毎日暑い日が続いている。炎天下にずっと立っていたら、脱水か熱射病で倒れてしまいそうな程だ。風が吹いていればまだいいが、台風の影響でもなければ風も殆どの吹かず、本当に命の危険を感じるような暑さだ。そんな危険な暑さの中、高校生に野球をやらせて、国営放送がそれを見世物にしているかと思うと、なんて美しい国なんだろう、という気しかしない。ちなみにNHKは高校野球があるので「激しい運動は控えて」という啓蒙を止めた(2019年8/6の投稿)。
最近は公立校でも冷房設備があるところも少なくないそうだが、自分が中高生だった90年代、公立校で冷房設備があるのは稀だった。工業地帯の側であるとか、飛行場が近くて窓を開けると騒音が酷いとか、特殊な要因がなければ、冷房はおろか扇風機すらないのが普通だった。7月中旬から8月にかけては夏休みで授業はないが、それでも梅雨明け以降夏休みまで、そして夏休み明けから9月の終わりにかけては暑い日も多く、ボーっとしながら、背中を汗で湿らせながら、授業を受けるなんて日もよくあった。
自分の通った高校は、ジャージや体操着で座学を受けてもよい学校だったが、中学校では体操着の着用は体育だけに限定され、座学では制服の着用を強いられていた。以前にも書いたことがあるが、生徒には制服で授業を受けることを義務付けるのに、運動部の顧問をやっている教員などジャージで教壇に立つ者も少なくなかった。夏になると、Tシャツにハーフパンツで授業をする者もいた。
自分が2年の頃に、生徒には暑かろうが寒かろうが制服だけを着ろと言うくせに、教員がジャージやTシャツやハーフパンツでOKなのはおかしいと声を上げたところ、中学生らしさという曖昧な謎の概念を持ち出されて、強引に正当化された。今思えば、教員らしさという概念で応戦すればよかったんだろうと思うのだが、一旦はこちらに共感した他の生徒たちが、そういうもんだという空気に巻かれてしまったこともあって、有耶無耶にされてしまった。
身だしなみを整える、という名目で制服着用を義務付けるくせに、教員の中には身だしなみに無頓着な者も多かった。今思えばあれはどう考えても二枚舌だった。
東京オリンピック閉会式の翌日である昨日・8/9、IOC会長 バッハが銀座を観光していたそうだ。
ネット騒然…バッハ会長が銀座散歩? 選手は観光禁止なのに【動画あり】:東京新聞 TOKYO Web
東京オリンピック/パラリンピックでは、選手の観光をプレーブックで禁じており、選手村を抜け出して観光をしたとして、ジョージアの選手が参加資格、獲得したメダルをはく奪されている。
選手は観光NGでメダルまで剥奪されるのに、IOC会長が堂々と観光をしている。これも間違いなく二枚舌でしかない。
そしてこの件に絡んだ二枚舌は更に続く。バッハが銀座観光したことに関して、オリンピック担当大臣の丸川は、
不要不急かどうかは本人が判断すべきだ
と発言した。
バッハ氏の銀座散策 丸川五輪相「不要不急かは本人が判断すべきだ」 | 毎日新聞
丸川は「(入国から)まず14日間しっかりと防疫措置の中で過ごしていただいているというのが重要なポイント」とも言っている。ならば、選手に観光禁止を科すのは過剰な行動制限ということになり、人権問題にもなりかねない。これも明かな二枚舌であり、こんなことを言う者がオリンピック担当大臣になれるというのは全く異様である。
首相、帰省自粛呼びかけ 「極めて大事な時期」 - 産経ニュース
首相をはじめ、厚労大臣の田村や、新型コロナウイルス担当の西村などが、口を揃えて「感染拡大が深刻だから県境をまたぐ移動、帰省をやめろ」と言っているが、県境をまたぐ移動どころか、万単位の国境をまたぐ移動を伴うオリンピックを強行しておいて、どの口で言うのか、という感しかない。それは、8/4の投稿で取り上げた「コロナに打ち勝った証として帰省する」という風刺がこれでもかと示している。
丸川の「不要不急かどうかは本人が判断すべき」という発言は、これに更なる追い打ちをかけるものでしかない。バッハの銀座観光について、苦言も呈さずに是非は本人が判断すればよいと言うのなら、帰省すべきか、酒類提供辞めるべきか、時短営業すべきか、休業すべきか、全て国民個人個人が判断すべきだろうから、政府は一切口出すな、ということになる。とやかく言われる筋合いはない、ということになる。
しかしこの政府は、感染が拡大する度に「国民の気が緩んでいる」と言い、休業要請に従わないなら罰則を科すとまで言っていた。それなのに、IOC会長には「観光が不要不急かは本人で判断して」と言っているのだ。これもまさに典型的な二枚舌である。
自民党の二枚舌は今に始まったことではない。野党時代には、震災直後の有事に国会を閉じるなんてとんでもない、と言っていたのに、去年も今年も通常国会は会期延長せずに閉じ、臨時国会の召集要請にも応じず、昨年秋の臨時国会も最短で終わらせた。また、野党時代にはTPP反対を声高に主張していたのに、政権を奪還した途端、TPP推進を始めた。2017衆院選でも、保育無償化を公約にしていたのに、選挙が終わった途端、無償化とは全く言えない政策を打ち出している。
誰がやってもそんなもん、みたいなことを言う人がいるが、たとえそれが事実だったとしても、今そういう汚いことをやる、言う人達を野放しにしたら、状況は更に悪化する。どうせ万引きをゼロにはできないんだから、万引きを注意しても、捕まえても仕方がない、なんていう話にどれだけの人が納得できるか。納得できる人がいるなら是非教えて欲しい。多分そう考えている人の店は万引き犯が押し寄せてすぐに潰れるだろう。
そのように考えたら、二枚舌、不誠実な政治を「そんなもんだ」と許してはならないことは、誰でも簡単に分かるはずだ。