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前回緊急事態を宣言した4月とは状況が異なる?


 7/22、日本における新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が、それまでで最も多かった4/11の720人を、約3ヶ月ぶりに上回る795人を記録した(【国内感染】22日は795人 1日として最多に 新型コロナ | NHKニュース)。翌7/23は更に多い981人もの感染者が出ている(国内の新規感染者900人超、全国各地で過去最多を更新 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)。何度も書いているが感染が再拡大した6月下旬以降、何の対策もされていないと言っても同然で、少なくとも今後2週間は状況が好転するとは考えにくい。

 少なくとも今後2週間は状況が好転するとは考えにくい、というか、寧ろ悪化する恐れすらあると、6月下旬以降何度もこのブログで書いてきた。そしてその通り状況は徐々に悪化している。それは誰の目にも明らかである。だが政府は狂気の旅行促進政策・GoToキャンペーンを強行した。GoToキャンペーンを政府が強行する前まで、メディアの多くが全国の感染者数増よりも東京での感染増を強調していた。それによって政府は東京を当該キャンペーンから除外したが、直近では東京以外でも目に見えて感染が増えている。

新型コロナウイルス 国内感染の状況

しかし政府や首相には、このような状況でも具体的な対策を講じる気は一切ないようだ。安倍は昨日記者の「緊急事態宣言の再宣言など、さらに踏み込んだ対策の検討状況と、その際の判断基準についてどうお考えでしょうか」という質問に対して、
前回の状況とは、現在確かに感染者数は増えていますから、高い緊張感を持って注視しております。しかし、専門家の皆さんのおっしゃっているように、あの時とはまた状況が異なり、再び今、緊急事態宣言を出す状況にはないと考えています
と述べた。このやり取りの前にも感染者の増加に対する所感を表明しているが、抜本的な対応をする姿勢は一切見せていない。

令和2年7月24日 新型コロナウイルス感染症の感染者数増加への対応についての会見 | 令和2年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ


 しかも、記者に「踏み込んだ対策の検討状況と、その際の判断基準について」と聞かれているのに、具体的な根拠も示さず「前回緊急事態を宣言した4月とは状況が異なる」と専門家が言っていると言うだけで、検討状況も判断基準にも全く触れていない。そもそも政府の専門家会議というのも、これまで感染拡大を懸念して移動の自粛や休業を促していたのに、「新幹線の中で感染は起きていない。旅行自体が感染を起こすことはない」などと支離滅裂なことを言いだす者が長を務めている(尾身氏、旅行自体は感染起こさず 3密避ければリスク低い:東京新聞 TOKYO Web)。
 つまり安倍とは質疑応答が全く成立してない。官邸記者クラブはなぜそんな答弁を許すのか。なぜメディアはその異様さを指摘しないのか。なぜ有権者はこんないい加減な男が首相で平気なのだろうか。全く理解に苦しむ。
 首相動静(7月24日):時事ドットコム には、
  • 午後6時から同1分まで、報道各社のインタビュー。同2分、官邸発。
  • 午後6時15分、私邸着。
  • 午後10時現在、私邸。来客なし。
とある。つまり前述の動画がこの会見の一部始終である。なぜ正式に会見の場を設けず、たった2分未満足を止め、質問されたことにも答えずに足早に私邸に帰ったのか。安倍にとって、感染の再拡大などその程度なのだろう。
 時事通信の別の記事

安倍首相、緊急宣言再発令を否定 指針違反の感染で店名公表―新型コロナ:時事ドットコム


 を見れば、安倍だけでなく、コロナ対応担当大臣の西村も、未だに夜の街をスケープゴートにしているだけで、現実を見ようとしていないことは明白である。だから少なくとも今後2週間は状況が好転するとは考えにくい。寧ろ悪化する恐れがある。


 この安倍の合理性を欠いた説明について、
過去一の感染者数が出ているのに、ではなぜ4月に緊急事態宣言したのか。との整合性がない。現政権がやってるのはコロナ対応ではなく、単なる保身。
ツイートしたところ、

というリプライがあった。検査数が増えているから陽性者の検出が増えているだけで4月とは状況が違う?前回緊急事態が宣言されたのは4/7だ。新型コロナウイルス 国内感染の状況 によると4/7のPCR検査件数は7403件である。一方でそれまで過去最高だった4/11の感染者数を3ヶ月ぶりに上回り、795人の感染者が出た7/22の検査件数は4189件だ。確かに7/22の検査数は、最近の平均的な1日の検査数・1万5000前後に比べて極端に少ない。しかし検査数が増えているから陽性者が増えているだけ、と言える合理的な根拠があるとは全く思えない。
 重症者や死者が最悪な時期よりもまだ少ない、というのも事実ではあるものの、重症者や死者が増えてから対応するようでは何もかもが遅い。少なくとも重症者は7/15から既に間違いなく増加傾向にある。死者数は確かに増えていないが、死ななければOKということでもないし、重症者が増えているなら、今後増加に転じる恐れだって充分にある。
 緊急事態宣言を出すと経済が死ぬ、確かにそうだろう。だが経済優先である程度感染拡大は仕方ないのだろうか? そのような発想は間違いなく自己責任論に傾倒した新自由主義的な発想だ。経済維持と感染抑制の両立が出来ないなら、早急に政権を畳むべきだ。


 そもそも、検査数が増えているから陽性者が増えている、という話が事実だとして、感染者が増えていることは事実なので、だから問題はないなんて言える話では全くない。検査数が増えているから陽性者も増えている、だから見通しは暗くない、という話ならまだ分かるが、だから対応しなくてもよい、という話には全くならない
 この種の主張をする人は、論理的/合理的な話が通じる割合が著しく低いし、


使用されたアカウントはこんな捨てアカみたいな状況なので、直接反論するのも馬鹿馬鹿しくてツイッター上ではスルーしている。だがこの種の人が、SNS上で見えるよりも遥かに少数だとしても、あたかも一定数存在しているかのように振舞っている状況・運営が振舞わせている状況は異様だし、この国で安倍が首相を7年以上も続けられているのを見ると、こんな人が決して少なくないのではないか?と危惧せざるを得ない。


 トップ画像は、Belova59によるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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