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教育方針


 森友学園の問題について、テレビ局はなぜ取り上げないのかということなどについて以前に書いたが、その後大小様々な話が次々と明るみになり、先週あたりからとうとう(というか やっと と言うべきか)多くのテレビ番組で時間を割くようになってきた(というか 割かないわけにはいかない状況になってきた と言ったほうが妥当か)。森友学園についての問題は、大きく分けると国有地売却価格の問題と、その教育方針が教育基本法から逸脱していないかの2点に分けられるとされている。個人的にはこの2つは全く別問題ではなく、共に影響のある話だと思うが、便宜上分けて考えれば、国会やテレビ番組でより大きく扱われている国有地売却価格に関する問題より、その教育方針の方がより深刻な問題のように思う。


 いくつかのテレビ番組で一部のコメンテーターが、報道されている内容から考えれば行き過ぎている部分もあるが、森友学園は私学なので公立校よりも思想信条の自由を重視し、その教育方針を強く批判するべきではないという態度を示している。自分はこの考え方には全く賛同できない。確かにテレビ番組で特定の学校の教育方針を非難するということが、社会に悪い影響を与えかねないという懸念も理解できる。しかし森友学園の理事長が保護者向けのお知らせや、Webサイト、運営する幼稚園の運動会で園児にさせた宣誓など、ヘイトスピーチの恐れが極めて強い表現をしていること、そのような政治的な考えを理解したり疑問に思うことが出来るとは到底思えない幼稚園児にそれを刷り込んでいること、小学校の認可を得るために虚偽が疑われる発言をいくつもしていることなど、教育者としての資質があるとは全く思えないし、そのような教育方針は、もはや思想信条の自由の範疇を逸脱していると思う。そんな人物が中心となっている学校法人が運営する学校を認可するべきではないし、すでに運営している幼稚園についても認可を取り消すべきではないだろうか。自分は全く賛同できないが、教育勅語の暗唱や、限りなく黒に近いグレーだが軍歌を園児に歌わせることなどなら、百歩では足りないかもしれないが、千歩譲ればまだ思想信条の自由で許される範囲だという意見も理解できなくはない。しかしヘイトスピーチの根底にあるような差別的思考を園児や小学生に刷り込むような行為は、もはや教育でも何でもない。まるで幼少期から将軍様万歳と教え込み洗脳しているとも思える、北朝鮮などの幼稚園・学校を見ているかのようだ。

 さらにそのような学園であるにもかかわらず、首相夫人が「すばらしい」と招かれた講演会で絶賛し、この幼稚園で育った園児が公立の学校に進学したら、そのような教育が台無しになるとし、新設予定の小学校の名誉校長を引き受けていたということ、首相本人も、現在は詳しい教育方針は知らなかったとしているが、一時は「すばらしい(と聞いている)」、「学園の理事長の考え方は自分の考えと共鳴する」という主旨の発言を国会でもしたこと、この理事長に現防衛大臣が感謝状を送っていたことなど、もし国有地売却価格の問題が出てこなかったら、現政権はこの学園について、どう考えても確実に肯定的な姿勢だっただろうし、大阪府も認可を前向きに考えていたことなどを思うとかなり恐ろしい状況だ。所謂保守系の人々の全てがこのような状況を肯定しているとは思わないが、このような背景を考えるとそう誤解してしまう人が出てしまうのも、現政権などを支援している保守系団体に対して、ある種の危険性のようなものを感じてしまうのも仕方ないとも思える。

 国有地売却に関して約8億の値引き、実質的にはただ同然で譲渡されたような状況だったこと、それについて政治家が関与した疑いが強いということも、それはそれでとても大きな問題だが、上記の洗脳と言っても過言ではないような教育方針の幼稚園・学校を政府与党が支援し、自治体の認可を受け、子供たちに危険とも思える思想を植え付けるようなことが行われていたかもしれないということの方が、子供たちの未来を考えると十数億程度の金のことなどどうでも良くなってしまうくらい大変な問題ではないかと思う。国会の答弁で政府与党側は「学校認可については自治体の問題」としており、該当自治体である大阪府の知事は現在明るみになっている様々な要素を前提に「今月中の認可は困難」という見通しを示しているが、個人的には認可の延期なんて生ぬるい対応でなく認可について白紙撤回ぐらいの措置が必要であると思う。野党などの追及を受けるよりも前に、政府与党や大阪府知事は、言い訳がましい発言をせず一定の落ち度を認め、然るべき対応をしたほうが良いのではないだろうか。


森友学園に保守団体から「迷惑」の声 「中国人嫌い」と園児が言う教育の実態 - BuzzFeed News

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