「ズル」と言えば、日本人なら、人をだしぬいて自分が得をするように、公正公平とは言いがいた方法で立ち回ること。こすくて狡猾、あくどい様。などを想像するだろう。漢字では狡猾の狡で「狡い/ずるい」と読む。
しかしこれはあくまで日本語の話であって、今日のトップ画像に用いたロゴはまさに「ズル」ではあるが、ZURU は香港に本社を置く玩具ブランドの名称だ。同社は、日本ではそれ程でもないが、L.O.L.Suprise、5Suprise、Unicorn Squad、RainBocoRrns など、日本のガチャガチャのように開けるまで何が入っているか分からない、カプセルに入った玩具で有名である。
同社は、前述のように香港に本社を置いているが、ニュージーランド発祥のブランドだ。その由来までは調べられなかったが、日本人だとあまり積極的には選ばないブランド名であることに興味を惹かれた。
なぜ今日の投稿を「ズル」から始めたのかというと、2019年10月に収入の申告漏れを報じられ、活動を自粛していた徳井 義実さんが活動を再開した、という報道があったからだ(チュートリアル徳井義実さん、活動再開 「税理士と新たに顧問契約」【経緯まとめ】 | ハフポスト)。
SNSを見ていると、「たった3ヶ月で、しかも自己判断で復帰かよ」のような見解が少なくない。確かに、たびたび期限内に申告をせず、税務署から指摘を受け続け、2016年5月頃には銀行預金を差し押さえられもしていたのに関わらず、2019年10月に再び約1億1800万円の申告漏れを指摘された、という状況は、明らかに「ズル」をしていたとしか言いようがない。だから「たった3ヶ月で復帰か」という思いも分からなくもない。
しかし一方で、芸能人や私企業の申告漏れに対しては、市民もメディアもかなり厳しい態度を示すのに、政治家の金銭面等のルーズさには滅法甘いのはなぜなのか?とも感じる。昨年・2019年9月以降だけでも、
- 菅原経産相が辞任、秘書の香典配布で-後任に梶山元地方創生相 - Bloomberg
- 河井法相が辞任、週刊誌報道受け引責-1週間で2人目の閣僚交代 - Bloomberg
- 河井案里議員に1.5億円「執行部は説明を」 自民総務会で意見相次ぐ:時事ドットコム
- 秋元司衆院議員を再逮捕へ 収賄容疑額、計700万円に:朝日新聞デジタル
- IR汚職、5議員の立件見送り 金額など考慮か―東京地検:時事ドットコム
所謂カジノ利権に関する汚職事案では、贈賄側が自民の岩屋 元防衛大臣、中村 元文科政務官、宮崎 法務政務官、船橋議員、元維新の下地議員へ100万円ずつ渡したとしているが、過去の事件に比べ額が少ないことなどを考慮し、政治資金規正法に抵触する可能性はあるが、東京地検特捜部は5議員側の刑事責任を問わない方針を示したと報じられている。
勿論メディアがこのような件を全く取り上げていないということではないし、SNS上でも「議員らが責任を全うしようとしないこと、検察の見逃す方針はおかしい」という声もあるが、芸能人や私企業、特に芸能人に対する批判/非難と、それら政治家に対するそれを比べると、メディアも市民も明らかに芸能人の方に厳しいと感じる。
芸能人にはかなりの潔癖性を求めるのに、政治家にはそれ程求めないというのは明らかにバランスが悪い。公権力の一部、というか中枢に位置する国会議員、そして更に中心に近い大臣にこそ潔癖性が求められるべきではないのか。芸能人のズルよりも政治家のズルにこそ目を光らせるべきではないのか。
更に酷いのは、芸能人の申告漏れには厳しいのに、首相の政治資金収支報告書記載漏れにはメディアも市民もかなり甘いということだ。 2/4の投稿でも書いたように、桜を見る会の問題で現在スポットが当てられているのは、安倍事務所が前日に行った夕食会に関して、政治資金収支報告書に記載がなかったことだ。これについての安倍氏の説明は二転三転しており、整合性を著しく欠いているにもかかわらず、多くのメディアには積極的に指摘・批判しようという姿勢がなく、「野党が追求」という傍観者スタイルだ。
その所為かそのような事態が支持率に殆ど反映されていない。2/18の投稿で指摘した日本テレビや読売新聞、このツイートで指摘した産経新聞など、世論調査という看板を羊頭狗肉化させている大手メディアもあるので、支持率調査についても鵜呑みにはできないが、他のメディアによる調査でも傾向は同様であり、つまりメディアだけでなく有権者も政治家、首相や政府に滅法甘いと言っても過言ではないだろう。
付け加えておくと、昨年6月から7月にかけて、一部芸人の反社会勢力に関わる闇営業が大きく取り沙汰され、今も謹慎処分中の芸人がいるのに(2019年7/21の投稿)、桜を見る会へ反社会勢力とされる人物や、マルチ商法の首謀者とされる人物が招待されていたことが明らかになり、官邸が「反社会勢力は定義できない」と開き直りっても、特に何事もなく時が過ぎ去ってしまっている。
これでは明らかにメディアも有権者も政治家・政府の「ズル」には無頓着と言わざるを得ない。いろいろとバランス感覚がおかしくなっているのが今の日本の惨状の元凶なのではないか?と強く感じる。