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政府プロパガンダ放送局・NHK

 今、自分の中でNHKに対する不信が過去最高に高まっている。以前は日本の報道機関の中での信用度は高いと考えていたが、その評価を変えたのは東日本大震災、というか福島原発事故だった。原発事故の後、政府発表をそのまま伝えたのかもしれないが、メルトダウンという一般的な表現を用いずに「炉心溶融」と分かりにくい表現をしたのが大きな理由だった。



 その後民主党政権から安倍自民党政権へと変わると、自分のNHKに対する評価は段階的に下がった。2014年の、籾井 NHK会長の特定秘密保護法に関する発言や慰安婦に関する発言、そして

日本の立場を国際放送で明確に発信していく、国際放送とはそういうもの。政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない
(その放送内容は)日本国政府と懸け離れたものであってはならない

という国会答弁などは、NHKへの不信感をかなり増大させた(NHKの不祥事#2014年 - Wikipedia)。
 その頃は不信感を募らせつつも、問題があるのはNHK全般ではなく政治報道だけと考えていたので、ドラマやドキュメンタリー、そして報道番組もまだ敬遠せずに見ていた。しかしNHK政治報道の傾向は、会長が別の者に代わっても変化がなかったし、変化がないのではなく寧ろ悪い方に変化しているようにしか見えず、そんな政治報道を野放しにしていることから、政治報道だけでなくNHK報道全般に嫌悪感が募った。
 しばしば「NHK」と一括りにして批判するなという言説を目にする。自分もつい最近までそう思っていた。例えば、

など、政治分野以外でも恣意的な報道は目に付いたが、誠実な姿勢でないことは確かだが、NHKと言えども人が運営しているのだから、それだけを理由に全てを否定するのもどうかという思いもあった。だから今年の初めまでは

これを自分のアカウントの一番最初に表示されるツイートとして固定していた。
 しかし新型コロナウイルス感染が拡大し始め、3月頃以降は、合理的な根拠に乏しい政府の対応や主張をそっくりそのまま垂れ流したことで、NHKに対する不信感はより高まった。そもそも報道は、強制的に徴収している受信料で運営され、公共放送を標榜するNHKの根幹をなす分野であり、それが腐っているなら、どんなに優秀なドラマ・ドキュメンタリー・教育番組を作ろうが、ならば許そう、目をつぶろうとなるようなものではない。また、報道部以外の者であっても、自分の属する組織に大きな不具合があるのに、積極的に批判するでも指摘するでもなく、またその組織を見限って辞めるでもないなら、その者達にも広義での不具合がある。
 だから3月頃からNHKはほぼ見なくなった。同じ理由でNHK以外も含めテレビ番組を殆ど見ていない。因みに一応NHKの受信料は今も払っている。だが見ないのだから今後はどうにかして払うのを止めたい。

 イギリスの新聞・ザ ガーディアンがこんな記事を載せた。

Japan PM sparks anger with near-identical speeches in Hiroshima and Nagasaki | World news | The Guardian

 見出しを日本語にすると「日本の首相は広島と長崎でほぼ同じスピーチをして、怒りに火を付けた」である。8/10の投稿でも指摘した件だ。記事にはこんな一節がある。

“[He] says he will stay ‘in tune’ with atomic bomb survivors, who are advancing in years, but he has not taken concrete action. He’s all talk and no action, and that showed in his addresses,” Moritaki told the newspaper.

訳すと「彼(安倍)は高齢化が進んでいる被爆者に寄り添うと言っているが、具体的には何もしていない(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会代表の) 森滝さんは新聞の取材に対して「口先だけで何もやらない」と語った」である。

 一方でNHKは、海外向けに英語で情報を発信しているサイト・NHK WORLD-JAPAN Newsで、次のように伝えた。

Abe vows continued support for 'hibakusha' | NHK WORLD-JAPAN News

 見出しを日本語にすると「安倍首相、被爆者への支援を表明」である。記事はかなり短く、

Prime Minister Abe Shinzo has pledged continued support for "hibakusha," or survivors of the 1945 atomic bombing, following an appeal by the city and prefecture of Hiroshima of a ruling on so-called "black rain."
Last month a district court in Hiroshima recognized people who were exposed to the radioactive rain immediately after the bombing as "hibakusha."
Abe told reporters in Tokyo on Wednesday the city and the prefecture decided to appeal to a higher court because the ruling differs from previous Supreme Court decisions.
He also suggested the government would consider expanding the "black rain" areas.

とだけ書かれている。日本語に訳すと「安倍晋三首相は、広島市と県のいわゆる「黒い雨」に関する判決を受け、被爆者への支援を継続することを約束した。広島地裁は先月、原爆投下直後に放射性物質の雨にさらされた人を「被爆者」と認定した。安倍首相は水曜日(8/12)に、東京都内で記者団に対して、これまでの最高裁の判決とは異なるため、広島市と県は高裁に上告することを決めたと述べた。また彼は、政府が「黒い雨」の地域の拡大を検討すると示唆した」だ。

 両者の記事が取り上げたことは微妙に異なるものの、どちらも原爆と日本の被爆に関する件ということについては共通性がある。ガーディアンは「被爆者に寄り添うと言うだけで何もしない」、NHKは「安倍首相が被爆者支援を表明」としており、そのニュアンスはほぼ正反対だ。しかもNHKは、昨日の投稿でも指摘した「被爆者援護したいなら何故控訴するのか」という点にも触れず、控訴は厚労省、つまり彼が最高責任者を務める国の意向なのに、事実とかなり乖離したニュアンスを醸し出すような、所謂切り取りとか歪曲と揶揄されるような取り上げ方をしている。しかも「政府が「黒い雨」の地域の拡大を検討すると示唆した」と書いているが、ガーディアンの記事でも指摘されているように、安倍は口先だけで具体的な対応をしない男なので、それは単に示唆しただけ、もしくは検討するだけになる恐れが非常に高い。

 NHKは国内のみならず、海外に向けてもこんな風に安倍自民政権のプロパガンダを請け負っている。日本人は簡単に騙せるかもしれないが、諸外国の人達がこんな稚拙なプロパガンダに騙されるわけがない。ハッキリ言って、こんな記事を海外に向けて発信するのは、「こんなことで騙せると思っている短絡的な思考の馬鹿が、日本では政治と公共放送をやってます」と、海外に向けて宣言しているにも等しい。まともな感覚を持っている者なら、これを日本の恥と認識するだろうし、これが強制的に徴収される受信料によって行われていることを許せないだろう。
 だがしかし現在日本には、多くの有権者が、そして受信料を払う者が、こんなことを平気で許してしまっている現状がある。


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