スキップしてメイン コンテンツに移動
 

白人至上主義を否定しないトランプ、所属議員の蔑視を否定しない自民党

 ドイツのことわざに「Lügen haben kurze Beine」というのがある。英語に直訳すると「Lies have short legs」だが、英語でこれに相当するのは「a lie has no legs」だそうだ。日本語に直訳するとドイツ語版は「嘘は足が短い」、英語版は「嘘には足がない」で、「嘘の脚は短いので速くは逃げられず、すぐに足がつく(または、嘘には足がないので逃げられない)」の意であり、つまり「嘘は程なくばれる」という教訓を示す慣用表現だ。


 9/29、11月の米大統領選に向けた初の候補同士のテレビ討論会が、現職のトランプ大統領と民主党候補のジョー バイデン氏によって行われた。BBCはこれについて、

【米大統領選2020】 初の大統領選討論会、司会者やルール無視の激しい応酬 - BBCニュース

 いつもなら、ものごとを判断するのなら極力その一部始終に目を通してからにすべきだ、と言う。つまりこの討論会を評価するならまずその全体に目を通した方がいい、と言うところだが、はっきり言って討論会というレベルの代物ではなく、これについてはこのBBCの記事を読むだけで、そこに添付されている短い動画を見るだけで、充分にその酷さが分かる、と言いたい。こんなレベルのやり取りを全部見るなんてハッキリ言って時間の無駄だ。それくらいのレベルの低さだった。
 バイデン氏にも売り言葉に買い言葉になる部分はあったものの、レベルを著しく下げたのは概ねトランプである。「暴走のトランプ氏か言葉に窮するバイデン氏か 「史上最悪」醜態のテレビ討論会 - 毎日新聞」など、日本では主要メディアの中にも「どっちもどっち」という論調の記事があるが、その記者の眼鏡は恐らくすりガラス製なのだろう。

 但しBBCの記事の最後にはこんな記述もある。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースによる視聴者調査では、討論会の勝者はバイデン氏と答えた人は48%、トランプ氏と答えた人は41%、どちらとも言えないと答えた人は10%だった。

あの討論とすら言えないようなレベルのモノを見て、トランプが討論で勝ったという人が、アメリカ人のおよそ40%を占めるというのだ。
 日本語版の記事はまだ見当たらないが、BBCは、討論会での現職大統領であるトランプの振舞いと、それを受けたこのような世論調査の結果を受けて「US election 2020: The night American democracy hit rock bottom - BBC News」という記事も掲載している。この見出しは「アメリカの民主主義がどん底に落ちた夜」だ。hit rock bottom の厳密なニュアンスを知らないので、日本語のどん底に落ちたと全く同じニュアンスなのかは分からないが、果たしてこの討論会がアメリカ民主主義のどん底なのか疑問である。何故なら、トランプは選挙に負けても郵便投票で不正が行われたとして負けを認めずホワイトハウスに居座るつもり、だと報じられているからだ。

 この討論の中でトランプは、またしても白人至上主義を明確に否定しなかった。

【米大統領選2020】 トランプ氏、今度は白人至上主義団体に「身を引いて」 - BBCニュース

 討論会で司会者がトランプに「白人至上主義を非難する用意はあるか」と尋ねると、トランプは「もちろん、そうする用意はある」と述べたが、「ではそうしてください」と念を押されると「なんて呼びたいんだ? 名前をくれないか。誰を非難させたいんだ」と聞き返し、「でも悪いのはほとんどが左派だ。アンティファは本当に悪い」と更に続けた。トランプが、求められても白人至上主義を明確に否定せず、反白人至上主義にも問題があるとはぐらかすケースはこれまでにも例があり、トランプが白人至上主義的な思想を持っている、若しくは肯定的であることは最早明白である。
 これが今日の投稿の冒頭に、Lügen haben kurze Beine / Lies have short legs / 嘘はすぐにばれる、をもってきた理由である。

