スキップしてメイン コンテンツに移動
 

80年前の失敗を忘れることこそが ”平和ボケ”

 元航空幕僚長の田母神なんとかという、少しヤバイおっさんがいる。航空幕僚長とは、航空自衛隊のトップであり、わかりやすく言えば、航空自衛隊は実質的に日本空軍であるから、そのヤバイおっさんが日本における空軍のトップだったということだ。

 戦前は空軍がなかったが、戦前で言えば海軍トップの山本 五十六とか陸軍トップの東條 英機とか、そんな地位にヤバイおっさんがいたのだ。

そのヤバイおっさんがこんなツイートをしていた。

 所謂抑止論というやつだ。このツイートを読んでまずこう思った。銃犯罪に対抗する為にと、市民に銃所持を認めている国があるけど、その国で銃犯罪は起きていないの?他の国に比べて少ない? と。アメリカの銃にまつわる事件・被害がどれ程深刻か、そんなことは説明するまでもない。

 日本は戦争をしない国だと言えば、敵はそれなら攻撃してみるかという気になる?一体何を根拠にそんなことを言っているのかも全然分からないが、ならば、軍事力を強化した国は、どんなものか使ってみるかという気になる、だって全然ありえない話じゃない。様々な国が訓練と称して武力を使った威嚇をやっている。
 アメリカはイラクが大量破壊兵器を持っていると嘘をついて攻撃したので、ヤバイおっさんが言う軍事力を強化したら攻め込まれない、なんてのは妄想でしかない。もしヤバイおっさんの話が事実なら、アメリカは大量破壊兵器があると思っていたイラクへ戦争をしかけなかっただろう。イラクがアメリカ以上に軍事力を強化していれば攻め込まれなかった? もしそうだとしたら、世界でも最も軍事力を持つ以外に国を守る方法はない、ということになる。もしそうだとしたら、世界は全て、米露中のどこかの植民地になっているだろうが、決してそんなことはない。

 このヤバイおっさんのツイートに対しては、「80年前に、自国よりも大きな国力/軍事力の規模があった米国に対して戦争をふっかけた、日本て国があるんだけど知らないの?」という趣旨の反論が複数示されていた。強くていつでも戦う態勢の国に攻撃を仕掛けた日本という国があったのだ。ヤバイおっさんの話で言えば、プロレスラーに飛びかかったバカな国が。


 敵基地攻撃能力と称して先制攻撃を正当化しようとしている人たちや、核保有/核共有を検討せよ!と言っている人たちの多くの思考は「攻め込まれたらどうする!攻め込まれる前にこちらから攻め込まないと!それが最大の自衛だ!」だ。このような発想の人たちは、反戦や非戦を訴える人のことを "平和ボケ"してるwww と揶揄することが多い。だが実際は、平和ボケしているのは彼らの方だ。
 何故なら、日本は80年前に「攻め込まれたらどうする!攻め込まれる前にこちらから攻め込まないと!それが最大の自衛だ!」を実践して、米英仏などを相手に先制攻撃を仕掛け、その結果どんな結末を迎えたのかと言えば、それまで領有していた植民地を全て失い、本土の都市部の多くが焼け野原となり、更には広島と長崎に原爆を投下される、という結末だったからだ。

 「武器を持つと、自分が武器を持ったことで、相手も持っているんじゃないか?相手はもっと強い武器をもっているんじゃないか?という疑心暗鬼がどんどん拡大していく。そして武器を持てば使いたくなる奴がかならず出てくる」 と言っていたのは、学校の先生だったか、祖父だったか。何にせよ戦争経験者か戦後すぐ世代の誰かがそんなことを言っていた。
 80年前の失敗を忘れて、また80年前と同じ様に「攻め込まれたらどうする!攻め込まれる前にこちらから攻め込まないと!それが最大の自衛だ!」なんて言うなら、それこそが平和ボケ以外のなにものでもない。


このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。