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まともに議論出来ない国会議員


 AbemaTVのブログ?・情報サイト?、Abema Timesが「古谷経衡「プレミアムフライデーは世紀の愚策」発言に自民党・松川参院議員が怒りの反論」という記事を7/27に掲載していた。7/15に放送した「千原ジュニアのキング・オブ・ディベート」の内容に基づいた記事で、この回のテーマは「#40 日本人の休暇、理想の休み方について徹底討論」だった。40は恐らく放送回だろう。記事はタイトルの通り、この番組の中のプレミアムフライデーにフォーカスした部分について言及している。記事を読んだ後に、この投稿を書くにあたって再度番組を確認してみたが、記事の内容は概ね番組内でのやり取りに即した内容になっている。
 率直に言って、自民・松川議員の言っていることは、政府・与党政治家的な上から目線、というか、プレミアムフライデーが上手くいっていないことをどうにか言訳しようとしているようにしか見えなかった。


 なぜ松川氏の発言が言い訳がましく思えたのか、記事を読めば、大概の人は言い訳がましい説明だと感じるだろうが、その”なぜか”について書きたい。古谷氏が、

 民間のリサーチ会社が約2000人に聞いたら"有効である"と答えたのはわずか2%ぐらい。参加している企業の取り組みを見ても、鉄道会社が乗車賃を100円引きするといったような非常に小さな特典。そのぐらい小さなインセンティブで午後3時に仕事を終えて鉄道に乗りに行こうとは思いません。やるんだったらどっかの水曜日や木曜日とかにやった方がよっぽどいい。実際の民間企業の経営活動と遊離していて、お上の発想だなと思います

と主張すると、松川氏は、

 ご批判で当たっている部分もあればそうでないところもあると思うんです。プレミアムフライデーがどうして月末なのかというと、休ませようというよりは消費を喚起しようという発想から生まれた政策なんですね。お財布の紐が一番緩んでいるのはお給料をもらった直後でしょう。それで土日にくっつけるなら金曜日だからという発想でここになったんです。お財布の緩み具合いという観点で、ここじゃないかという予測の元で立てられたもの。ただ休ませるという観点からすると、椎木さんがご指摘された通り、月末は繁忙期なので"忙しいタイミングで休めるか!"という矛盾はある。結果的に導入している企業は2割ぐらいなのを多いと見るか少ないと見るかっていうのは議論があると思いますよ。だけど週休2日だって政府主導で始めたんですよ。『お上の発想だ』っていうけど、お上が始めなかったらどこが始めるのといいたいですよ。

と反論している。指摘したい部分はいくつかある。

 まず、古谷氏が「(プレミアムフライデーは)有効である」と答えたのは、たった2%しかいないという指摘をしたにもかかわらず、松川氏は導入している企業は、月末金曜に限らず広義で考えれば、2割あると反論していることについて。もし万が一、全ての企業がどの週でもいいので月一回金曜半休を導入していたとしても、その有効性を感じる人が2%だったら結局消費拡大にはつながらない
 松川氏が言っていることは、プレミアムフライデーの波及効果の話に至っていない。導入が進んでいるか否かという話でしかない。要するに反論にすらなっていない。しかも導入している企業はたったの2割だ。「多いと見るか少ないと見るかっていうのは議論がある」?どう考えたって少ない。たった2割だ。要するに彼女は「プレミアムフライデーは初めてたったの1年ちょっとということを考えれば、2割の導入率は上々の結果だ」と言いたいのだろう。言い換えれば、政策は失敗とはまだ言えないと言いたいのだろう。成功しているとか順調と言えないところに後ろめたさが滲み出ているように思う。反論できないと論点をずらし、自分が言いたいことを言い始めるのはどこかの誰かによく似ている。

