国民民主党の岸本議員が「国会内の牛丼チェーン店の牛丼は、健康には悪いが安くて美味しいのでよく食べる」という趣旨のSNS投稿をして批判を浴びている(牛丼は「健康に悪い」ツイート物議 国民・岸本周平議員「不快な思いさせた」、玉木代表も謝罪 : J-CASTニュース)。コーラを飲むと骨が溶けるレベルのいい加減なレッテル貼りだ。なぜこんなバカげたことを国会議員がしてしまうのか。「東京・朝日などに「花丸」、産経「論外」、他紙は... 立憲・安住氏は新聞をどう「採点」した? : J-CASTニュース」もだが、野党議員がわざわざ、政権支持理由トップの「他より良さそう」に信憑性を持たせようとしているようで残念過ぎる。
レッテル貼りについては、つい数日前の投稿で書いたばかりだ。その投稿では報道関係者による、レッテル貼りの恐れのある主張について書いたが、前段で触れた政治家のレッテル貼りの方が低いレベルであることが、この国の惨状を物語っている。
因みに、岸本議員の件を調べようと、Googleニュースで「牛丼」で検索したところ、何故かその事案のサムネイルが岸本議員ではなく立民・蓮舫氏になっていた。
岸本議員でないだけでなく所属政党すらも間違っている。パっと見ただけでは蓮舫氏が、若しくは立憲民主党の議員が「牛丼は健康に悪い」と言ったかのようにも見える。一般的にはこのようなことをミスリードと呼ぶのだろうが、これも蓮舫氏、若しくは立憲民主党に対するレッテル貼りと言えるかもしれない。
政治に関するレッテル貼りの話題がもう一つあって、それは岸本議員の件よりも更にレベルの低い事案だ。しかもその主体は我が国の首相である。
2/5の衆院予算委員会の審議の中で安倍首相は、「5000円という破格の会費が設定された、桜を見る会前日の食事会は赤字だったのではないか、赤字を万一安倍事務所が補填していたらそれは公選法違反に該当する為、だから政治資金収支報告書へ記載しなかったのでは? だから契約の主体は安倍事務所でなく個人だと、無理のある答弁をしているのでは?」という趣旨の、立民・小川議員の質問に対して、
小川議員は(私に対して)様々なレッテル貼りを行っているが、いわば相手を攻撃する一つの手法なんだろうと反論した。小川氏がそう断定していたらレッテル貼りと言える余地もあるかもしれないが、これはあくまで仮説に基づいた質問であり、レッテル貼りと言えるかはかなり怪しい。
しかし安倍氏の示した「レッテルを貼られた」という見解に対して、小川氏は敢えてそう否定せずに、
レッテルは、(食事会が開催された)ニューオータニの見積書か領収書を示せば簡単に剥がせると応じた。批判に対して「レッテル貼りだ」と反論するなら、その批判が如何に妥当性に欠けているかを示し、レッテル貼りであると言える合理的根拠を示さないと説得力に欠ける。安倍氏はそんな根拠を示せておらず、単に「レッテル貼り」だと言うだけで全く説得力が感じられない。
公選法違反の疑いがかかるので出せないのではないか
このやり取りを取り上げた記事を探す為にGoogleにて「小川 レッテル」で検索したが、ヒットするのは個人によるツイート等だけで、残念なことに所謂メディアの記事は1つも出てこなかった。
昨日の投稿では、首相が出鱈目な答弁をしている姿を殆ど報じないテレビ報道を見ていると虚しくなると書いたが、これもまさに、テレビに限らずメディア全体が政治報道に消極的なことを示す証左ではないだろうか。例えば、BuzzFeed Japanにも、国会が開かれているにも関わらず、この数日政治に関する記事が掲載されていない。現在BuzzFeed Japanが新型肺炎に関する正しい情報と、子宮頸がん/HPVワクチンに関する記事に力を入れているのは素晴らしいことだが、その影響か、国会や政治に関する記事が減っているのは残念だ。しかし実は、検索にはヒットしないが安倍氏のレッテル貼りという反論を取り上げていた番組もある。
TBS・NEWS23はこの件を取り上げており、TBSニュースにも放送された動画が掲載されている(“ホテルとの契約は参加者”問題、桜の前夜祭で首相答弁を訂正 TBS NEWS)。当該部分は、記事に掲載されたこの動画の約2:45秒あたりからだ。
なぜ検索に引っかからないのか。それはVTRで用いられているニュース原稿の文字起こしが記事に掲載されていないからだ。テレビ局のニュースサイトは、概ね放送したVTRとその文字起こしを掲載して記事化する。TBSも殆どの記事がそのように構成されているのだが、何故かNEWS23の放送内容を記事化した場合は、原稿の文字起こしを掲載しないので検索でヒットしないのだ。TBSの報道の中にも、1/31の投稿で書いたような政府や与党に忖度しているかのような記事がある為、この数日間で言えば、NEWS23の放送内容のTBSニュースでの記事化は殆どが国会関連であり、NEWS23はTBSの他のニュース番組/情報番組が取り上げない国会/政治関連の報道に積極的でもあるので、TBS報道の上層部の誰かによる政府への忖度か何かで、NEWS23の記事を出来る限り検索にヒットさせたくなくて、文字起こしを記事に掲載しないのではないか?とすら感じられる。
安倍氏がいい加減な用法で「レッテル貼り」という表現を使ったのは今回が初めてではない。朝日新聞は2015年6月に「首相がこだわる「レッテル貼り」とは? 答弁で8回も」という記事を掲載している。次の画像はその記事に掲載されたものだ。
安倍氏がやっているのは、気に入らない話に対して合理的な根拠も示さずに「屁理屈だ」一蹴しようとするのと同じ様なものだ。彼は様々な表現を恣意的な解釈で用いる人間である。たとえば「印象操作」もある時彼のお気に入りになり、妥当性に欠ける場面でも頻繁に用いていた。
安倍氏は「小川氏が自分に対してレッテル貼りをしている」というレッテル貼りを小川氏に対してやったのだ。覚えたての言葉を兎に角使いたがる〇学生かのような男。そんな男が首相であることを恥ずかしく思うし、恥ずかしく思わない者の感覚を疑う。
トップ画像は、ファイル:Gyuu-don 001.jpg - Wikipedia を加工して使用した。