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政治不信を指摘しているメディアにも、不信感を感じてしまういくつかの理由


 1/29の政府の発表を受けて、NHKが「景気回復「戦後最長」の可能性高まる」と報じた事への違和感を、1/30の投稿「実態を伴わない景気回復を「戦後最長」と誇る政府とNHK」」で書いた。正確には違和感というよりも寧ろ不信感と言った方が正しいかもしれない。ただ、この投稿ではNHKの当該報道だけでなく、テニス・大坂 なおみ選手の英語コメントに関して、時事通信や朝日新聞、Yahooなどが明らかに正反対の内容の和訳を伝えた事にも触れ、
 政府だけでなくメディアまで恣意的な解釈・言い換え、場合によっては捏造のようなことを始めれば、間違いなく社会は混乱に陥る
という個人的な受け止めを示した。
 しばしばSNSなどで、マスゴミ・偏向報道などという、メディア全体を乱暴に一括りにした短絡的な揶揄、場合によっては事実と異なるレッテル貼り、扇動のような中傷を目にする。場合によっては国会議員がそんな言葉を使っている事もあるし、明確にそのワードを使ってはいなくても、似たようなニュアンスのコメントを閣僚がしている事もある。しかし前述のような事があれば、その手の人達にメディア自らわざわざ燃料投下をしているも同然だし、メディア全体に不信を感じる人が増えるのも仕方がないことかもしれない。
 付け加えおくと、政府寄りのスタンスを示すその手の人達は、NHKの報道に関しては違和感を示さない。 なぜならNHKの報道内容が政府にとって都合がいいからだ。これには大きな矛盾を感じるが、別の視点で考えれば、政府発表・メディア報道の信憑性が下がれば、信じたい事だけを信じる人達が増える、つまり社会が混乱するということの証でもある。



というツイートが自分のタイムラインに流れてきた。確かにその通りだと納得させられるし、自分も以前から似たような事をしばしば感じてきた。共同通信の当該記事「年金運用、14.8兆円の赤字過去最大、世界的株安や円高で」は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の「昨年10~12月期の運用実績が14兆8039億円の赤字だった」という発表を受けて、その主な要因は世界的株安と円高だとしている。要因を示したのはGPIF側なのか共同通信記者なのかは定かでないが、どちらにせよこれでは、「景気は回復している」と発表した政府と「景気回復「戦後最長」」と伝えたNHKの関係性と大差ない。

 1/28の投稿「コンビニセルフコーヒー悪用事件から考えるバランス感覚の欠如」では、50円分のコーヒー搾取で逮捕され実名報道される人がいる一方で、企業経営者が労働基準法に反して労働者の残業代を数百万単位で支払わなくても、逮捕も実名報道もされない矛盾、厚労省が不正な統計を行って数百億円単位で雇用保険の支払いをちょろまかしても、誰も逮捕もされなければ罪にも問われない矛盾、充分な根拠も示さぬまま「僧衣での運転は違反」として反則切符を切った警察官が、処分もされなければ実名報道もされない矛盾について書いたが、似たような事を感じる報道が今週は他にも2件ほどあった。
 テレビ朝日は1/31「風俗店で女性巡査がアルバイト 「生活費の足しに」」という件を報道した。
 下関警察署の女性巡査は去年(2018年)9月から11月にかけ、福岡県の風俗店でアルバイトをして約8万円の報酬を得ていました。去年11月に警察に情報が寄せられて女性巡査を調べたところ、「生活費の足しにしたかった」と事実を認めた
という内容だ。記事でも触れられているように公務員の副業禁止規定に抵触することでの処分なのだろう。しかしこの件が報じられた主な理由は「現役警察官が風俗店で働いた」からだろう。副業禁止規定違反で警察官が処分を受けた事を報じるのは何もおかしい事ではない。しかし、この件以外でも副業禁止規定に公務員が違反した件は相応にある筈なのに殆ど報じられることはない。「現役警察官が風俗店で働いた」という事実が、多くの人にとってセンセーショナルに感じられることは理解するが、なぜセンセーショナルに見えるのかと言えば、その背景には性風俗産業・従事者への無意識的な差別意識・偏見があるからではないのか。自分が感じるは、
 風俗店で働いたという副業禁止規定違反は報じるのに、他の副業禁止規定違反は報じないようであれば、メディアも間接的に職業差別をしている恐れがある
という事だ。 また、報じたメディアは違えど、50円分のコーヒー搾取で逮捕され実名報道される人がいる一方で、副業禁止規定に反した警察官は逮捕もされなければ実名報道もされないことにも矛盾を感じざるを得ない。実名公表の基準が定まらない警察や、報道するかどうかの基準が適切とは言えない当該メディアは、バランス感覚が欠如しているのではないかと強く懸念する。

