ソーシャルニュースサイト・Reddit、ライブストリーミング配信サービス・Twitch が、相次いでトランプ大統領に関連した悪意・ヘイトへの対応を行った。レディットはトランプ大統領に関連する幾つかのコミュニティを、悪意のある表現を理由に禁止し、ツイッチはトランプ大統領本人のアカウントを、メキシコへの偏見を振りまいたという理由で一時停止した。5月にはTwitterが、トランプ大統領が誤解を招くツイートをしたとして、6/24には攻撃的なツイートをしたとして、その旨の注意を促すラベルを当該ツイートに付けた。
WEB上のコミュニティ/コミュニケーションプラットフォームが相次いでこのような方向に舵を切った背景には、確実に #BlackLivesMatter ムーブメントがある。因みにYoutubeも、白人至上主義者によって運営される複数のチャンネルを、ヘイトスピーチに関するポリシーに違反するとして強制的に閉鎖したそうだ。
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利用者等外部からだけでなく内部でも批判が起き、ザッカーバーグ氏はすぐに方向転換を図ったが、抗議した従業員を解雇したことが明らかになり、 現在フェイスブックやその傘下にあるインスタグラムから企業が広告を引き上げるという事態に至っている。
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自分は1年以上前にフェイスブックの利用を止めた。明らかに差別的・偏見を含む攻撃的な投稿を運営に通報してもまともな対応があることが稀で、十中八九「規約違反はない」という返答しかない中で、珍しく「規約に違反している」という返答があったものの、当該投稿はそのまま野放しだったので、「対応が生ぬるい」という趣旨の指摘を運営に対して再度行ったところ、「やっぱり規約に反してませんでした」という返答がかえってきたことがそのきっかけだった。
フェイスブックがどんな風に規約違反の認定をしているのか定かでないが、規約違反と認めてやったのに文句言いやがって!という対応にしか思えず、そんな杜撰な運営のSNSの利用なんてしたくない、と思ったのがそのきっかけだ。
自分はフェイスブックをハフポスト等の記事のコメント用として主に利用し、情報収集手段としては利用していなかったので、フェイスブックの利用を止めるハードルはそんなに高くなかった。今もフェイスブックのコメント欄システムを使用しているハフポストにも、早急にそれを止めて欲しい。当該コメント欄では今も差別的/偏見に満ちた投稿が野放しにされている。管理できないならコメント欄など設けるべきでない。
#StopHateforProfit を掲げてフェイスブックから広告を引き上げた大企業の中には、コカコーラやリーバイス、プーマなど、日本でもおなじみの企業も含まれている。更に、ホンダUSAの名もある。なぜフェイスブックに対してはこのような動きが起きているのに、フェイスブック同様に差別的・ヘイトが明らかに含まれる投稿を野放しにしているツイッタージャパンに対して、それらの企業の日本法人、そして日本の企業は明確な意思表示をしないのか。特にホンダは、なぜアメリカ支社が明確な意思を示しているのに、日本の本体は沈黙しているのか。
For the month of July, American Honda is withholding its advertising on Facebook and Instagram. We choose to stand with people united against hate and racism. This is in alignment with our company’s values, which are grounded in human respect. #StopHateForProfit— HondaInclusion (@HondaInclusion) June 26, 2020
ツイッタージャパンはこれまでもJCIとメディアリテラシーの確立に向けた提携を発表するなど、頓珍漢なことを度々している。
情報・メディアリテラシーの確立に向け、日本青年会議所とTwitter Japanはパートナーシップ協定を締結しました。全国に広がる日本青年会議所のネットワークと発信力を通じて、Twitterの公共の場での会話の健全性・公開性がさらに向上することを期待しています。https://t.co/joihoXDZTX— Twitter 政治 (@TwitterGovJP) February 10, 2020
JCIといえば、特定の議員や中国など韓国への中傷発言で炎上したアカウント「宇予くん」をメンバーが運営していた団体だ。それ以外にも複数の差別的な主張が指摘されており、そんな団体と「メディアリテラシーを確立」する?一体何を言っているのだろう。
- Twitter Japan、日本青年会議所との提携発表で「失望した」と批判相次ぐ 「政治的な活動を後押しするものではございません」 - ねとらぼ
- 「なぜツイッターは青年会議所(JC)とパートナー協定を結んだの?」社長の本心とは | ツイッター社長に聞いてみよう | 文春オンライン
ツイッタージャパンによる恣意的な運用は行っていないと、前述の文春の記事や、「SNSの「中傷被害撲滅」が一筋縄でいかない理由 | インターネット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準」、そして次のツイートを含む一連のスレッドの中でもアピールしているものの、
そのほか、人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃行為、脅迫行為を助長するような投稿を禁じています。— Twitter Japan (@TwitterJP) June 15, 2020
