昨日・2/12、「女性蔑視発言に対する批判を受けて東京オリンピック組織委会長 森辞任」という話がにわかに報じられ始めた。後任には、Jリーグ初代チェアマン、第10代日本サッカー協会会長などを務め、現在はラグビー日本トップリーグ連携機構会長を務めている川淵 三郎になると報じられている。引責辞任する森が川淵を指名したらしい(森喜朗会長辞任へ 自ら後任指名 禅譲劇も「密室」での幕引き - 毎日新聞)。
森の当該発言があったのは2/3で、そして翌2/4の釈明という体裁の会見でも放言を重ね、更にその直後出演した番組で「悪いとは思ってないが謝罪撤回してやった」のようなことまで言い放った(2/4の投稿、2/5の投稿)。
にもかかわらず、組織委やJOC、五輪担当大臣なる役職を設置している政府などから、森の資質を問う、資質に著しく欠けるという批判は全く聞こえてこなかった。それどころかJOC会長の山下が「最後までまっとうして欲しい」と言い、与党からも「余人をもって代えがたい」などの擁護の声ばかりが聞こえた。首相や官房長官も「承知していない」「コメントを控える」「コメントする立場にない」などという、他人事な態度を示した。
最初の発言から約1週間、なぜこのタイミングで引責辞任が急に持ち上がったのかについては、スポンサー企業からも批判の声が出てきたから、と報じられている(森喜朗氏をスポンサー企業も批判「本当しんどい」「辞任は当然」 - 毎日新聞)。
事の発端は森の「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」という発言だった。女性の少ない組織委や男性である森自身が、事案の重大さを認識するまでに1週間もの時間を擁している。時間がかかっているのはどこ/だれだろうか。
また、2/6の投稿で書いたように、日本のメディアも当初この件について妥当な評価が出来ていなかった。日本のメディアも管理職等の女性割合が低く、労組から女性役員比率を上げるように求めらている状況である(メディアの大半が女性役員ゼロ 新聞労連など女性登用求め会見 - 毎日新聞)。日本の大企業の大半もそれと同じ状況であり、東京五輪のスポンサー企業もこの件を適切に評価するのに長い時間を要し、だから森の引責辞任まで時間がかかった。つまり、男性が多い組織こそが適切な評価を下すのに長い時間を要している。
そのようなことを勘案すれば、森だけが性差別的認識を持っているのではないことが明らかであり、森が引責辞任したので問題解決とは到底ならない、と言える。更におかしいのは、引責辞任する人物が自分の後任を指名している、という点であり、それを受け入れる組織委や周辺はかなり異様である。
しかも川淵はSNSやテレビ等で歴史修正主義的、民族差別的な発言を繰り返している人物である(【反省なし】森の後任候補、川渕三郎が酷いと話題に - Togetter)。しかし現時点では、そのようなことを指摘する大手メディアは殆ど見当たらない。
昨日のテレビ朝日・報道ステーションの中で、フランス・ルモンド紙の東京特派員 フィリップ メスメールさんが「川淵氏の歴史認識やナショナリズムが災いするかもしれない」という懸念を表明したようではあるが、それは間違いなく例外的で、ハフポストですらそのようなことに触れずに「川淵三郎氏とは、どんな人物なのか? 森喜朗会長の後任と報道、サッカー界の重鎮」という記事を掲載している。
大手メディアは、森発言について当初評価を誤ったのと同じ間違いを、また繰り返していると言わざるを得ない。
このようなことを加味し、それを風刺する意味で、現任者を切ってもまた同じ様な愚者がその座に就く、という意味を込めて、次の4コママンガを作った。
ぼうご なつこさんがツイッターへ投稿しているマンガ #令和の歴史教科書 の昨日分について、元から腐りかけていた日本の政界と官庁が、この8年で完全に腐りきった。腐った部分は全部取り除いてゴッソリ植え替えないと、安倍の次にスガ、森の次に川淵みたいに、いつまでも根腐れは解消しない。と引用リツイートもした。
他にも森が辞任しただけでは何も解決しないと言っている人は沢山いる。本当にその通りで、そうやって物事の本質から目を背け、なぁなぁにしてきた結果が、嘘に塗れ、利権確保に勤しむ政府や、その政府による対応とすら言えないレベルのコロナ危機対応など、今の日本の惨状だ。
#令和の歴史教科書
— Tulsa Birbhum (独見と偏談) (@74120_731241) February 11, 2021
に感化されて4コマを作ってみた。
出来の悪い金太郎飴があちらにも、こちらにも。 pic.twitter.com/WuZt5LxlTX