テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志が2016年に始めた映像プロジェクト・Choose Life Project。今年・2020年4月までは、数分程度の問題提起を目的としたような短い動画を主に公開していたが、5月以降は、1-2時間程度の討論番組を積極的に配信し始めた。昨日も討論番組の配信があり、テーマは「性風俗産業は差別されてもしょうがないのか #セックスワークにも給付金を」だった。
新型ウイルス感染拡大で影響を受けた中小企業や個人事業者向けの支援策・持続化給付金について、性風俗は対象から除外されている。4/3の投稿で触れたように、厚労省は接待を伴うナイトクラブなどの飲食店や風俗業に関して
公金を投じるのにふさわしくない業種
とした。しかも批判が集まっても尚、厚労大臣が「方針に変わりはない」と公言する始末である(4/4の投稿)。因みにそう述べた当時の厚労大臣は現在官房長官という、政府の顔役になっている。端的に言って、この国の政府が公然と職業差別を行い、しかもそれを主導した者が出世し更に重要な職に登用されている。これが彼らが「美しい国」と自賛する国の実状だ。
なぜ有権者はそんな政権を支持するのだろうか。現政権の支持は、消極的にかもしれないが、差別をすることと同義である。
2018年12/13の投稿、6/27の投稿、8/28の投稿など、これまでに何度もこのブログで書いてきたように、日本には性風俗産業への偏見が明らかに存在している。有権者の間に偏見が根強く残っているから偏見を元に職業差別を平然とする政府が成立するのか、政府が偏見を元に職業差別をするから有権者の偏見も減らないのか、鶏が先か卵が先かのような話だが、結局はどちらも正しくそんな悪循環がいつまでも残り続けているんだろう。
新型ウイルスの感染拡大が止まらない状況の中で、政府は人の移動を促す旅行促進政策を行っている。ハッキリ言って狂気じみている。「経済を回さないといけない」という考えはあながち間違いとは言えないが、数か月前に自粛ムードが広がったことで一時的に感染が減少したこととの整合性を、今の政府がどのように考えているのか。全く理解に苦しむ。
真面目なラブホテル苦境 給付金もGoToも対象外 「推奨されていい」はずなのに - 毎日新聞
しかも、ラブホテルは持続化給付制度だけでなく、その狂気の旅行促進政策の対象からも外されている。この毎日新聞の記事によれば、固定資産税の免除制度などの対象からも除外されているそうだ。
この記事の見出しには「真面目なラブホテル」とある。ラブホテルにはいくつかの営業形態があり、本来ラブホテルは風俗営業法に基づく届け出が必要なのだが、通常のホテルや旅館として旅館業法に基づいた届け出をして、しかし実態はラブホテルとして営業するケースも多く、現在は寧ろ後者の方が多いのだそうだ。
来年1月の風営法改正で半減?全国のラブホテルが存続の危機 | inside | ダイヤモンド・オンライン
全国のラブホテル軒数は約7000軒。ところが実際には、その5倍の3万5000軒が存在するとも言われる。警察の監督下に入ることを嫌がるホテル経営者が、風営法ではなく旅館業法上の「旅館」として申請しているケースが多い
ここで言う「真面目なラブホテル」とは、旅館業法ではなく風営法に基づく、ラブホテル営業する際の本来の手続きに基づいたホテルを指している。
9/26の投稿で触れたナイトクラブのダンス規制に関する条項や、日本が世界に誇る文化の筈であるゲームセンター・ビデオゲーム文化の維持・発展の足かせになっているなど(「JeSU参加料徴収型大会ガイドライン」を制定 ~風営適正化法上の「ゲームセンター等営業」に該当しない 参加料徴収型大会の範囲を明確化~ | 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト)、風営法には少なからず問題があり、ラブホテル運営者が風営法上の届け出を避けがるのも当然の成り行きなのだろう。そして、この新型ウイルスの感染拡大の影響に関しても、真っ正面から風営法上の届け出をしているラブホテルは様々な支援の対象外とされ、旅館業法上の届け出をしているホテルは対象になる、という理不尽な状況が生まれている。
今日本は急激と超高齢化社会へと向かっており、少子化も大きな問題だ。子どもが生まれる為にはまずSEXが必要なのは言うまでもない。日本の都市部には集合住宅が多く、また地方部では戸建ても多いが、長く続く経済の停滞、若年層の収入減少によって、親世代との同居するケースも少なくない。そんな状況下でラブホテルの存続を支援しないというのは、つまり今の政府は、少子化や高齢化を深刻視していないとも言えるのではないか。
そもそも政府が職業差別をするなんてこと自体が言語道断なのだが、別の視点から考えても筋の通らない政策を今の自民党政権がやっていることは、この件以外でも明白だ。