「スポーツ選手は黙ってろ」と言われたテニス選手・大坂 なおみさんの見事な返答に、6/5の投稿の最後で触れた。今度はどこかのバカが「There is no racism in Japan. Do not make a disturbance / 日本には人種差別はない。騒ぎを起こすな」と彼女へリプライした。彼女は「NANIIIIII?! / 何ぃぃぃ!?」と、過去にお笑い芸人・Aマッソが「大坂なおみに必要なものは?」「漂白剤。あの人日焼けしすぎやろ!」というネタを披露したこと(2019年9/25の投稿)を取り上げたネタの記事を示した。
NANIIIIII?! https://t.co/0sbRGiCF40 pic.twitter.com/mk6BPx0Tyz— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) June 6, 2020
差別的なネタを披露した芸人はAマッソだけじゃない。昨年は金属バットというコンビの人種差別的なネタも批判された(2019年10/2の投稿)。また5/31の投稿でも取り上げたように、クルド人男性が警視庁の警察官に不当に拘束され、暴力を受けるという行為が直前に発生したばかりだし、日本の入管の暴力行為や差別的対応への指摘は後を絶たない。
「膝で押さえつけ」「女子部屋に乱入、下着姿を撮影」入管職員の女性への暴行、セクハラ―森法相の責任重大(志葉玲) - 個人 - Yahoo!ニュース
ハフポストが昨日、「黒人青年が母から言われた「16のやってはいけないこと」が、黒人にとって警察がどれほど脅威かを教えてくれる | ハフポスト」という、ある黒人男性が母親に言われた、警察から身を守る為に黒人が従うべき16個の暗黙のルールについての記事を掲載していたのだが、その中の
- 手をポケットに入れてはいけない
- パーカーのフードをかぶってはいけない
- シャツを着ないまま、外に出てはいけない
- 遅い時間まで外で出歩かない
- 身分証明書なしに外に出てはいけない
- 大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない
Kurdish Case Becomes Rallying Cry for Japan Protest Against Police - The New York Times
「日本には人種差別はない。騒ぎを起こすな」なんて話は、こんな数々の差別的な事案を無視しているのも同然だ。そしてそれ以前に、数日前に日本の副首相が国会で、日本の新型コロナウイルスによる死者の数が他の先進国と比べて少ないことに関して、このような愚かな話を披露した。
麻生大臣「国民の民度のレベル違う」 新型コロナ“死者数少ない背景”|TBS NEWS
『おたくとは、うちの国とは“国民の民度のレベルが違うんだ”』といつも言ってやると、皆絶句して黙るストレートど真ん中の民族差別的な発言を、副首相が国会でする国が日本なのに、「人種差別はない」なんて、都合の悪い実状から目を背けて「ないことにしたいだけ」と言うより他ない。
大坂 なおみさんへの「スポーツ選手は黙ってろ」のような言説は、日本でも頻繁に見られる。特に若い女性が政府への異論を呈した際に。政府へ異論を呈する有名人、特に若い女性に対してそのような愚かな話がぶつけられる一方で、政府に対する異論でなければ、政治的な発言をしても、同じ様に「黙ってろ」とは言われない、ということについては、5/30の投稿でも書いた。この種の話が如何におかしいか、を昨夜考えていたら止まらなくなった。
現在、元スポーツ選手の議員には、
- 橋下 聖子
- 馳 浩
- 石井 浩郎
- 朝日 健太郎
元芸能人/タレントの議員も同様に、
- 三原 じゅん子
- 丸川 珠代
- 今井 絵里子
- 山東 昭子
- 須藤 元気
また、「○○は○○だけやってろ、政治に口を出すな」という言説が如何におかしいかはタレントに限らず、 例えば元会社経営者の議員なら「会社経営者は経営だけやってろ、政治に口を出すな」だろうし、元医者なら「医者は医療だけやってろ、政治に口を出すな」で、元学者は「学者は学問だけやってろ、政治に口を出すな」となるだろう。つまり「○○は○○だけやってろ、政治に口を出すな」という言説が妥当であれば、学校を出てすぐ政治の世界に入らないと政治に口を出してはいけない、ということになるだろう。有権者が選挙で支持する候補者へ票を投じるのも、政治に口を出すことの1つだし、選ばれた議員は全権委任された存在でもない。
つまり「○○は政治に口を出すな」は民主主義の否定以外の何ものでもない。
「○○は○○だけやってろ、政治に口を出すな」という言説は、間違いなくどんな場面においても不適切な言説だ。だが、そのようなことを言いだす人達が恣意的にその言説を利用しているという側面を皮肉って、政治家としての資質が著しく疑われる議員らに対して「政治に口を出すな」という言葉を投げかける、という利用価値はありそうだ。例えば、「批判なき選挙、批判なき政治を目指して、子どもたちに堂々と胸を張る」と、独裁国家を目指すかのようなことを言った元アイドル議員に対して。
今日から都議会議員選挙が始まります!「批判なき選挙、批判なき政治」を目指して、子どもたちに堂々と胸を張って見せられるような選挙応援をします^^ #都議会議員選挙 #本日スタートです #投票日は7月2日 #今日は国分寺市 #たかす… https://t.co/NGeLkG8yRo pic.twitter.com/copBOXtzQc— 今井絵理子 (@Eriko_imai) June 23, 2017
この元アイドル議員・今井 絵里子氏の2017年の発言もかなりの酷さだったが、同じく自民党の元タレント議員が、「新型コロナ感染症対策予備費の10兆円を政争の具に使わないで」と、予算審議を政争の具にするな、つまり「政治に政治を持ち込むな」というツイートを6/4にしている。
新型コロナ感染症対策予備費の10兆円を政争の具に使わないで。— 三原じゅん子 (@miharajunco) June 4, 2020
一日も早く国民の皆様に使えるようにするのが私たちの仕事。
この時期に今はやめましょう!
馬鹿も休み休みにして欲しい。しかも、「一日も早く(予備費を)国民の皆様に使えるようにするのが私たちの仕事」とも言っているが、不潔なマスクも満足に配れず、持続化給付や国民1人当たり10万の給付も満足に行えないような政権に、そしてお友達の企業に中抜きさせるような政権が、果たしてその10兆円を国民の為に使うだろうか?
「○○は政治に口出すな」なんて話は総じておかしいものだが、強いて言うなら、このようなおかしなこと言う、名前だけで当選している元タレント議員や、パソコンを使ったこともないのにサイバーセキュリティ担当大臣になったり、北方4島も満足に言えないのに沖縄北方担当大臣になった議員、また差別的な言説を頻繁に行う者など、資質を著しく欠いた政治家に対して向けるべきではないだろうか?
トップ画像は、Photo by Jackson Simmer on Unsplash を加工して使用した。