スキップしてメイン コンテンツに移動
 

カナダ嗜好大麻解禁への反応について


 10/17、カナダで嗜好品としての大麻の販売と利用を合法化された。これについては日本でも話題になっており、今朝ツイッターを見ると「大麻合法化」がトレンドワードになっていた。現時点では状況が変わっているかもしれないが、今朝の時点では相変わらず、実際に大麻を吸引したことも、カナダに行ったことも、というか恐らく日本以外の国の大麻にまつわる現状を知らないとしか思えない、事実誤認に基づいている恐れが著しく高いツイートが散見され、とても残念な気分にさせられた。大麻解禁に賛成か反対かを表明することは個人の自由だろうが、それに関して事実とは異なる話を公に撒き散らす事は決して自由の範疇には入らない。中にはカナダ全体を、まるで大麻が蔓延して退廃した国かのように蔑むツイートもあり、偏見なのは当然の事、差別的とすら思えるよう主張もあった。


 大麻の酩酊効果や中毒性に触れ、他国・他地域が認めようが日本は合法化するべきではない、というのが否定的なツイートの大半を占めていたが、そのような主張をしている人たちは、酒・アルコールの販売が合法であることをどう考えているのだろう。酒・アルコールだって摂取し過ぎれば記憶が無くなる程の酩酊効果があるし、その影響によって犯罪を犯す者もいる。また中毒性も確実にあり、依存症に苦しむ人は決して少なくない。そんな事を考慮して、中には「アルコールも有害」と言っている者もいたが、大麻に否定的な人の大部分がアルコールの非合法化を望んでいるとは考え難い。戦前のアメリカで所謂禁酒法が施行された結果どのような事が起きたのかを勘案すれば、もしアルコールに有害な側面があるとしても、非合法化が望ましいとは全く思えない。

 結局、諸外国・他地域の実状も知らず、大麻に関する適切な知識もなく、ただただ反対・否定的な主張をするものが一定数いるのは、国を挙げて麻薬・大麻につてい「ダメ、ゼッタイ。」なるスローガンを掲げ、ひとまとめにして兎に角遠ざけるだけの方針を取っていたことが原因の一つだろう。啓蒙に使ってきた情報が、否定するのに都合の良い情報ばかりだった事、それを国という、我が国では概ね最も信頼に値する組織が声高に叫んでいた事の影響は確実に強い。日本では、大麻を一口吸ったら誰もが即中毒になるかのように思っている者が決して少なくないように思うが、そんなことは全くない。例えば、酒が体に合わない人もいるし、一口飲んだら誰もが即アルコール依存症になってしまうなんとこともないのと同じだ。日本では確実に大麻の危険性が過剰に煽られ過ぎている。しかも国によって。

 ハフポストの記事「カナダの日本大使館 「手を出さないように」 注意呼びかけ」によると、カナダの大麻合法化を受けて、外務省の在バンクーバー日本国総領事館は、「日本では大麻取締法で、大麻の所持や購入を含む譲渡が違法とされ、処罰対象となっている。この規定は海外で行われた場合であっても適用されることがある」として、在留邦人や日本人旅行客に向けて、「日本国外であっても大麻(大麻を含んだ食品・飲料についても同様)に手を出さないように十分注意願います」と呼びかけているそうだ。カナダで合法的に入手した大麻であっても、それを日本に持ち込んだ場合、例えそれが不可抗力であっても違法な行為になり得るという話なら分かるが、海外の行為であっても日本の法規が適用される可能性があるというのは理解に苦しむ。この論法が適当であるならば、カナダで大麻を購入したカナダ人が日本を訪れると、日本の大麻取締法の規定によって、カナダでの大麻購入を咎められる恐れがあるという事にもなりかねない。「充分注意をするように勧告する」というのは妥当な行為かもしれないが、海外での行為について、日本の法規によって罰せられる恐れがあるなんて脅すような事を言うのは決して適切ではないのではないか。

 大麻の所持が日本で禁止されているから日本人は海外でもそれを遵守するべき、なんて話が通るのなら、日本では現在カジノ賭博は違法な行為なのだから、日本人は海外のカジノが現地で合法であっても利用するべきではない、ということにもなりそうだが、そんな話は全く聞いたことがない。政治家にも芸能人にも海外のカジノ利用を公言している者は相当いる。要するに日本で禁止されていることであっても、現地で合法ならば日本の国内法に縛られないという認識が確実に一般的だ。外務省がいい加減な事を堂々と公式に発表するのは如何なものだろうか。

カナダ嗜好大麻解禁への反応について 2 へ続く

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。