”自由”民主党と自由を党名に掲げる党が、選択的別姓という各個人の自由を尊重する制度に反対しているのはあまりにも矛盾している。ということについて11/18の投稿で書いた。自民党総裁であり首相だった安倍は、再三に渡って「改憲議論をしないのは思考停止だ」と主張していたが、その党が選択的別姓の議論に関して、非論理定な根拠に基づいて消極的なのは、最早滑稽としか言いようがない。
夫婦別姓の表現、自民が変更 反対派の異論受け大幅後退:朝日新聞デジタル
11/18の投稿でも触れたし、この朝日新聞の記事にもあるように、選択的別姓制度も同性婚についても、最早日本でも賛成派の方が多数派である。にもかかわらず、自民党は第5次男女共同参画基本計画案から「選択的夫婦別氏制度の導入」の文言を削り、「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方」というかなり後退した文言を採用し、「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ」という記述も加えた。
記事によると、計画案を策定するに際に募集した意見として寄せられた「実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れず少子化の一因となっている」や「国際社会において、夫婦の同氏を法律で義務付けている国は、日本以外に見当たらない」などの記述は、反対派への配慮によって削除されたそうだ。
つまり選択的別姓制度に関して、自民党は多数派よりもノイジーマイノリティーを重視したと言っても過言ではなく、最早自民党自体がノイジーマイノリティー、声だけ大きい少数派であると言える。
反対派は兎角「伝統的家族観を重んじるべき」のようなことを言うが、自民党が反対派に配慮して加えたという「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ」という記述からも分かるように、日本の庶民に置ける夫婦同姓制度は、明治期に戸籍制度ができてからの歴史しかない。
また家族観なんてのは、そもそも時代に合わせて変わるものだ。現在日本は一夫一婦制であるが、前近代の日本では、有力者等を中心に側室、つまり一夫多妻が当たり前のように存在し、近代以降も妾や愛人など実質的な多妻制度は残っている。また最近は稀だが、近代以前は子どもを養子に貰う、奉公に出すなんてことも珍しくはなく、現代の家族感は概ね戦後以降の歴史しかないことは明白だ。つまり伝統的家族観なんてもの自体が、反対派が妄想しているだけのものに過ぎない。
昨日の投稿でも書いたように、自民党とその積極的支持者というのは非論理的で矛盾を厭わない人達であり、それはこの選択的別姓に関しても如実に表れている。非論理的で矛盾を厭わない人達の集団が与党であり政権を握っているのだから、妥当な感染症対策が行われずに感染拡大が悪化するのも当然だ。
この選択的別姓に関して、日本を代表する差別偏見と厭わないトンデモ国会議員である杉田が、「夫婦別姓の文言を計画案から削除させた」と誇らしげにツイートしていたが、これについてライター/イラストレーターの能町 みね子さんは、次のように皮肉った。
そんなことよりアカウントが「miosugita」になっており、日本の伝統的な「姓-名」という順を破壊していて売国的、反日的です。このままではmiosugitaから日本の家制度が破壊されてしまうと思います。なぜこんな日本の伝統を一顧だにしないような愚行をするのか。家族の絆が壊れます https://t.co/5ZsGp6VEVJ
— 臨時 能町みね子 (@nmcmnc) December 17, 2020
この能町さんのツイートに関して、「能町さんが暴れてる」とツイートした人がいて、能町さんは「たった1ツイートで暴れている扱いか」と反応していた。
能町さんを「暴れている」としたアカウントは、杉田のような輩を相手にしたところで何の得にもならない、と言いたかったようにも思えるが、このツイートで能町さんが暴れているのならば、杉田を始めとした自民党の非論理的な政治家、そして積極的支持者たちがやっているのは暴動というか最早テロと言っても過言ではないのだろうか。
今の自民政権を見ていると、日本社会の発展・改善を妨げようとしているとしか思えず、そういう意味で言えば、自民党は白色テロ集団と言っても過言ではないかもしれない。反政府運動/反政府組織と言えば、権力をお上と呼んで服従を是とする風潮の強い日本では悪者扱いされがちだが、おそらくこれが日本でなければ、もう既に反政府運動が高まっているのではないだろうか。例えば香港のように。