スキップしてメイン コンテンツに移動
 

虐待やDVを正当化しようとする人達と変わらない政府与党

 子供を虐待する親は「ウチにはウチにやりかたがある。周りにとやかく言われる筋合いはない」と言いがちだし、DVに及ぶ者も同様に「自分達には自分達のカタチがある。周りにつべこべ言われる筋合いはない」と言いがちだ。どちらも、物理的/精神的暴力を振るう側が、それを正当化したいが為に用いる詭弁である。


 同じ様な態度をしばしば示すのが中国だ。1/27の投稿でも触れたように、ウイグルやチベット・香港や台湾など、中国本土の支配を望まない地域に対して独善的な行為を繰り返すこと、その過程で行われる人権軽視/侵害/抑圧、又は南シナ海における領土問題についてなど、国際的に、中国にとって都合の悪い批判をされる度に「内政干渉をやめろ」と主張する。
 少なくも、人権侵害が行われているという指摘に対して「内政干渉をやめろ」と反論することは、「人権侵害しているがそれは内政問題だから、国外からとやかく言われる筋合いはない」と言っているも同様であり、端的に言って、子供を虐待する親、DVに及ぶ者の常套句と大きな差はない。その規模には違いがあれども、どちらも共に不適切な行為を強引に「問題ない」ことにする為の詭弁、という点では同じだ。


 5/28の投稿で、首相の菅が5/27のぶら下がりにおいて、何を聞かれても空念仏のように「専門家の意見を伺って…」と繰り返したことを批判した。なぜそれが空念仏だと言えるのかと言えば、感染症対策に失敗した場合の首相としての責任について問われても「専門家の意見を…」と述べたからだ。首相としての責任は首相自らが判断すべきことであり、感染症の専門家に意見を仰ぐようなことではない。つまり菅は何も考えずに「専門家の意見を…」と馬鹿の一つ覚えを繰り返しているに過ぎなかった。

 数日前にそれを裏付けることを厚労大臣が主張した。政府側の専門家の集まりである分科会会長であり、これまで政府に都合の悪いことは殆ど言わなかった尾身が、今更ではあるが、東京オリンピック開催のリスクを主張し始めた。尾身のそのような主張に対して厚労大臣の田村は、

自主的な研究の成果の発表ということだ

(だからそれは重視しない)という見解を示した。あれ程、菅が「専門家の意見を…」と繰り返していたのに、いざ専門家が自分達に都合の悪いことを言えば、聞く耳を持たないのだからどうしようもない。

尾身氏見解は「自主研究の発表」田村大臣、非公式の認識 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

田村のこの主張は、菅の「専門家の意見を…」が空念仏に過ぎなかったことを、明確に裏付けた。

 このような話は田村だけにとどまらず、政府与党全般の傾向である。自民党幹部は尾身の主張に対して「言葉が過ぎる」というトーンポリシングをやっているし、

尾身氏“警鐘”も「言葉が過ぎる」 自民から不快感|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

 五輪大臣の丸川も「我々はスポーツの持つ力を信じて今までやってきた。全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらい、というのは私の実感」と言っており、言い方を変えれば「尾身は言葉が通じない分からず屋」のようなことを言っている。

丸川氏、尾身氏発言に「全く別の地平から見てきた言葉」 - 東京オリンピック [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 都合よく利用できれば「専門家の意見を…」と責任逃れに利用し、いざ利用出来なくなると「自主研究の発表」「言葉が通じない分からず屋」「もっと優しく言え」などと罵倒して切り捨てる。現政権が如何に専門家や学問、科学、論理を軽視しているかは、この件だけを見ても明白だし、これまでに前例のない学術会議会員任命の拒否を、昨年首相の菅がやって、今もその間違いを認めていないことからもよく分かる。また、国会を見ていれば分かるが、これらの大臣に限らず、他の閣僚、官僚も、都合が悪ければ質問の趣旨をはぐらかして答えないことが常態化してしまっている。それは、小学校高学年程度の認識力があれば分かるだろう。


 都合の悪い批判や指摘から目を背ける、強引にそれを正当化しようとする、という点では、今の政府と与党自公は、虐待やDVを正当化しようとする人達や、人権侵害を指摘されても内政干渉するなとはぐらかす中国と何も違わない。



 トップ画像には、子 悲しい 泣く - Pixabayの無料ベクター素材 と、拳 手 ジェスチャ - Pixabayの無料ベクター素材 を使用した。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。