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自衛隊派遣要請があっても「医療崩壊危機に瀕しているか分からない」

 合理性を欠いた猪突猛進、精神論に頼った美化は日本のお家芸である。過去の戦争ではそんな馬鹿げたことを繰り返してきた。日露戦争 旅順攻囲戦・203高地では、機関銃が待ち構えるロシア軍の要塞に向かって歩兵による突撃が行われ、兵力に大損害を被った。太平洋戦争でも狂気のインパール作戦が行われ、島嶼部の戦線では所謂バンザイ突撃が横行した。そして極め付きは特攻作戦の類である。


 そんな前近代的な合理性を欠いた猪突猛進は、現在も日本に根強く巣食っている。「継続は力なり」という教訓を偏重した、一度入ったら3年は辞めるなのような空気が、20年前に比べれば幾分薄くはなったものの、今も間違いなく日本社会には残っている。それは所謂ブラック企業がのさばる原因の一つでもある。労基法を守らない企業で3年も我慢するべき理由などどこにもない。また、一部には「特攻は無断な死だった」と言うと「戦死者を愚弄するのか」と言い始める人達が少なくない。特攻は無駄な死という話は、それをさせた政府や軍首脳を批判しているのであって、決して政府や軍に特攻されられた兵士を愚弄するものではない。そのような反論をし始める人たちは、過剰に戦死や犠牲を美化する傾向にあり、つまり合理性を欠いた猪突猛進を好む前時代的な感覚の持ち主だ。

 インパール作戦は日本史上でも1,2を争う程の天下の愚策である(インパール作戦 - Wikipedia)。兵站を無視し精神論を偏重した杜撰な作戦により、多くの犠牲を出して歴史的敗北を喫したのがインパール作戦である。そもそも太平洋戦争全体がその類であり、犠牲者の大半は餓死か病死であると言われている。つまり、敵との戦力の差を無視し、先制攻撃で打撃を加えれば敵は戦意を失うだろう、という楽観論の下で始めた無謀な戦争で、戦局が悪化しているにもかかわらず「一度始めたら止められない、止めたら始めた責任を問われる」と犠牲を出し続けたのが太平洋戦争だった。
 そもそも戦争自体が無謀な政策ではあるが、それを度外視したとしても、状況を適切に分析・認識できなければ、望ましい結果を得ることができない、ということを、70年前の戦争で日本は嫌と言う程味わったはずなのだが、日本人は過去の過ちから学ぶことが出来ないのか、戦後も同じ様な失敗を繰り返している。例えば福島原発事故などもその典型的な例で、原発事故は起きないという安全神話を過信した結果だった。

 たった10年前にもそんな教訓があったにも関わらず、このコロナ危機下においても、日本は再び合理性を欠いた猪突猛進をしている。12/7、北海道と大阪府が新型コロナウイルス感染の急拡大によって看護師が不足する事態となり、政府に自衛隊看護師の派遣を要請した(北海道・大阪府、自衛隊に看護師要請 コロナで医療逼迫 日本経済新聞)。そして実際に旭川市などに自衛隊の看護師が派遣されている。

 自衛隊に派遣要請を出さなければならない程医療現場が厳しさを増している状況は、最早緊急事態と言っても過言ではないだろう。そして7月に「旅行自体が感染を起こすことはないですから、もしそれが起きていれば日本中は感染者だらけ」なんて馬鹿げたことを言っていた(11/23の投稿)、政府お抱え専門家の尾身ですらGOTOキャンペーンを停止すべきと言っている中で、

官房長官の加藤は「現時点(12/9)でステージ3に該当すると判断された都道府県はない。引き続き各都道府県知事の意見も十分踏まえながら、適正な(GOTOトラベル)事業の運営を図っていきたい」などとしている。

 看護師が足りずに自衛隊の派遣を要請する地域があるにも関わらず、感染者が急増している地域はない、と加藤は言っている。現状認識能力に著しい欠陥がある者が官房長官をやっているということはあまりにも明白だ。

 現状認識能力に著しい欠陥があるのは加藤だけではない。厚生労働大臣の田村は、12/10の参院厚労委員会で、立民・石橋議員に「今、医療崩壊の危機に瀕している自治体がどれだけあると把握しているのか」と問われ、「医療崩壊の危機という定義がハッキリどういうものなのかというのは、なかなか難しい。危機に瀕しているかどうかは見方(次第)ということになると思う」と答弁した。

 自衛隊派遣を要請する程に看護師が不足している自治体が既にあるにも関わらず、それを医療崩壊と認識することが出来ないだけでなく、医療崩壊の危機に瀕していると認識することすら難しい、と国会で堂々と言う者が厚生労働大臣をやっているのが日本の現状だ。医療崩壊したか否かの線引きは確かに明確ではないが、自衛隊の派遣を要請する程に看護師が足りない状況は誰がどう見ても、少なくとも「医療崩壊の危機に瀕している」状況だし、少なくない人が既に医療崩壊が始まっていると受け止めるのではないだろうか。

 昨日の投稿で指摘したように、そもそも首相の菅がこの状況で「いつの間にかGoToが悪いことになってきちゃった」なんて言っているのだから、今の日本政府全体に現状認識力が欠けているのは明白だ。そして加藤や田村は、慎重論を無視してインパール作戦をゴリ押した指揮官・河辺 正三や牟田口 廉也のようなものだ。
 日本はコロナ危機下において、インパール作戦同様の愚策を再び繰り返している。しかしそんな政府をまだ40%もの人が支持している(毎日新聞世論調査 内閣支持急落40% コロナ対策「評価」14% 不支持49%、初の逆転 - 毎日新聞)というのだからまさに、戦前/戦中ニッポン再び、と言うよりほかない。

 付け加えれば、このような指摘が大手メディアに殆ど見当たらないどころか、加藤や田村の発言自体を取り上げているメディアすら殆ど見当たらない。TBS NEWSのツイ―トでも、添付されているNEWS23の映像の中にはそのような指摘があるのもの、ツイートで文字にはなっていない。またWebサイトでもそのような指摘は見当たらない。それは他社も同様で、例えば「医療崩壊の危機 定義 田村」でGoogle検索しても、大手メディアの記事はヒットしなかった。だから、

#コロナより危険な自民党とメディアと有権者の半分
#自民党とメディアと有権者の半分に殺される

と、このブログでは何度も指摘している。


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