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混迷を極める オリンピックとコロナ危機

 混乱して、分別に迷うこと。複雑に入りまじって、見通しがつかないこと。いろいろの事が入り混じって、わけがわからなくなること。入り乱れて、秩序を失い、先の見通しがつかなくなること。これは「混迷」の説明だ(混迷とは - コトバンク)。物事の進むべき方向が定まらず、結論がなかなか出ないこと。定められた道筋をたどらず、あちこちに方向を変えながら走ること。これは「迷走」の説明である(迷走とは - コトバンク)。


 現在の自民党政権の政治は、一事が万事混迷を極め迷走している、と言っても過言ではない。いや、やってはいけないことを強行することも混迷、迷走と言えるが、間違った方向に力強く突進する、つまり本人たちには迷いはない、とも言えるだろうから、一事が万事ではないかもしれないが、特に新型コロナウイルス対応に関しては、頻発に混迷・迷走する。

  • 政府は東京五輪・パラリンピックに出場する日本代表選手を対象に、新型コロナウイルスワクチンの優先接種を可能とする方向で検討に入った

という報道が4/7にあったことは、4/8の投稿で書いた。「優先されるべきはまず、高齢者や、持病などがあり、感染した際に深刻化が懸念されるような人達と、感染の危険に晒される医療関係者でなければならない。なぜ身体的に健康であるスポーツ選手を優先するという話になるのか、全く理解し難い」という批判があちらこちらで上がった。その影響か、それからたった2日、4/9に五輪担当大臣の丸川が

  • (東京五輪・パラリンピックに出場する日本選手を対象にした新型コロナウイルスワクチンの優先接種は)全く検討していない。現時点ではもちろん、これから先も具体的な検討を行う予定はない。今のところ、ワクチンを前提にしない大会の準備をしている

として、五輪・パラリンピック選手にワクチンを優先的に接種させることに否定的な考えを示した、ということにも4/9の投稿で触れ、観測気球を上げたが思いのほか批判の声が高かったから、たった2日前の報道内容を否定する声明を、大臣が慌てて出したのだろう、と書いた。

 しかしそれから1週間も経たぬうちにまたしても、「自民 下村氏 五輪・パラ出場選手へのワクチン優先接種 検討へ | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース」と報じられた。

  • 東京オリンピック・パラリンピックに出場する選手や関係者を優先する計画にはなっていないが、格闘技などで日本選手がワクチンを接種していないとリスクがあるという話が出ている

これは4/14の記事で、自民党政務調査会長・下村の発言である。
 それからまた2日で、また丸川の話も出てきた。「丸川五輪担当相、選手に毎日コロナ検査実施へ 変異株対応で | 毎日新聞」によると、丸川は今日・4/16の閣議後の会見で、

  • 東京オリンピック・パラリンピックの新型コロナウイルス対策として、参加選手を対象とした検査を毎日実施する方向で調整している
  • 大会時の感染防止対策などのルールをまとめた「プレーブック(規則集)」では最低4日に1回検査することが明記されているが、感染力が強いとされる変異株に対応するため、検査頻度を引き上げる考え
  • 検査対象は監督やコーチら関係者にも広げる方針

を示したとのことだ。なぜ今回は下村の選手の優先接種の件に触れないのか。また、記者らはそれについて聞かないのか。政府と記者クラブ所属メディア・記者が一体となって、不都合なことには触れない感が如実に表れている。
 毎日新聞の当該記事は、4/16 10:42 の記事である。この投稿を書いている同日 14:30 に、Googleにて「丸川」で24時間以内のニュースを検索しても、当該会見で丸川がワクチン優先接種の件に触れた、メディア側・記者が聞いたという内容の記事はなく、それと同種の記事と、

丸川五輪相 二階氏“五輪中止も選択肢”の認識は「叱咤激励」|TBS NEWS

という件に関する記事しか見当たらない。勿論この件に関する記事でも、下村が示したワクチン優先接種検討の件には、メディア側・記者も、当然丸川も触れていない。
 それ以外に見つかったのは「昨秋検討の五輪日本代表にワクチン優先接種案 組織委関係者「政府はやる」 - 社会 : 日刊スポーツ」という記事だけだった。


 ここまでの書き方だと、オリンピック選手へのワクチン優先接種に関して、政府や組織委の対応が混迷を極めている、迷走している、という話のようにも見えるだろうが、混迷 迷走はその件に限らない。丸川が今日示した、オリンピックの選手に毎日検査を実施する、という話も相当支離滅裂な話である。
 英・ガーディアン紙の日本・韓国特派員 Justin McCurry は、その件に関する時事通信の記事を引用し、次のようにツイートしている。

アスリートを定期的に検査することで「安全で安心な」オリンピックができる、と日本政府が本当に思っているなら、日本の「安全で安心な」状態を実現する為に、なぜ同じことをしてこなかったのか

と言っている。
 自民党は1/29に「本部全職員をPCR検査する」としている。勿論感染の疑いの有無関係なしに(2/2の投稿)。つまり、政府も自民も、広く無差別に検査を行うことが感染対策として有効であることは分かっているのだ。しかし広く検査をすれば、勿論見つかる感染者はこれまで以上に増えるだろう。オリンピックを何が何でも開催したい人達にとって、感染者が多く見つかることは不都合で、だから積極的な検査を、これまで自民政権がやってこなかったことは、ここまでくればもう疑いようのない事実と言える。検査対象が未だに絞られていることには4/9の投稿でも触れた。


 いつまでもこんな支離滅裂な人達に国の運営を任せていたら、取り返しのつかないことになってしまう。いやもう取り返しのつかない状況に片足をつっこんでいるし、取り返しのつかなさ加減は時間と共に増していく。



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