画像は、Photo by Vinicius Amano on Unsplash を加工して使用した。