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give up on one's life / 自分の人生などもうどうでもいい

 人間の心はそれ程強くない。結構簡単に折れる。中にはそうではない人もいるが、多くの人の心が折れないのは、折れないであろう環境に運よく恵まれているだけで、その人の精神が強靭だからではない。そんなことも理解出来ずに「○○は甘え」みたいなことを平気で言う人がいる。


 人生を諦めることを英語で「give up one's life」と言う。「○○の為なら命をも捨てる覚悟だ」みたいなことを言う際に用いられる。しかしこれが「give up on one's life」となると「自分の人生などもうどうでもいい」という自暴自棄のニュアンスへと変わる。前者が自暴自棄のニュアンスで使われることが全くないわけではなく、一縷の望みを含む表現にも、全くの絶望にも同じ表現が用いられるのは興味深い。

 とあるアイドルが

とツイートした後に命をたったらしい。彼女の親であろうツイッターアカウントが昨日発足し、彼女が亡くなったこと、葬儀の日程などと共に、

などともツイートしている。つまり、彼女が亡くなった後ですら心無いことをSNSに投稿している輩がいる、ということだろう。

 元アナウンサーで現在も芸能界で活動する小林 麻耶さんがテレビ番組で、SNSでの誹謗中傷によって「本当、死にたいなと思ったくらい、それくらい(自分を)追い詰める」などの自身の経験を語ったそうだ。

小林麻耶さん、SNSでの誹謗中傷「本当にやめて」と訴える。過去に「まだ乳がんにならないの?」と辛辣な言葉も | ハフポスト

 彼女の妹・小林 麻央さんは、2017年に乳がんで亡くなっている。そんなことを前提に、麻耶さんへ「まだ生きてるのか」「まだ乳がんにならないのか」と言ってくる人がいたそうだ。常軌を逸しているとしか言いようがない。

 小林さんが中傷を受けて「死にたい」と思ったのは直近のことではないが、この話は、堀江 貴文とある餃子店の間で起きた、マスクの着用をめぐるトラブルについて、SNSで餃子店に対する営業妨害や誹謗中傷するコメントが複数あったことに関連したものであり、つまりSNS上では未だに心無いコメントや誹謗中傷が飛び交っているということに違いはない。

 5月にも、プロレスラーでテレビのリアリティーショー番組に出演してた木村 花さんが命を絶った。それからまだ半年も経っていない。当時政府と与党は、問題視する姿勢を示し、三原 じゅん子議員を座長とする、ネット上の中傷や権利侵害への対策を検討するプロジェクトチームを発足させたようだが、何かが変わっただろうか。その後の動きは全く聞こえてこない。

 これらの投稿や昨日の投稿でも指摘したように、そもそも自民党は所属議員が差別をしても、蔑視に基づく発言をしても、中傷を行っても実質的には処分しない党である。そんな党によって何かが変わるだろうか。いや変わるはずがない。

 しばしば「人が死ぬまで重大さに気付かないのか」なんてことが言われる。しかし、人が死んでも尚ことの重大さに気付けないのが、一部の日本人と政府与党の実状だ。これが、一部の人達が 美しい国 と信じてやまない国の実態である。

 

 トップ画像は、Photo by Nathan Dumlao on Unsplash を加工して使用した。

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