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感染症を広げかねないGoToキャンペーンは、政府による国民を標的とした暴力行為


 東京都の昨日の新型コロナウイルス新規感染者数は243人だった。全国でも新たに452人の新規感染者が出ている。東京では今日も280人を超える新規感染者が報告されるという話が、午前中の時点で既に出ている(「東京の感染者は280人台」一日としては過去最多 )。この水準は政府が緊急事態宣言を発した4/7頃と同程度であり、その状況がもう既に約1週間も続いている。

新型コロナウイルス感染症まとめ - Yahoo! JAPAN


 緊急事態宣言を出した4/7頃は医療崩壊の懸念が高まっていたが、今は医療施設の収容人数等にまだ余裕があるので状況が異なる、などの説明がなされていたが、

「緊急事態宣言を出した4月上旬の状況とはかなり違う」西村経済再生相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン

比較的、若い人が陽性になっており、重症になる人が少なく、医療の提供体制もひっ迫していない。緊急事態宣言を出した4月上旬の状況とはかなり違う

「検査充実、病床余裕」緊急事態“再宣言”に否定的

今は2割弱しかベッドを使っていない」と述べ、病床に余裕があり、緊急事態宣言を発令した4月とは状況が違うと強調
しかし、それからおよそ1週間が経っても感染者数は落ち着くどころか増えていて、昨日はこんな話も伝えられた。

東京の感染者143人 受け入れホテルほぼ埋まる


もう何度か書いているが、潜伏期間の関係上現時点で発露する感染者数は2週間程度前の結果であり、2週間前から今まで具体的な対応の変化がないのだから、感染者数が減らない、若しくは増えることは予想できていた。つまり今後も、何かしない限りは状況は変わらない、しかし昨日、菅官房長官は

菅氏、市中感染拡大を否定 中高年での増加は警戒:北海道新聞 どうしん電子版

市中感染が大幅に広がっている状況にはない
と会見で述べている。果たしてこの認識は妥当と言えるだろうか。どう考えても無理筋、4/7頃の状況で緊急事態宣言を出したこととの整合性がない


 しかも政府には、7/22から始めるという旅行促進政策のGoToトラベルを止める気は、この状況でもない。 しかも、テレビ朝日・報道ステーションは、次のように報じている。

小池知事「よーくお考えに…」“GoTo”見直し論拡大

自民党幹部:「問題が起きたら躊躇(ちゅうちょ)なく変更すればいい。朝令暮改でもいいんだよ。感染拡大しても政権へのダメージはないよ。誰も経験したことのない事態だから」
感染拡大しても政権へのダメージはないだろうから、やってみて問題が起きたらやめればいい、と自民党幹部なる人物が言っている、というのである。この記事には自民・石破氏の「うまくいったら、こんなに良い事はない。だけど、そこで感染が拡大することがあったとすれば、『何のためにやったんだ?』みたいな話になるので」という見解にも触れているが、石破氏の見解は実名で報じているのに、乱暴なことを言っている議員の方だけ何故か匿名だ。こんな、政府政策で国民に感染が広がっても構わない、という乱暴なことを言う議員の名を伏せる必要がどこにあるのか。報道ステーションやテレビ朝日は報道機関としての意識が低い。
 また、自民幹部という体裁でこんなことを言う、ということは、この考えが自民党上層部の総意、総裁は首相なので、自民だけでなく政府も同種の考えと受け止めても構わないということか。


  Googleで「テロ 定義」で検索すると、最初にこんな文章が表示される。

テロリズムとは、 ある定義では、 もっぱら市民を標的とする暴力行為を意味している。 別の定義では、 政治的、 宗教的、 イデオロギー 的な目標を達成するため、 恐怖を作り出すことを目的として暴力を行うこと又は暴力の威嚇を 行うことを意味している。
政府が感染を広げかねない政策を強引に始めようとしている、というのは「もっぱら市民を標的とした暴力行為」に当たるのではないか。そしてその目的が政治的目標の達成であることも明白だ。つまり前述の定義によれば、「安倍自民党政権によるGoToキャンペーンは最早テロ行為」とすら言える。
 「感染が広がってもそれは不可抗力であり、意図したものではないので定義に当てはまらない」と言う人もいるだろう。だが例えば、政治的/宗教的な意図を持って群衆にクルマで突っ込むという体裁の無差別殺人を犯したことが強く推察される犯人が、「運転操作を誤っただけで事故を起こす意図はなかった」と言ったらどうだろうか。また、いじめ加害者の大半も「いじめの意図はなかった」と言うし、セクハラ/パワハラ行為に及ぶ者だって同じ様に「そんな意図はなかった」と、不作為だと主張する。
 罪になる事の発生を積極的に意図したり望んだりしなくても、その行為から罪になり得る事が起こるかも知れないと思いながら、そうなっても仕方がないと敢えてその危険をおかして行為に及ぶ心理状態のことを「未必の故意」という。例えば、性病等を相手に移す恐れを認識した上で、相手にそれを告げずに性交渉に及べば、未必の故意による傷害罪に問われる場合もある。


 この投稿で触れた要素に鑑みれば、政府のGoToキャンペーン強行で感染が広がれば、それは決して不可抗力とは言えないだろう。つまり、感染を広げかねないことが強く推察される政策を強行することはやはり、国民を標的としたテロ行為と言えるのではないか。
 テロリズムの定義 - Wikipedia には、
テロリズムの定義に関する普遍的な合意はない
とあり、そう言える妥当な説明もあるので、一概にテロとは言えない、とも言えるかもしれない。しかしそれでも、

 感染症を広げかねないGoToキャンペーンは、政府による国民を標的とした暴力行為

とは言えるだろう。


 トップ画像は、日本地図|立体 - 日本地図 - 無料イラスト を加工して使用した。

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