新型コロナウイルス感染が再び拡大している、だが旅行促進政策は止めない。オリンピックを来年やると言っているのに、感染を収束させようという意思が全く感じられない現政権と自民党は一体どうなっているんだ?という話を11/14の投稿で書いた。今の政府と与党は、感染症が猛威を振るう中で「オリンピック第一、ウイルス対策は二の次」と考えているとしか思えない。
また、IOC会長が訪日前に「(菅首相との)話し合いでは中止は議論しない」という見解を示したが、 「憲法改正の議論をしないのは思考停止だ」と豪語していた前首相の下で官房長官をしていた菅は、バッハ会長に対して「欧米だけでなく日本でも再び感染が拡大しているのに、オリンピック中止を議論しないのは思考停止だ」と指摘・批判しなければ筋が通らない、という話を11/13の投稿で書いた。
これについては「もう中止は決定的だから、中止の議論はしない」と言っているのではないか?という向きもあったが、実際に来日したIOC会長の態度からは、そんな風な感じは微塵も感じられなかった。
菅首相とIOCバッハ会長が会談 五輪・パラ開催 緊密協力で一致 | オリンピック・パラリンピック 大会運営 | NHKニュース
菅首相「安全安心な大会実現へ緊密連携」
バッハ会長「大会成功に向け決意と自信を共有」
橋本五輪相「コロナ対策 前向きに準備」
端的に言ってやる気満々だ。だがどう考えても今の日本政府に新型コロナウイルス感染拡大を抑制しようという姿勢は感じられない。多分、来年になれば収まると漠然と考えているのだろう。
菅政権、GoTo対応でジレンマ コロナ「第3波」、難しい判断:時事ドットコム
新型コロナウイルスの感染者数増加を受け、菅政権が需要喚起策「Go Toキャンペーン」の扱いをめぐりジレンマに陥っている。感染防止を優先してキャンペーンを中止すれば、経済再生への打撃になりかねないとの懸念があるためだ。
などと時事通信は書いているが、そもそも旅行促進政策は感染収束後にすべきなのに、7月に感染が再拡大したにも関わらず強行した政府がおかしいのであって、ジレンマもへったくれもない。経済を回したいならまず感染を収束させることが先決であり、収束すればおのずと経済は回復に向かうのに、自民党政権はそれを怠った。怠っただけではなく、感染を拡大させかねない人の移動促進政策を強行した。
ジレンマと書けば、あたかも経済か感染症対策のどちらかを選ばねばならないかのようだが、感染症対策こそが最良の経済対策であり、そこにジレンマはない。またオリンピックを開催したいなら、感染症対策を最優先で進める以外に道はない。
IOC 安倍前首相に功労章「オリンピック・オーダー」の金章贈る | オリンピック・パラリンピック | NHKニュース
「事故を起こした福島原発はアンダーコントロール」という嘘を、招致演説の中で平然と言ってのけた安倍に対してIOCは功労章を送ったそうだ。IOCは日本、というか自民党政権と心中するつもりなのだろうか。どう考えても自分達の権威を自ら下げにいっているとしか思えない。
IOCバッハ会長、海外からの大会参加者は「ワクチン接種した上で参加してもらいたい」【東京オリンピック・パラリンピック】 | ハフポスト
各国のオリンピック委員会(NOC)を通してあらゆる努力や支援をしてもらい、選手や役員、関係者が訪日前にワクチンを接種することを働き掛けてほしい
大会の参加者を守るだけではなく、日本の国民を守ることになるのだと信じていただきたい
バッハ会長はこのようも述べたそうだが、コロナウイルスのワクチンはまだ完成しておりらず、この発言は新型コロナウイルスのワクチンが来夏までに開発・普及しているという、漠然とした前提での発言である。
これは国際的な人の移動を促進することへの不安感解消を狙った主張なのだろうが、そもそもまだワクチン実用化の目途は立っていないし、来夏までにワクチンが実用化されるとしても、オリンピック関係者に優先的にワクチンを使うことに合理性はあるだろうか。新型コロナウイルスは高齢者や持病を持つ人などが重篤化しやすく死亡率も高いとされている。ワクチンを優先的に使うべきはそのような人達であり、比較的若く健康に問題の少ないスポーツ選手に優先して摂取させる合理性はない。日本政府だけでなくIOCもオリンピック最優先でしか物事を考えられない人達だ。
五輪組織委・森喜朗会長、共闘宣言「安倍マリオと森ヨッシーのように助け合いながら」 : スポーツ報知
ゲームの世界ではマリオにはヨッシーという頼れる仲間がいました。私の名前は喜朗でありまして、ヨッシーであります。これからも安倍マリオと森ヨッシーのように助け合いながら、東京大会の成功に向けて力を尽くしてまいりたい
組織委会長の森はこのように発言したそうだ。体操の内村 航平選手が先日、「(オリンピックが)どうやったらできるのか皆さんと考え、どうにかできる方向に変えてほしい」と発言したそうだが(「東京オリンピックできないと思わないで」体操・内村航平が開催協力呼びかけ - 毎日新聞)、彼の言う「皆さん」とは一体誰か。自分には一般市民に向けて皆さんと言っているように聞こえる。オリンピックを開催したいのであれば、一般市民に「できないと思うな」と呼びかけるのではなく、こんなふざけたことを言っている組織委会長や前首相、そして現政権とIOCに「感染症対策を最優先で進め、来夏までに感染拡大を収束させろ」と要求すべきだ。
内村選手だけでなく、なぜ代表候補選手らはそのように主張しないのだろうか。「オリンピックができれば何でもいい、兎に角やれ!」と思っているのだろうか。そんなオリンピックに誰が感動するだろうか。
感染症対策を二の次にして強引に開催をゴリ押しされるオリンピックに、果たして魅力はあるだろうか。オリンピックを取り巻く環境がこのような状況にあるのだから、もう現時点で、もし東京オリンピックが開催されたとしても、全然感動・賛同できないことは決まってしまっている。
トップ画像のからコピーを省いたひな形と、その元ネタポスター同様の縦型のひな形を置いておくので、どうぞご自由にお持ちください。