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恣意的な批判や問題提起

 「まずは外国人の人権について憲法上どうするのか議論すべきで、そういう議論がなく拙速に外国人にさまざまな権利を認めるのは、極めて慎重であるべきだ」という、外国人の住民投票傘下を認める武蔵野市の条例案が否決されたことに関連する、国民民主党代表 玉木 雄一郎の発言に関しては昨日の投稿で取り上げた。

 玉木の当該発言には批判が集まり、玉木は今朝、批判に反応して次のようにツイ―トした。

 2012年以降の自民党政権は、安倍も菅も、そして現在の首相である岸田も、ことごとく間違いを認めない。間違いを認めないから不適当な対応・政治がずっと続いている。間違いを認められないのは確実に好ましくない。いや、責任を有耶無耶にしようとする恣意的な態度でしかなく、そんなことに政治が、というか国が振り回され続けている。
 間違いを認められないのは玉木も同じようだ。玉木の発言がどのようにおかしいのか、は昨日の投稿で既に書いたので詳しくは割愛する。端的に言えば、日本は憲法で万人の法の下の平等・基本的人権の尊重を定めていて、それは日本に限ったことではなく、現在の民主主義や自由主義の根本である。だから

外国人の人権享有主体性については様々な意見があります。100%これが正しい、これが間違っているというものではありません

なんてのは明らかに間違っている。そんなことを言えば、殺人を罪とすべきかどうか、にだって様々な意見はある。玉木の発言は明確に万人の法の下の平等・基本的人権の尊重に反する。玉木は、外国人の参政権、住民投票への参加権などとすべきところを外国人の人権と言っている。それが間違いの元凶なのだ。つまり、人権ではなく参政権・住民投票への参加権と言うべきところを人権と言ってしまった、と間違いを認めるべきなのに、それをせずに恥の上塗りをやっている


 武蔵野市の住民投票条例の件について考えたことを、4コママンガにしてみた。

 外国人を住民投票に参加させるのは国の危機を招く、と言う人達の大半は、米兵がドラッグを密輸しても、米兵による飲酒運転や強制わいせつなどが後を絶たなくても、米軍機がいくら墜落しても、市街に異物を落下させても、そして国がその米軍の為の予算をどんどん増大させても、米軍を駐留させると国が荒廃する、とは言わない。
 また、外国人を住民投票に参加させるのは国の危機を招く、と言う人達には、中国当局のウイグル自治区弾圧は許しがたい人権問題だ、と声高に叫ぶ人達も多いが、彼らの大半は、日本の入管による収容者への人権侵害・虐待、日本の警察による非日本人、非日本人に見える外見の人達への明らかな差別的対応などについては、ほとんど何も言わない。

 勿論、一人の人が世の中の問題全てに対して目を配ることはできないし、そうしないからと言って、それが即座に不適当だと言うことは出来ないだろう。だが、同じ外国人に関する問題なのに、米兵・米軍とそれ以外であまりにも対応が異なることには、恣意的な側面を感じずにはいられない。そして、他国の人権問題はとやかく言うくせに、自国の人権問題に目を向けないのは、明らかに優先順位がおかしい


 誰かが何かを言っている時、言っていることだけではなく、何に触れないかも重要なことだ。このように書くと、女性差別を非難するくせに男性差別には目を向けないのか!とか、外国人差別は非難するくせに日本人への差別には目を向けないのか! なんて言い出す輩が必ずいる。だが、男性に対する差別も全くないとは言えないが、女性差別と男性差別のどちらが深刻かは明らかで、そのような相対化は間違いなく恣意的だ。また、外国人差別についても、日本において圧倒的多数派の日本人への差別なんて、あったとしても、それは日本人差別なんて呼称できるような程度の話じゃない。つまりこれも恣意的である。

 これは、12/19の投稿で書いた、時代に合わない憲法は変えよう、という話の恣意性、詭弁性とも似た話である。誰かが何かを強調する時、字面だけに注目してしまい、その背景や思惑をよく考えないようだと、簡単に騙されてしまう



 マンガで引用した記事・参考記事


 トップ画像には、ちょうどいいイラスト の素材を使用した。

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