 このトランプの振舞いは、日本人にとって決して対岸の火事ではない。討論会でのトランプは、司会者やバイデン氏発言を遮り、言いたいことを勝手に言うだけ、という行為を何度も繰り返していたが、それは安倍が国会での質疑に対して、聞かれたことに答えず自分の言いたいことだけを延々と述べ、「共産党ぉw」「日教組ぉw」などのヤジを、注意されても何度も繰り返したのと同じだし、それは安倍にとどまらず、前政権の閣僚や官僚の間にそのような姿勢が横行していた。また現政権の首相・菅は前政権で官房長官を務めた人物であり、彼もまた聞かれたことに答えずに、都合が悪いと根拠も示さずに「批判は当たらない」などとして一方的に否定する種の人物だ。
 このようにはぐらかす行為は、真摯に対応しない、本当のことを認めないという意味では嘘を吐いているも同然である。しかし日本の有権者は、首相が安倍から菅に変わっただけで支持を示してしまうような状況で、ハッキリ言って米国の有権者よりも更に低レベルである。つまりBBCが言うように、先日の討論会で米国の民主主義はどん底に落ちたのであれば、日本の民主主義などはもう何年も前からどん底を這いつくばっている状態だ。

 昨日の投稿で自民 杉田が、女性への暴力や性犯罪に関して、被害の虚偽申告があるという意味で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した件を取り上げたが、これについて杉田は記者の質問には答えずに、「今後、(真意を)ブログでしっかり書いていきたい。以上だ」と述べたそうだ。また、党としての処分は、2018年のLGBT差別発言2018年8/3の投稿と同様に口頭注意だけのようだ。

自民・杉田議員「真意はブログで。以上」 記者団の質問には答えず - 毎日新聞

自民 下村政調会長 発言問題で杉田水脈議員を口頭注意 | NHKニュース

 自民党は杉田らについて、昨日の投稿でも触れたように、伊藤 詩織さんへの中傷に関しても何ら処分を行っていない。8/7の投稿「所属議員による誹謗中傷を咎めない党に何が期待できるか」でも同じ様なことを書いたが、所属議員による差別発言や蔑視についてまともな対応をしない党、そして当該議員は、白人至上主義を明確に否定しないトランプと何が違うのか。自民党も杉田もトランプと何も違わない。

 このような所属議員の振舞いにまともに対応しない自民党が、多様性の尊重だの男女平等の実現だのと言ったところで、それは見せかけだけの、つまり嘘である。こんな簡単な嘘を見抜けないようでは、オレオレ詐欺や振込め詐欺が流行るのも当然だろう。
 自分が痛い目に合わないと気がつくことが出来ないのだとしたら、それは他人に冷たく愚かな国民性ということになるのではないか。

 トップ画像は、Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

文脈を無視して a bit を 少し と直訳した共同通信のキリトリ報道

 これまでの3日間、連日オリンピック組織委会長 森の女性蔑視発言と、それに関する日本メディアの姿勢、女性蔑視や差別への感度の低さについて書いてきた。 東京新聞 がようやく「女性蔑視」と断定的に表現し始める等、後手後手ではあるものの、一部のメディアに認識を改めた感があるものの、それでもまだ批判すべき/記録しておくべき記事を書いているメディアもある。 もうこれ以上日本が炎上する燃料を投下しないでほしい、と思いながらこの投稿を書いている 。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

李下に冠を正さず

 安倍首相は加計学園問題についての野党らの追及を受けて、「 私の知り合いだから頼むといったことは一度もない 」と便宜を図ったのではないかという疑惑を否定した。森友学園問題にしろ、加計学園の件にしろ首相・政府与党は一貫して便宜を図った事実はないとしている。一方で、森友学園問題では籠池氏が「 神風が吹いた 」、加計学園問題では前川氏が首相補佐官から「 総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う 」と言われたと、共に首相・政府若しくは行政などによる影響力が働いたことを示唆する発言をしている。  首相や政府は自分達が圧力を直接行使し便宜を図ったことも、官僚が自発的に首相らの意向に配慮して結果的に便宜を図った事実もないというスタンスを貫いているが、1件だけならともかく、2件も似たような疑惑が噴出し、しかも加計学園の件については官房長官などは単なるほら吹き扱いをしているが、辞めた経緯はどうであろうと文科省の事務次官だった人物が政府見解と異なる主張をしているのだから、単なるほら吹き扱いで片付けられるような程度の話ではなく、否定するにしたってそれ相応の説得力のある説明が必要であろう。国会への招致や再調査に消極的なようでは問題が終息しないのも当然だ。森友問題にしたって他の問題が次から次へと出てきているので有耶無耶になっているが、実際は話の途中で頓挫しているに過ぎない。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。