自分の人生の中で不良品の象徴的な存在が2つある。一つは2000年代に存在したEXEMODEというデジタル家電ブランドで、もう一つは、トップ画像にもした、ドコモが1997年に発売した携帯電話・N203だ。あくまでも個人的な見解であり、それらの製品が総じて不良品/欠陥品だったのかは定かでない。
前者のEXEMODEというブランド(エグゼモード - Wikipedia)を、自分が不良品の象徴として認識している理由は、2005年頃に買ったDVDレコーダーだ。ハードオフというAV/デジタル家電や楽器等を主に扱うリサイクルショップで、新品が投げ売りされていたので購入したのだが、なんと3回も、録画ができず初期不良交換をすることになった。3個体連続で録画が出来なかった際は「もしや元々録画出来ない詐欺商品なのでは?」と疑ったが、怪しげな通販でも個人商店でもなく、一応当時から既に名のあるリサイクルショップフランチャイズだったハードオフが取扱っていたこともあり、4個目を持ち帰って試したところ、やっと録画できる個体が回ってきた。
EXEMODEというブランドは2010年頃まで格安デジタルカメラ等を主に扱っていたが、その1件でEXEMODE=地雷という認識が生まれ、同ブランドの製品が全て粗悪品に思えた。
後者のN203は、自分が不良品に当たったわけではない。当時NECの端末はかなり人気があった。自分の周辺では一番人気で、発売直後に数人が新規購入(当時は携帯普及の黎明期)又は機種変更したのだが、電波が突然入らなくなるなどフリーズが相次ぎ、殆どの人が不良を理由に交換をしていた。中には複数回交換の末、結局状況が改善せず、最終的に他社製品に交換していた人もいた。
自分の知る限りではNECの携帯電話で不良が相次いだのはこの機種だけで、NECはその後折り畳み機で人気を博したので、特にNEC=地雷という認識には至らなかったが、その印象があった為か、個人的にはNECの端末を使ったことがない。
また、個人で買ったものではないが、2010年代前半に働いていた会社で支給された、富士通のスマートフォン・F-11Dもフリーズが頻繁に起こる機種で、社内で「使い物にならない・仕事にならない」という声が相次ぎ、2ヶ月経たずに別機種に変更された、ということも経験した。
4/22の投稿でも、所謂アベノマスクに不良が生じており、妊婦用としての配布を一時停止したことに触れたが、全戸配布用マスクでも不良が多数見つかり、納入業者である興和と伊藤忠商事は、送付していないマスク全てを回収し再検品すると発表した。
所謂アベノマスクの不良が相次ぎ報告されていることについて、菅官房長官は4/21の会見で
菅氏、全世帯配布のマスクに「不良品生じることある」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
産流通の過程において、報道のような一定程度の不良品が生じることはあると述べていた。また、記事には次のようにも書かれている。
菅氏は、不良品は家庭に届く前に除いているとの認識を示し、配布計画について「変更する予定はないと聞いている」と語った。だが、結果は不良品が配布されたし、配布計画の変更を余儀なくされた。そして菅氏はこうも述べていた。
菅氏は、どのメーカーが、いつ製造したかなどの詳細について「調査中だ」とし、「いずれにせよ、マスクの品質に注意を払った上で、国民の皆さんに安心して生活を送っていただけるように配布をしていきたい」と述べた前述のように既に不良を出したメーカーは明らかになったようだが、この時点ではまだ製造者も明らかにされていなかった。どのメーカーがいつ製造したのかも分からないものを政府が国民へ配布していたのだとしたら、行政機能が麻痺しているとしか言いようがない。
また、4/19のハフポストの記事によると、厚労省はマスクの不良について、その時点で次のように説明している。
妊婦用に配布した布マスクに「黒ずみがあった」。不良品の報告が1900件【新型コロナ】 | ハフポスト
厚労省は、17日から配布が始まった一般世帯向けの布マスクについては「メーカーから納品された商品について目視をした上での配布を行っており、同様の事例が生じる可能性は減じている状況です」と説明この後、妊婦用配布マスクの不良報告は、4/21の時点で7800枚に達し、それによって配布が一時停止されている(妊婦向け布マスク、配布を中断 不良品が7800枚超 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)。そして、妊婦用に配布されたマスクだけでなく、全戸向けに配布された/される予定だったマスクからも複数不良が報告され、回収されることになった。
不良を配布した責任は当然だが、「同様の事例(不良)が生じる可能性は減じている状況」という、実状とかけ離れた説明をした責任を、厚労省や官房長官はどうするつもりだろうか。首相が「責任をとればいいということではない」という、行政府の長であることの責任を軽視しているとしか思えない、意味不明のことを口走る男なので(4/8の投稿)、彼らも責任なんて糞くらえくらいの感覚なのだろうが。
布マスク回収、政府 品質管理徹底を求める TBS NEWS
これは今日の昼のニュースの映像だ。加藤厚労大臣が、
納入している企業に対しては、当然でありますが、生産過程の管理チェック、あるいは納品段階におけるチェック、これをさらに徹底していただくようお願いをしているところですと、4/21の官房長官と同じ様な説明をしている。アベノマスクに不良が報告されてから既に1週間程度が経過しているが、その間にいい加減な説明を繰り返し、今日もまた政府関係者が同じような事を言っていて、果たして誰がそれを信用するだろうか。妄信的な支持者以外は信用しないのではないか。
というかそもそも、加藤氏自身も配布するアベノマスクではないマスクを付けて会見に望んでいる。つまり、説明をしている加藤氏自身もアベノマスクの機能性や安全性に疑義を抱いているのではないか。もしそうでなかったとしても、この姿を見れば、そう感じる国民は決して少なくない筈だ。
3月中旬から下旬ごろ、「人の密集を避けて、その為に外出を自粛して!」と言っていた政府関係者や専門家ら、自治体関係者らが軒並み、人が密集した状態で会議をしたり会見をしたりしていて、「説得力に欠ける」と指摘されていたが、このマスク騒動についても同じことを繰り返しているのが今の政府だ。
こんなものの配布に466億円もの予算を投じたというのだから開いた口が塞がらない。菅官房長官は、マスクの不良について「一定程度の不良品が生じることはある」と述べたが、不良が生じている率は、マスクよりも政府関係者や自民党政治家の方が多いのではないだろうか。