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「秘書がやった」では許されず

 秘書が勝手にやった事、と最初に言ったのは誰なんだろう?と思って少し調べてみたのだが、明確にこれと特定している/出来る情報は見当たらなかった。だが少なくとも1983年には、衆院選活動期間中に、新井 将敬候補の選挙ポスターに石原 慎太郎の公設秘書がシールを貼った公職選挙法違反事件で、石原が「秘書が勝手にやった事」と言っている(黒シール事件 - Wikipedia)。


 昨日の投稿でも、前首相の安倍による恒常的な有権者へ供応買収について、「今や暴力団組長ですら構成員の犯した罪で使用者責任を追及される時代なのに、政治家は「秘書が勝手にやった」で責任を逃れられる、というか検察が見逃すなんてことが許される筈がない」と指摘したが、

安倍前首相側、「桜」前夜祭 差額補填認める 答弁矛盾、秘書が虚偽報告と説明 - 産経ニュース

安倍氏周辺によると、昨年末、安倍氏が国会答弁に備えるため、秘書に「5000円以外に事務所が支出をしていないか」と尋ねた。秘書は「払っていない」と虚偽の報告をした。この秘書は「(補填を)政治資金収支報告書に記載すべきなのにしていない事実を知っていた。(補填はないという)答弁をしても「今や暴力団組長ですら構成員の犯した罪で使用者責任を追及される時代なの「今や暴力団組長ですら構成員の犯した罪で使用者責任を追及される時代なのに、に、らう以外ないと勝手に判断した」などと話しているという。

この件に関しても、安倍の知らぬ間に秘書が勝手に有権者を集めたパーティー費用を補填し、更に収支報告書に記載していなかったことも補填していたことも隠していた為、安倍は国会で嘘をつくはめになった、という「秘書が勝手にやった事」という説明、というか言い訳がなされている。しかもその秘書すら略式起訴で済まされ、安倍の責任は不問になり、国会で謝罪するだけの幕引きが図られようとしているという状況だ。

 昨日さらにまた「秘書が勝手にやった事」という政治家の責任逃れ事案が浮上した。 自民党の竹本 直一前IT・科学技術担当相の後援会が、12/18に地元である大阪のホテルで政治資金パーティーを開いたことについて、竹本は「(新型ウイルスへの感染が過去最高に高まっている状況なので)アルコールが入って飛沫が飛び交う環境は避けるべきだったが、会食の開催自体を知らず私に責任はない」と説明したそうだ。

竹本直一前IT相の後援会が80人参加パーティー 飲酒伴い、礼状に「忘年会」 - 毎日新聞

 政府は先月から、感染リスクが高い「5人以上」の会食自粛を国民に呼びかけている。そうした中で、首相の菅が12/14に計8人で忘年会を行って批判を浴びたばかりだ(12/16の投稿)。
 懸案のパーティーは勉強会と飲酒を伴う会食の2部構成で、事務所が実質的に準備しており80人が参加した。竹本自身は勉強会にのみ参加したそうだが、自身の事務所が準備した会について「会食することを知らなかったから責任はない」と言い逃れるなんて、つまり「私は部下から必要な情報を教えて貰えないような、問題のある男だ」と公言しているにも等しい。

 竹本の「会食することを知らなかったから責任はない」という不細工な説明は、自身に如何に管理能力がないか、自分が如何に部下になめれらているか、ということを自ら示した無様な件とか、自民党の政治家は「人の振り見て我が振り直せ」すらできない、コロナウイルスが猛威を振るっているのに全く危機感がない、と、党の信頼性を下げる程度の話かもしれない。しかし安倍の件は、もう既に公職選挙法違反があったことは確定的で、決して「秘書が勝手にやった事」で済む話ではない。
 「今や暴力団組長ですら構成員の犯した罪で使用者責任を追及される時代なのに、」と昨日の投稿やこの投稿の冒頭で書いたが、公選法には連座制という、秘書が違反を犯せば、議員も責任を負うことになる仕組みがある連座制 - Wikipedia)。政治家自身が選挙違反に関与していなくても、秘書、つまり自陣営の関係者が選挙違反を犯し、罰金や禁固以上の刑に処されれば、選挙無効や立候補制限が課されるのが連座制なのだが、だから安倍の件では、秘書すら略式で済まされようとしているのかもしれない。

 2012年5月、当時はまだ野党だった公明党は、Webサイトにこんな公明新聞の記事を掲載している。

「秘書がやった」許されず ニュース 公明党

民主党政権が誕生した2009年以降、鳩山由紀夫元首相や小沢一郎元民主党代表らをめぐる「政治とカネ」の問題が相次ぎ、「秘書がやった。自分は知らない」との政治家の責任逃れはもはや許されなくなっている。公明党が同年11月に再発防止策として国会に提出した、政治家の監督責任を強化する政治資金規正法(政規法)改正案の実現が今や待ったなしの状況だ。

「秘書がやった」は許されない!と野党時代に吠えていた公明党は、今や自民党と連立を組む与党という立場だ。野党時代のその主張・姿勢は一体どこへいったのだろうか。公明党の山口代表は会見で「説明責任を尽くす基本的立場は安倍氏側にある」とは言っているものの(桜を見る会問題で公明・山口氏「説明責任を尽くす立場は安倍氏側に」 野党は国会招致求める:東京新聞 TOKYO Web)、「秘書が勝手にやった事」では済まされないのような厳しい姿勢は全く見えない。政治家というのは本当に身内に甘い生き物だ。

 身内に甘いのは決して現与党の自公(とその腰巾着・維新)に限らないが、だからと言って政治そのものに絶望するのは悪徳政治家の思う壺である。メディア、そして有権者は常に監視と批判を怠らないようにして、手の届く選択肢の中で、だとしても最善を追求しなければならない。メディアや有権者がウンザリして政治への興味を失うのは、それこそ彼らの望む状況である。いい加減なことをやっても誰も文句を言わない、うるさいことも言われない状況は悪徳政治家にとって間違いなく好都合だ。そんな状況になれば彼らは確実にやりたい放題し始める。

 

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