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薄くなったチョコレートは厳しくなった生活・経済状況の証拠

 夏休みに祖父母の家に行く度に「大きくなったねぇ!」と言われていた。祖父母のところに行くのは年1回以下だったので、会う時は基本的に1年以上ぶりだった。子どもの成長は早いから1年会っていないと前回に会った時の印象に比べて変化が大きかったんだろう。当時はまだインターネットもなく、写真を送る習慣もなかったのでそう感じられるのは当然だった。


 大人に比べて子どもは変化が大きいと言っても、自分の子どもに「大きくなったねぇ!」と言う親はあまりいない。例えば衣替えで半年ぶりの服を着せ、小さくなっていた時だとか、1年以上前の写真をあらためて見た時などにはそう言うかもしれないが、それは比べる指標があるから変化を感じるわけで、祖父母が一目見ただけで「大きくなったねぇ!」と言うのとは少し話が違う。

 自分は菓子自体買うことが殆どない。買うとしても煎餅やポテトチップスなどしょっぱい系を選ぶ。プリッツは買うことがあってもポッキーはまず買わない。甘いものが食べたいと思ってもチョコレートよりもあんこ、チョココロネよりはあんパンを選ぶ性質なので、板チョコなんて買った記憶がない。
 だが昨日はお客さんが「おやつにどうぞ」と、コーヒー牛乳と板チョコをくれた。自分で買うことはないが別にチョコが嫌いなわけではないので、もらえば食べる。お菓子以外でも頂きものでもなければ滅多に口にしない食べ物というのは、誰にでもあるのではないだろうか。自分にとっては果物などもそれで実家でしか食べない。

 板チョコを食べようと箱を開け、溝に沿って一列分割ろうとして拍子抜けした。前回板チョコを割ったのはいつのことかも覚えていないくらい前だ。少なくとも10年以上前であることは堅い。以前より確実に簡単に割れるようになっていたからだ。簡単に割れるということは温度により柔らかくなっていたか、板チョコが薄くなったかだろう。自分の筋力が10年前よりも強くなったということは、年齢や日頃の生活習慣からも考え難い。貰った板チョコの箱はひんやりとしていたから、恐らく直前まで溶けないように冷蔵庫に入っていたはずだ。となると薄くなったとしか考えられない。
 あらためて見るとやはり薄くなったように見えた。久しぶりに孫に会う祖母がその変化にすぐ気付くように、10年以上ぶりに板チョコを手に取った自分にとってその変化は明らかだった。但し単なる記憶違いということも絶対にないとまでは言えない。そう思って家に帰ってから「板チョコ 薄くなった」で検索してみた。因みに「板チョコ う」とタイプした時点で薄くなった・薄いが候補の最上位に出てきた。同じことを感じる人がそれ程多いということだろう。

 検索して「ガーナ ミルクチョコレート - いつの間にか容量が減っている商品wiki」というページにたどり着いた。自分が貰ったのはトップ画像のガーナ ローストミルクという兄弟商品だったが、このサイトによると、2006年に75gだったのが今は50gになっているそうだ。しかも価格は10円値上げされている。

 75gが50gになって価格が100円から110円へ10円上がっているということは、以前は7.5g/10円だった商品が今は4.55g/10円になっているということだ。現在75gは165円であり、つまり65%も値上げされている。
 この「いつの間にか容量が減っている商品wiki」というサイトはそのサイト名通り、内容量が減り実質的に値上げされている食品や日用品をまとめたサイトだ。ガーナチョコレートだけなら、以前の価格が不当に安かっただけで現在の価格が適正価格である、とも考えられそうだが、こんなにも多岐にわたる商品で同じ傾向が見られるということは、そうとは言い難い。

 このように、商品の価格は変わらないままその内容量が減少していくことを、シュリンクフレーションと呼ぶそうだ(シュリンクフレーション - Wikipedia)。人権費や製造コスト等の高騰がその主な理由にあげられるが、少なくともこの5年間、日本企業の好決算や株高が伝えられ、内部留保も過去最高だとアピールされている。その背景にはこのような実質的な値上げがあることに鑑みれば、このような一見値上げと分かり難い値上げ手法に「騙された」と消費者が感じるのも頷ける。

 自民党政権はアベノミクスだなんだと、大企業の業績好調や株高を理由に好景気をアピールしてきた。だがこの10年日本人の平均年収はほぼ横ばい、どちらかと言えば寧ろ下がっている(【2020年最新版】日本人の平均年収は436万円!10年分の年収推移や割合、男女内訳など徹底調査)。つまり、食品や日用品の価格は上がっているのに、給与は増えておらず、生活は寧ろ厳しくなっているのは明らかだ。安倍自民党政権を支持する理由として以前最も多かったのは経済政策だが、8年も企業にしかうま味のない経済政策を続けてきたその方針を、現在の菅自民党政権は踏襲すると言っているのに、なぜか未だに50%超の有権者が支持すると言っているのはとても奇妙だ。

菅内閣支持率57% 7ポイント下落 学術会議任命拒否「問題」37% 毎日新聞世論調査 - 毎日新聞

  更に、見出しにもあるように、日本学術会議会員の任命拒否問題について、問題があると言う人も37%しかいないそうだが、国会でのスガの答弁見ても、スガを支持する、任命拒否は問題ない、と言えるだろうか。もしそう言えるのだとしたら、論理的思考ができないと言われても仕方がない。現実を直視できない人が沢山いるということか、若しくはただ何となく、情緒的にしか考えていない人が日本の有権者の半分以上を占めているということだろう。

  この国の将来は真っ暗だ、と言わざるを得ない状況である。


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