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フジロックへの複雑な想い

 昨夜のDOMMUNEフィッシュマンズの特集だった。フィッシュマンズは1990年頃、バンドブームの只中に出てきたバンドで、レゲエやダブっぽい曲が多かった。90年代中盤以降はエレクトロニカやヒップホップ、ファンクの要素も取り入れ、楽曲の幅を広げたものの、メンバー脱退が相次ぎ、そして1999年にボーカルの佐藤 伸治が死去したことで、フィッシュマンズは21世紀を目前に活動停止状態になった。


 固定メンバーで楽曲制作をしたりライブを行ったりする一般的なバンド活動は、前述の理由によって出来なくなってしまったが、オリジナルメンバーで、現在フィッシュマンズ唯一のメンバーで、同バンドの主体である茂木 欣一を中心に、同バンドを慕うアーティストなどをサポートメンバーに迎え、その後もたびたびライブ公演が行われている(フィッシュマンズ#1999年_-_:活動休止、その後 - Wikipedia)。
 昨晩DOMMUNEがフィッシュマンズの特集をやった背景には、7/9から映画・フィッシュマンズが公開される予定であることもあって、番組はそのプロモーションでもあった。

映画:フィッシュマンズ 予告第一弾 - YouTube

 自分が最後にフィッシュマンズ名義のライブを生で見たのは、2006年のフジロックフェスティバルだった。クラムボンの原田 郁子や、UA などがゲストボーカルとして参加していた。フジロックに一緒に行く友達はみんなそれぞれ見たいものを見るので、一緒に行っても基本的には別行動なのだが、このステージは、フジロックに一緒に行く友達、フジロックでしか会わない友達などの大半が見ていたし、サッカーコート1面ほどあるステージは早々に観客で埋め尽くされ、開演直後にステージへ着いた友達は、入場規制で入れなかったと言っていた。


 フジロックと言えば、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の余波を受けて、開催が中止されたが、今年は、トップ画像でも示したように、8/20-22にフジロックフェスティバル’21開催が予定されている。

FUJI ROCK FESTIVAL'20 開催延期のお知らせ|NEWS

FUJI ROCK FESTIVAL’21 「コロナ禍で開催する特別なフジロック」を目指します。|NEWS

 今年のラインナップは、時節柄海外勢が皆無で、例年とは様相がかなり異なる。3月に示された前述の開催宣言の中には、

場内各所で混雑が生じないよう入場人数を減らし、苗場の広大な野外空間における大自然の恩恵を活かした「自然と音楽の共生」を目指すフジロックならではの創意工夫を図り、感染リスクの回避に取り組んでまいります

とあるが、野外フェスティバルとは言え、期間中に万単位の人が集まり、近隣のホテルや合宿所、宿に集中する。またテント泊を予定する参加者も多く、フジロックでしか会わないような友達を持つ人も多く、そのような人が同じテントで3日間を過ごすことになれば、少なからず感染拡大に繋がる恐れは否めないわけで、個人的には、オリンピック同様に開催には反対だ。
 しかし、日本は文化芸術分野への支援が諸外国とは比べ物にならないほど少なく、1年の中止はなんとか乗り越えられても、2年目は無理だ、という状況に追い込まれていることも容易に予想がつく為、そして、国が更に大きな規模のイベント・オリンピックをやろうとしているのに、なんで自分達だけが自粛しないといけないのか、という考えが生まれることも仕方がないとも思う。そんなことを勘案すると、とても複雑な気分にさせられる。
 本来は、自治体や政府と協力して、運営関係者やアーティストだけでなく、客も含めて全ての人に対して連日検査を行い、感染拡大が生じても影響を最小限にとどめる準備をすべきなんだろうが、濃厚接触者の定義を狭めたり、検査を絞ったりしてでも感染者数を少なく見せたい国・日本では、そんなのは夢物語なんだろう。


 感染症とは関係ない話だが、フジロックフェスティバルはもう、フジでもないし、ロックだけでもないので、単なるフェスティバル、夏祭だ、と以前にも書いたことがある(2018年7/19の投稿)。第1回は富士天神山スキー場で開催、出演者はほぼロック要素の強いバンドだったが、2回目は東京 晴海で開催、現在の開催地は富士山周辺ではなく新潟県 苗場。今年はロックバンドの割合が高いが、例年ロック要素が皆無なアーティストがそれなりに出演しており、ロック(限定の音楽)フェスティバルでもない。そういう意味で、フジロックフェスティバルは、厳密には2回目以降、フジロックではなくなっている。

 昨日フジロックのことを思い出したのは、フィッシュマンズ特集をDOMMUNEがやっていたからでもあるが、もう一つ全く別のことでフジロックを思い出していた。

走行なし、無観客セレモニーでトーチキス 千葉県で聖火リレー始まる:東京新聞 TOKYO Web

 聖火リレーの聖火は、聖火ではない、ということについては、6/13の投稿で書いた。聖火リレーと呼んでいるのは日本ぐらいで、英語では、聖火でなく Olympic flame、聖火リレーでなく Olympic torch relayと呼ばれている(Olympic flame - Wikipedia)。そして千葉県では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、聖火リレーのランナー公道走行は全区間で中止された。つまりリレーしない聖火リレーになった。
 つまり、聖火リレーが聖火でもリレーでもなくなった。フジロックフェスティバルだとフェスティバルの要素だけは残っているものの、聖火リレーに関しては最早主要な構成要素が何も残っていない。残ったのはスポンサーのアピール活動、つまり単なる商業イベントだ。そして、中止しなかった、というオリンピック開催強行派の面子を保つためだけの、形骸化した中身からっぽな何かである。


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