「報道写真展2019」を見た安倍首相が「日本が世界の真ん中で輝いた年になったのではないか」と述べた、という話が昨年末に話題になった(この1年を「日本が世界の真ん中で輝いた」と表現する安倍首相の世界観とは - 毎日新聞)。また、1/23の投稿でも触れたように、2020年の通常国会冒頭の施政方針演説でも、「世界の真ん中で輝く日本、希望にあふれ誇りある日本を創り上げる。その大きな夢に向かって、この七年間、全力を尽くしてきました。夢を夢のままで終わらせてはならない。新しい時代の日本を創るため、今日、ここから、皆さん、共に、スタートを切ろうではありませんか」と述べている(令和2年1月20日 第二百一回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ)。
しかし、この1ヶ月も経たない間の2つの話には矛盾がある。2019年末に「今年は日本が世界の真ん中で輝いた」と言っているのに、2020年の年初には「世界の真ん中で輝く日本を創り上げるという夢に向かってスタートを切る」と言っている。昨年と同様今年も再び日本が輝けるように、というならまだ分かるが、2020年初には、日本が輝くのが夢だと言っているので、再び輝けるように、というニュアンスは感じられない。日本は既に世界の真ん中で輝いているのか、それともまだ輝いていないのか、一体どっちなんだ?というのが率直な感想だし、7年間全力を尽くしたのに未だ実現に至らず、再びスタートをきらなければならないって、あなた達の全力ってのはたかが知れてるな、とも感じる。
昨年は、汚染土の処分に関する発言や(9/18の投稿)、国連総会に関連した会見でのSexy発言など(9/24の投稿)、環境大臣になった小泉 進次郎氏が中身のない空虚な話を繰り返している、と散々話題になったが、前述の施政方針演説の文字起こしからも分かるように、安倍氏も小泉氏に負けず劣らず中身の薄い話を繰り返している。
この「日本が世界の真ん中で輝く」というフレーズは安倍氏のお気に入り、皮肉を込めて言えば、馬鹿の一つ覚えの内の一つだ。ざっと調べただけでも同じフレーズが複数見つかる。彼は2014年・年初の挨拶でも、
「日本が世界の真ん中で輝く1年に」安倍総裁が党大会であいさつ | 党内活動 | ニュース | 自由民主党
と言っているし、2016年の年の瀬の、政権発足から4年が経過したことを前提としたぶら下り会見でも、
安倍総理「世界の真ん中で輝く日本を」政権発足4年
安倍総理大臣は「世界の真ん中で輝く日本をつくっていきたい」と意欲を語りました。と述べている。因みに、差別的で偏見に満ちた数々の暴言・放言で知られる百田何某による、2013年に出版された安倍氏との対談集のタイトルも「日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ - Wikipedia」だった。
現在の安倍自民政権が発足したのは2012年12/26であり、現在7年が経過しているが、彼は一体いつになったら「世界の真ん中で輝く日本」を実現出来るのだろうか。昨年末に「今年は日本が世界の真ん中で輝いたのではないか」と述べたが、今年の年初にはそれが「夢」だと言っているので、「昨年は、ではないか、と思ったがそうではなかった」ということなのだろう。というか、今更「スタートを切ろう」だなんて、一体今まで何をしていたのか?とツッコミを入れざるを得ない。野党時代には、民主党政権は何もできないかのようにこき下ろしていたが、彼の政権もどんぐりの背比べだ。
なぜ安倍氏の「世界の真ん中で日本が輝く」が気になったのか、と言えば、それは「全ての議会に女性がいる都道府県は、2つだけ。ジェンダー・ギャップ121位の現実を示す7つの数字 BuzzFeed Japan」という記事を読んだからである。
世界経済フォーラム/WEF が発表した2019年のグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、日本は調査対象153カ国中121位、過去最低の順位を記録した、という話自体は既に報じられているので特に目新しさはない。
ただ、安倍氏は政権発足直後の2013年通常国会冒頭の施政方針演説でも「女性が輝く日本」に触れており(安倍総理・施政方針演説~第183回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説~ | 首相官邸ホームページ)、その後も再三に渡ってこのスローガンを強調してきた(例:女性が輝く社会 「地方創生」「女性活躍」に向け全力 安倍総理所信表明 | 国会 | ニュース | 自由民主党)。安倍氏が女性が輝く日本と言い始めてから7年が経過した昨年末に発表された、世界的な調査における日本の男女格差は過去最悪であり、
安倍氏が「女性が輝く日本」を言いだして7年も経つのに、2019年の日本の男女格差は過去最悪だった。しかし安倍氏はそれを無視して「今年は日本が世界の真ん中で輝いた」と述べた
のである。この記事を読んで、改めてそれが気になった。「印象操作はやめて頂きたい」は安倍氏が加計学園の獣医学部新設に関して便宜を図ったのではないか?と問われた際に述べたセリフである。この印象操作というフレーズも安倍氏のお気に入り、皮肉を込めて言えば、馬鹿の一つ覚えの内の一つだ(「印象操作」首相が連呼 野党「どこで覚えたのか」:朝日新聞デジタル)。
安倍氏は加計学園との関係を問われた際に「これは印象操作であって、まるで私が友人のために便宜を図ったかのごとく議論をしておりますが恣意的な議論だと思います」と言っている。ならば、安倍氏による「今年(2019年)は日本が世界の真ん中で輝いた」という話も、「女性が輝く日本」を掲げているのに2019年の日本の男女格差が過去最悪だったのだから、
「今年(2019年)は日本が世界の真ん中で輝いた」という話は印象操作であって、まるで日本の男女格差が改善したかの如き見解を示しているが、恣意的な見解だと思う
と言われても仕方がないのではないか。因みに、この投稿の中で触れた、現在の安倍自民政権発足直後・2013年の施政方針演説と、今年・2020年の施政方針演説 を是非比較してみて欲しい。大概の人は、7年もの間、一体お前は何をやってきたのか?と言いたくなるはずだし、2013年に掲げた方針の多くは美辞麗句だったと実感できるだろう。率直に言って酷い。
この政権が「他よりも良さそう」と思える人は、何も考えていないか洗脳されているかのどちらかではないだろうか。
トップ画像は、Photo by Greyson Joralemon on Unsplash を加工して使用した。