 昨日は俳優の新井 浩文さんが性的暴行を働いたというニュースでどのメディアも持ち切りだったが、逮捕はおろか、新井さんが罪状を認めているか否かが明らかになる前から、主にテレビが「映画やCMへの影響が懸念される」などと、まるで既に有罪確定かのように報じていたのを見て、
というツイートに強い共感を感じた。カルロス ゴーン氏の件や、他の件でも似たような事を感じることが多々ある。
 これも1/25の投稿「Tポイントカード・個人情報提供問題の深刻さ」で既に書いたことだが、警察・検察は絶対に間違わないという保証は誰にも出来ないし、現に冤罪事件はしばしば起きる。昨日メディアが「映画やCMへの影響が懸念される」などと報じていたのは、「容疑が事実であれば」という仮定の下での報道だったのだろうが、前述のツイートにもあるように無罪推定の原則に確実に反している。もし万が一新井さんが罪状を否認し、結果的に事実と反した容疑での逮捕だったとしたら、それらの報道は確実に一人の人生を踏みにじる行為になってしまっただろうが、メディアは一体どうやって責任を取るつもりだったのだろう。
 今回は新井さんも大筋で罪状を認めているようだから、そんなことにはならないだろうが、今後そんな最悪の事態をメディアが起こす恐れが充分にあると改めて感じさせられた。今年は2019年なのに、まだまだ昭和・戦前のような風潮が、メディアだけでなく社会全体にあるように思えてならない。

 最後にBuzzFeed Japanが掲載した記事「インターネットでのハラスメント 被害に遭う率が高くなる理由とは」についても一言言いたい。当該記事はネット上で不合理なコメント等、中傷や偏見による差別的な感情をぶつけられる事に関する記事だ。記事ではそれを「インターネットでのハラスメント」とし、記事の最後には「ネットハラスメントから身を守ろう!」とある。
 自分は、BuzzFeed Japanのコメント欄でも、このネットハラスメントを受けたことがある。ごく最近の例を挙げれば、「自民党公認の候補予定者「民主党系は帰化人ばかり」とツイート、謝罪」と言う記事のコメント欄で、明確な根拠も示されずに「差別主義者」「嘘つき」扱いされた。


これを、コメントシステムを提供しているFacebookに「いやがらせ」として通報したが、返ってきたのは
 ご報告いただいたコメントを確認したところ、コミュニティ規定に違反するものではありませんでした。Facebookは、ご報告いただいたすべてのコンテンツをこれらの規定と照合いたします。
コメントによる嫌がらせやいじめについてご報告いただいたため、Facebookで嫌がらせといじめがどのように定義されるかについてご説明します。
許容されないもの:
  •  誰かの外見や人格をけなすようなコメントや写真
  •  脅迫
嫌がらせといじめについてのFacebook規定の詳細については、こちらをご覧ください。
ご報告いただいたコメントを確認したところ、特定のコミュニティ規定に違反するものではありませんでしたが、ご連絡いただいたことは適切なご対応でした。他にも気になるコンテンツがありましたら、Facebookまでお知らせください。
という機械的な返信だけだ。明確な根拠も示さずに見ず知らずの者を「差別主義者」「嘘つき」扱いしてもFacebookは「人格をけなすようなコメント」と判定しない。これではFacebookは差別・偏見を容認していると言わざるを得ない。これまでも似たような件で他にも何度も通報し、更にこの返信も含めて何度も異議を示してきたが、Facebookの対応は一向に変わらない。
 こんなことを勘案すると、差別・偏見を黙認する企業が提供するコメントシステムを用いているのに、独自のコメント管理も行わず(しばしばヘイトスピーチが懸念されるコメントをBuzzFeed Japanのコメント欄でも見かけるし、いつまでも削除されることはない)、
 ネットハラスメントから身を守ろう!
なんて記事を掲載されても「ポーズだけ取られても…」と感じてしまう。こんなこともメディア不信を高める要因の一つだろう。管理ができないなら記事にコメント欄など設けない方がよい。

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