 次に、給料日後だから月末の金曜の半休を推進したという話について。発想は確かに悪くない。しかし休めなければ給料日後で財布の紐がゆるかろうが消費には繋がらない。要するに、一般的なビジネス・労働のサイクルを度外視し、財布のひも云々という視点に偏った判断をした為に、プレミアムフライデーの実効性は低いとしか言いようがないのに、松川氏は「発想は悪くないのに、全否定されたようで心外だ」と言っているように見える。これぞまさにザ・お上の視点、上から目線で「結果は伴っていないが努力を認めろ」という話でしかない。一切予算が掛からないならそれでも構わないが、少なからず私たちが収めた税金が投入されているのに、そんなバカなことを認められるはずがない。
 彼女は「『お上の発想だ』っていうけど、お上が始めなかったらどこが始めるのといいたいですよ」と言っているが、お上以外が始めない理由は、お上以外は効果が薄いことを誰もが分かっているから、という場合も往々にしてある。内容が伴っている政策に古谷氏が噛み付いているのなら、この手の皮肉のような苦言を呈することも理解できるが、松川氏はただただ政権・与党、そして自身の保身の為に、プレミアムフライデーの現状を的確に受け止めず、言い換えれば失敗しつつあることを認めず、所謂逆ギレをしているように思える。
 そんなにプレミアムフライデーの効果に自信があるなら、なぜ政府や与党は月末金曜日を半休にすることに強制力を持たせないのだろうか。一斉に全ての人が休むのは無理だとしても、月内でどこかに振り替えることを認めれば、強制力を持たせることはそこまで非現実的ではない筈だ。結局、古谷氏の指摘に対する建設的な反論と言える主張は、一切見当たらないと言えそうだ。

 記事には書かれていないが、その後のやり取りの中で松川氏は、「消費の拡大の為には、プレミアムフライデーは有効だ」という持論を展開し、古谷氏に「ではなぜ、最低賃金をもっとあげないのか、消費税を上げる方針なのか、休みだけ増えたところで先立つものがなければ消費にはつながらない」という旨の反論をされると、「議論(論点)をずらさないで欲しいんだけど、」と言っていたのはさらに滑稽だった。自身は古谷氏の指摘に対して正面から反論出来ないのに、古谷氏が自分の描くシナリオから外れた指摘をすると「議論をずらすな」と言い始める。この人は国会議員だ。しかも与党の。あまりに滑稽過ぎて思わず吹き出してしまった。

 松川氏の主張の仕方とよく似た反論をする人にツイッター上で昨日遭遇した。7/26の投稿で書いた、自民・小野田議員の「憲法で定められた国民の義務は「勤労、納税、教育を受けさせること」。義務を果たしていれば権利を主張して良いと思う」という発言を前提に、



とツイートしていた人がいたので、その表現を引用して、



とリプライすると、これに対して、



という反論が返ってきた。全くもって何に反論しているのかさっぱり分からず、リプライを返したところでまともなやり取りが出来る筈もないとしか思えず諦めた。松川氏は流石にここまで酷くはないが、結局古谷氏の指摘に対して正面から反論せず、自分の言いたい事だけを主張する、という点では共通しているだろう。

 このような松川氏の傾向は、彼女だけでなく自民党全体の傾向だと思う。小野田議員も自身のツイートへの批判にその手の主張をしているし、「LGBTは生産性がない」という発言で批判を浴びている杉田議員も同様だ。何よりも安倍首相を始め、昨年の共謀罪法案で答弁にあった金田法務大臣、更に日報問題の稲田大臣、そして今年の働き方改革法案の加藤大臣、カジノ容認IR法案の石井大臣、他にも失言対応に追われる者は漏れなくそのような主張をする。
 勿論野党議員の中にも似たような反論・指摘をする議員はいるから、自民党に限った話ではないが、逆に言えば、だから野党に甘んじているとも言える。これ程大臣や首相がこの手の論法を堂々と使うということは、そんな野党とどんぐりの背比べで、そして誠実さのかけらもないと言っても過言ではない。若者の国語能力を嘆く前に、政治家・国会議員の国語能力の低さをなんとかしなければならない。このまま、国会議員がおかしな論法を堂々と使う>一般の大人が影響される>子どもがマネする という負の連鎖を続けていいわけがない。

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