ツイッター上で他人のツイートに対して反応を示す機能「お気に入り/Favorite」が、「いいね/Like」に置き換えられたのは2015年11月のことだった。「Twitterの星(お気に入り)がハート(いいね)に変更 「星を返せ」「用途が限定的になる」と反対意見目立つ - ねとらぼ」でも指摘が紹介されているように、それまでは肯定でも否定でもないニュートラルなブックマーク的な解釈もできる機能の名称だったが、ほぼ肯定の意思表示をする為の機能に変化した。
そのようなことを踏まえ、機能の名称が「いいね」に変更された後も、「私のいいねは単なるメモであり、必ずしも肯定でない」とするツイッター利用者が相応にいた。自分も以前はそれもアリだと思っていたが(2018年3/2の投稿)、いいねをした側が肯定でないと思っていても、機能の名称が「いいね」である以上、された側やそれを見た第三者が、いいねをした側が肯定的な意思表示をしている、と受け止めても決して不自然ではないし、2019年5/21の投稿で指摘したような悪影響も懸念される為、「私のいいねは単なるメモであり、必ずしも肯定でない」というスタンスでいいねを利用することに対して、現在は否定的な立場だ。
前述の2018年3/2の投稿でも触れたように、今はブックマークという気になるツイートをメモしておく機能が追加されているのだから、単なるメモならそちらを活用すべきだ。
ではリツイートはどうか。リツイートのニュアンスは「他者のツイートに同意して、同じことをツイートする」でもあるが、「○○さんがこう言っている、と自分のフォロワーに伝える」でもある。 前者と捉えれば、いいねと同様肯定のニュアンスに感じられるし、後者と捉えれば、お気に入りと同様肯定でも否定でもないニュートラルな意味合いということになる。つまり、リツイートは必ずしも肯定と断定するわけにはいかない、というのが個人的な見解だし、それを明らかに合理性に欠ける認識とは言えないだろう。
しかし現状を鑑みるに、前者のニュアンスで受け取る人の方が多数派のようなので、そして現在は「コメントをつけてリツイート」という機能もあり、肯定的なリツイートではないのであれば、何かしらのコメントをつけて意思表示をする方が賢明である。また、その人のリツイートの運用実績を見れば、その人が肯定的な意味合いでコメントなしでのリツイートをする人なのか、そうではなく肯定的な場合もそうでない場合もあるブックマーク的な意味合いでリツイート機能を使っているのかを判断することは可能だろう。
ハフポストは昨日
日本漫画家協会と出版広報センターは2月4日、漫画家やクリエイターらが不利益を被る海賊版サイト対策のため、迅速かつ適切な著作権法改正を求める共同声明を発表した。という記事を掲載した(「若き才能、そして夢」奪う。日本漫画家協会、海賊版対策で著作権法の改正求める声明を発表 | ハフポスト)。
マンガに限らずコンテンツ産業界隈にとって、タダ乗りする海賊版は決して看過できない存在だ。テレビでも頻繁に番組の違法アップロードに関する啓蒙CMが放送されている(放送番組の違法配信撲滅キャンペーン オフィシャルサイト)。
しかしツイッターを眺めていると、コンテンツ産業界隈の人間が、著作権的にNGである恐れが強い、動画を無断で転載しているであろうまとめアカウントのツイートをいいねしたりリツイートしている場面にしばしば出くわす。見かけることは少ないが漫画家がしているのを見かけたこともあるし、テレビに出演するタレントや業界関係者によるいいねやリツイートは結構頻繁に見かける。彼らは自分の行為が何を意味するのかを理解しているだろうか。自分には理解しているようには思えない。
また、昨日の投稿で触れたBuzzFeed Japanの岩永さんも、大丈夫ですか?と問いたくなるようなリツイートを、あまりにもタイムリーなタイミングでしていた。昨日の投稿では、彼女が
パニックを煽るメディアの報道に腹を立てる気持ちもわかるのですが、その報道をしたメディアに直接伝えるか、具体名をあげて批判してほしい。「メディア」を一緒くたに批判してメディア不信を煽るのも、パニックを助長することになるし、真面目に取材しているメディアの気持ちをくじくことにもなる。— 岩永直子 Naoko Iwanaga (@nonbeepanda) February 1, 2020
とツイートしたことに触れ、「メディア」という大雑把な括りで一緒くたに批判することは、真面目に取材しているメディアの気持ちをくじくことにもなる、という話は一理ある、とした。
しかし昨日彼女は、次のツイートをリツイートしていた。
日本でHPVのまともな報道ってBuzzfeedだけなんだよな。本当に。。 https://t.co/vwsTSHsbEf— wandrome (@wndrm4478) February 4, 2020
前述したように、リツイートは必ずしも、リツイートしたツイートの内容を全面的に肯定しているとは言えない。しかし彼女のアカウントをフォローしている自分がこれまで見てきた限りでは、彼女は概ね肯定の意でしかリツイートしていない。つまり全面的ではないかもしれないが、彼女がこのツイートを肯定的に受け止め、それをフォロワーに示したと考えてほぼ間違いない。
果たしてそれは妥当な行為だっただろうか。もう一度確認しておくが、彼女は数日前に「メディア」という大雑把な括りで一緒くたに批判することは、真面目に取材しているメディアの気持ちをくじくことにもなる、と主張している。そんな人物が、「まともな報道はBuzzfeedだけ」という、具体的な指摘もなく、BuzzFeed以外のメディアは総じてまともでない、と言っているように見えるツイートを、何の注釈もなくリツイートするのはどうだろうか。BuzzFeed以外の真面目に取材しているメディアの気持ちをくじくことになりはしないか。リツイートするなら「BuzzFeed以外にもまともなメディアはありますよ」ぐらいのことを、一言添えた方がよいのではないだろうか。
この彼女のリツイートを目の当たりにして、まさに昨日そのことに触れるブログ投稿を書いたばかりだったので、その旨を彼女に対してリプライしたのだが、 今のところ彼女からの反応はない。
勿論彼女に反応を示す義務などないが、昨日の投稿を書いたことを伝えるリプライに対しては、
真面目に頑張ろうとしている記者のやる気を削ぐことと、批判を拡散したいことの天秤だと思います。どちらを重視したいかで書くことは違ってくるのだろうとみています。— 岩永直子 Naoko Iwanaga (@nonbeepanda) February 4, 2020
という反応を示したのに、前述の指摘に対して反応が何もないのは、都合の悪いので無視しているように見えてしまい、とても残念に感じている。彼女やBuzzFeed Japanが、HPVワクチンや新型肺炎に関する正しい情報の啓蒙に力を入れているのは知っているし、それらの記事はとても誠実だとも思っている。だから余計にこの指摘に対する反応がないのは残念だ。
反応がないのも残念だが、それよりも反応の有無にかかわらず、今後はそんな軽率なSNSの利用を止めてくれたらいいなと願う。でないと、BuzzFeed Japanという媒体全体が傲り高ぶって他のメディアを大雑把に括り上げて見下しているようにも見えてしまうから。
トップ画像は、Photo by Kyle Head on Unsplash を加工して使用した。