百田 尚樹、高須 克弥など、明らかに差別的、偏見に満ちた投稿を繰り返してしているアカウントが野放しのままでは全く説得力を欠く。その他にも、野放しな差別的投稿・アカウントは枚挙に暇がない。高須はアウシュビッツを否定するツイートもしており、ドイツでは当該投稿が非表示にされているそうだ。
— Ken Sugar🌏 (@ken_sugar) February 20, 2020
ドイツでの対応はドイツの法律に沿ったものだろうが、それでも、ツイッタージャパンがまともな対応をしていない、優しく言っても出来ていないことに違いはない。
なのに日本の企業がツイッタージャパンから広告を引き上げるボイコット運動をする、という話は一切聞こえてこない。米国でのムーブメントが何でも正しいと言うつもりはない。しかし、日本企業は明らかに社会問題に対しての感度が低い。昨年・2019年と今年の3/8・国際女性デーに関する投稿を読んでもらえれば更に、 日本企業は社会問題に対して感度が低いことが分かる筈だ。
日本企業だけでなく、政府も同様に社会問題に対しての感度は低い。現政権は女性活躍だの多様な働き方だのとスローガンだけは一人前だが、実態伴っておらず(6/28の投稿)単なる美辞麗句に過ぎない。そのような企業を構成しているのは概ね日本人で、今の安倍自民党政権を選んでいるのも日本人である。つまり厳密には、日本人は社会問題に対しての感度が低い。というのが実態だろう。
フェイスブックは差別や偏見への対応が消極的という理由で利用を止めたのに、なぜツイッターの利用は止めないの?と思う人もいるだろう。ツイッターに変わる情報収集手段があれば今すぐにでも利用を止めたいのが本音だが、テレビを始めとした日本のメディア全般の信頼性が著しく低下している状況で、ツイッターに変わるような、同規模のSNSもない中で、ツイッターの利用を止めるというのは情報ソースを失うということに等しい。
お笑い芸人のカズレーザーさんが5月にテレビ番組の中で、テラスハウスに出演していたプロレスラーの木村 花さん亡くなった背景に、SNS上で多数の誹謗中傷を受けていたことがある、ということを踏まえ、
我々(芸能人側)は影響力が増えれば、収入や人気とか別のものに転がらせることができるから、SNSをマーケティングツールとして使っている。やらざるを得ない理由があると発言をした(カズレーザーさん、SNSの誹謗中傷で持論「無くなるものでない」。問題点の指摘にネット上「明快すぎる」の声 | ハフポスト)。カズレーザーさんのこの発言は、SNSの情報インフラとしての側面を軽視し過ぎている。あまりにもバラエティ番組の世界で生きている人の発言過ぎる。その側面に注目し過ぎだ。SNSは最早情報ソースであり、場合によっては電話のような通信手段でもある。SNSは社会的に全く必要ないツールという認識は全く的外れだ。
そうじゃない方(一般の人)はやめていいんだよ!って伝えないといけない。社会的にまったく必要ないツールなんだから。(人によっては)要らないものなんだと声を大にして言うべき
このように国外では、やっと、という感はあるものの、#BlackLivesMatter をきっかけにSNS等のプラットフォーマーの対応が変わりつつあるし、対応を変えようとせずに消極的な態度を示すプラットフォーマーには抗議やボイコットが起きているのに、日本ではそんな動きは殆ど見られない。声を上げているのはSNSの一部の利用者と、一部のフリーランス系ジャーナリストだけだ。テレビや新聞など大手メディアは知らん顔だし、実社会でもそういう話には中々お目にかからない。こちらが話を振っても煙たそうにされる場合ばかりだ。
これで日本の副首相は「おたくの国とは民度が違う」と粋がっているそうだから、そう言われた国が「みんな絶句して黙る」のは、単に開いた口が塞がらないというだけだ(コロナ死者少ないのは「民度が違うから」 麻生太郎氏 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)。
因みにツイッタージャパンに関しては、こんな報道もあった。
特定の候補を推すTwitter広告が流れる。都選管「有料広告は違反」【都知事選】 | ハフポスト
ツイッタージャパンが公職選挙法で禁じられている選挙運動のための有料インターネット広告を掲載したという内容である。広告を出稿する方に問題があることは間違いない。だが、法律で禁じられた広告をそのまま掲載する側にだって間違いなく問題はある。ツイッタージャパンはそんな判断すらできないSNSの運営組織ということだ。
しかも、ツイッターはそもそも、2019年10月にあらゆる政治的な広告を世界的に禁止することに決定しており(Twitterが「政治的な広告の全面禁止」を発表 - GIGAZINE)、日本語のヘルプにもその旨の記載がある。つまり、選挙違反か否かという法律に関する判断以前に、自前の規約に関してすらまともな判断が出来ない、いい加減に扱っているということがよく分かる。そんな組織の、
人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃行為、脅迫行為を助長するような投稿を禁じています。という話に一体何の意味があるだろうか。投稿は禁じている、だけど禁じているだけで違反しても対応はしない、と言っているようなものではないだろうか。
ここで挙げた幾つかの事例の内、どれか1つだけならば「誰でも時に判断を誤ることもある」と思えただろう。だが、いくつも事例が重なるということは、そこには何かしらの問題があると言えるのではないだろうか。
トップ画像は、ChickenonlineによるPixabayからの画像 を加工して使用した。