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憲法改正


 日本維新の会・片山代表が昨日の国会で「憲法改正し、教育の無償化を」と発言し、安部総理も前向きの返答をした。現政権になってから、改憲に前向きな勢力が憲法改正に意欲をみせているが、教育の無償化を行うためには憲法改正が必ず必要なのだろうか。それもと憲法を改正するために、教育の無償化という悪く言えば撒餌をしているのだろうか。


 教育の無償化は実現可能であれば実施するべき政策だということには全く異論がない。その範囲や対象など細かい部分はよく検討する必要があるだろうが、少子化対策や拡大する貧富の差解消のためにも有効な政策だろう。しかし、その実現は現憲法下での法律改正でも可能なのではないだろうか。現在の制度では憲法を改正するには国民投票が必要で、国民投票を行うには一説にはおよそ800億円以上もの経費が必要と言われている。単純に考えれば、法律改正だけで実現できるのであれば余計な予算を使わずに済むということだ。だとすれば、憲法改正はせずにその800億円もの予算を別の政策にまわす政治家のほうが有能な政治家ということなのではないだろうか。もちろん国民投票に使用される予算もある方面には経済効果をもたらすだろうが、それは他の施策に予算を投じても同じことで、国民投票よりも必要性・緊急性の高い施策へ投じるべきだろう。

 この件からも、どうも改憲に前向きな勢力、特に現政権は改憲すること自体が目的であるように感じられる。個人的には最終目標は憲法9条の改正が主目的で、そのための布石として「なんでもいいからやりやすいことで憲法改正の前例を作りたい」と考えている、もしくは初の憲法改正を行った総理大臣という肩書きで歴史に名を残したいと考えているように思える。憲法改正に前向きな勢力が、憲法改正が必要な理由の一つに”押し付け憲法”であるということを挙げている。安部総理は昨年「公布から70年の節目に改正の議論を」などと呼びかけたが、実際は押し付けかどうかよりもその内容が重要で、現憲法の内容を良しとしていたから70年間、改正の機運が盛り上がることがなかったのではないだろうか。また70年が節目と言うなら、10年目も20年目も10年単位で節目と言えるが、それらの節目で憲法を見直すという機運にならなかったのはなぜだろうか。なのに急に70年目だけ節目というのもおかしな話しだ。

 押し付け憲法という話で誰に現憲法を押し付けられたのかと言えば、太平洋戦争に勝利した連合国、特にアメリカと言えるだろう。現政権はアメリカに押し付けられた憲法を改正したいと言っている一方で、総理がアメリカ議会での演説で宣言したスケジュール通りに、国内では多くの学者が違憲のおそれがあるとしたにも関わらず、集団的自衛権の容認を含む安全保障に関連する法案を強引に押し通すという、アメリカに押し付けられた政策を行ったようにも見える。

 このような流れを見ていると、改憲のための改憲、9条の改憲が現政権の目的だと思えてならない。改憲に前向きな人たちの多くは、現状言ってしまうと多くの国民の支持は得られないであろう9条改正とは言わずに、ただただ憲法改正を連呼するばかりである。違憲のおそれが強い集団的自衛権を憲法の解釈変更だけで容認したり、武器輸出を防衛装備移転と言い換えたりする現政権が、自衛隊と憲法9条の矛盾を指摘する姿勢を示していることには違和感を感じる。周辺国等の国際情勢の変化に対応することは必要なのかもしれないが、ある意味国民を騙しているとも感じられてしまうその方法・姿勢には共感することができない。

 

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