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なぜよく考えもせずツイ―ト/リプライするのか

 ネット上でだけ威勢のいい人のことを、家の中でばかり強がって外では意気地のない人を内弁慶と呼ぶのに倣って「ネット弁慶」と呼ぶ。因みに英語では Webtrovert とか Internet Tough Guy などと言うそうで、その種の人は決して日本人特有の存在ではない。しかし、日本人のツイッター匿名利用率は諸外国のおよそ倍程度だそうで、日本人特有でないにせよ、日本人のネット弁慶率は比較的高そうだ。


 ネット弁慶というのは総じて暴言を吐きやすく、暴言は概して所謂クソリプである。クソリプとは「クソみたいなリプライ(反応/返信)」を意味する。暴言に限らず、平静を装っているものの明らかに上から目線な反応であったり、元のツイートや主張とはほとんど、若しくは全く無関係なことを急に言いだす類の、難癖又は意味不明な反応の場合もある。しかしクソリプの定義は明確ではなく、自分が気に食わないリプライを総じてクソリプと呼んでいる人もおり、自分は定義の曖昧なこのクソリプという表現を、特に文字制限の関係で詳細な説明の難しいツイッターでは、積極的には使わない。

 この投稿の冒頭で、あまり積極的に使わないクソリプという表現について触れた理由は、恐らく殆どの人がクソリプに当たると感じるであろうリプライに遭遇したからだ。そんなことは決してこれから書く件に限った話でなく、頻繁にあることではあるが、クソリプを指摘したところに別のアカウントから更なるクソリプが飛んでくる、という二重にアホくさいケースがあったので、それを紹介したい。そんなのも、何万もフォロワーを抱えている人にとっては日常茶飯事なのだろうが。

 話の大元は週刊誌・女性セブンのこの記事だ。

安倍昭恵さん何も知らなかった 首相の深刻な病状に絶句|NEWSポストセブン

安倍氏が辞意を表明した理由は、持病の潰瘍性大腸炎が「正しい政治的な判断が出来なくなる」程に悪化したことで、6月には既に再発の兆候があったそうだ(安倍首相持病の潰瘍性大腸炎 重症なら大腸摘出も - 社会 : 日刊スポーツ)。女性セブンの記事によれば、妻の昭恵さんは、それからおよそ2ヶ月もの間、辞意表明会見当日まで、安倍の病状について「何も知らなかった」らしい。つまり夫の病状が「正しい政治的な判断が困難」な程に悪化しているのに全く気付かなかったというのだ。
 これについては多くの人が「ということは、安倍と昭恵さんは一緒に暮らしていないか、もしくは安倍が仮病を使ったということだろう」と感じたようだし、政治問題や社会問題に積極的に発言するラッパー・ダースレイダーさんも

とツイートしていた。
 このダースレイダーさんのツイートには複数のリプライがあり、その一つに

というリプライがあった。「キモい」という言葉を暴言と捉えれば、このツイートだけでもクソリプと言えるかもしれない。ただそれを大目に見て、他人の夫婦関係をとやかく言うな、という主張と考えれば、単にダースレイダーさんなどと異なる主張と考えられなくもない。
 しかしこのリプライは明らかなクソリプだ。それは何故か。こう主張している本人が、以前に安倍夫妻についてこのようにツイートしているからである。

自分も他人の夫婦、というかダースレイダーさん同様に安倍夫妻についてとやかく言っているのに、ダースレイダーさんに対して「キモい、ヤバイ」とするのは紛れもないクソリプとしか言いようがない

 このことを指摘するツイートを、ダースレイダーさんのツイートへのリプライとして投稿したところ、こんなリプライがあった。

いろいろと支離滅裂である。「それじゃあ誰も咎められなくなる」? その後に「赤の他人に自分たちの仲を邪推されるのって気分良くないでしょ。自分がその立場になって考えてみたら?」と言っていることは、ダースレイダーさんにも、リプライした北乃アル中というアカウントにも言えることで、一体何を言いたいのかがまず分からない。そして、誰も咎められなくなる、と、当該ツイートで安倍夫妻を咎めていない私になぜリプライしてきたのか、の意図もよく分からない。どう考えても不具合が生じてしまう。つまりこのツイートも紛れもないクソリプである。

 前述のように、自分の気に入らないツイートを総じてクソリプと呼んでしまう人もいるが、クソリプとは簡単に矛盾や妥当性の低さを指摘できるような幼稚なツイートであることが最低条件だろう。クソリプとは決して「自分の気に入らないツイート」を指す表現ではない。つまり自分の気に入らないツイートというだけで、その不備の根拠も示さず、ただ単にクソリプ認定するようなアカウントのツイ―トもまたクソリプ、若しくはクソツイ(クソツイ―ト)である。
 なぜその種の人達は、もう少しだけでも頭を使ってツイ―ト/リプライしないのか理解に苦しむ。恐らくテレビの前で管を巻いているような感覚でツイ―トしているのだろう。ツイートは全世界に向けて公開されているという認識がないのだろう。匿名だからそれでも恥ずかしくないのかもしれないが、昨今、ツイッター/Web上での匿名の中傷、不法な行為であっても簡単に身元が特定されるし、そのような行為に相応の代償を払うことになるケースは山ほどある。

 ネット弁慶の暴言等はネット上だけで行われる行為であり、ネット上だけの性質だが、その責任は決して匿名アカウント/ネット上だけにとどまらず、実社会でも追求されることになる。クソリプとは、というかクソかどうかにかかわらずSNSで主張する行為は、自宅のテレビの前でテレビを相手に好き勝手に管を巻いたり、チラシの裏に個人的な思いを書き募るのとは全く異なる行為である。

 トップ画像は、Alex NicolaeによるPixabayからの画像ElisaRivaによるPixabayからの画像 を組み合わせて加工した。

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